冬があるいていた、
手わたされた枯れ葉へ
まえぶれもなく刻まれるたび
ちいさな声をあげる午後
庭がふるえていた、
産みおとされたふたごの沈黙から
ひとつの泉が広がるように
つめたいひかりをあびて
そして、動けないでいるベンチの
すこし病んだひざのうえで
わたしを見上げるひとみはとじて
あなたを見送るページのまえで
手をふっていた、赤 しろ 黄いろ
待ちこがれた
梅のつぼみのように
つめたいひかりをあびて
選出作品
作品 - 20100217_838_4182p
- [優] 冬の手帖 - 丘 光平 (2010-02)
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冬の手帖
丘 光平