7. 神
日暮れの町はずれ
神がつっ立ってこっちを見ている
ついて来るのだ
むこうへ行け、俺にかかずらうな、と俺はいう
仕事がないのだ、と彼はいう
尾長が一羽、叫びながら森へわたる
舌が尖っている
彼も見あげている
姿は蚊柱、顔は砂、神とはそんなものだ
言葉の要請にすぎぬ
俺がわらう
彼もわらう
風はすずしく、メヒシバがゆれる
道の先は闇にとけ
夕餉はとおい
先をいそぐ俺の背に
おまえは仕事になる、と神はいう
選出作品
作品 - 20100810_648_4619p
- [優] 道のはた拾遺 7. - 鈴屋 (2010-08)
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道のはた拾遺 7.
鈴屋