ピンクと白のコスモス飾って
晴れやかな、朝
あなた、と、わたし
唇すぼめ
ティーカップのふちを、ふっ、とふく
ひと粒、ふた粒、口にふくむ
葡萄の粒
紅茶に、あうかも
この仄かな、しぶ味は
明るい出窓の
レースのカーテンが、ふわり 、 、 、 ふわり
ボーイング767が庭から飛来
ひとしきり部屋をめぐって
あなたの、こめかみに
激突!
あなたの唇が、あっ! と、丸くあいて、瞳がふたつ、ななめ上にそろう
わたしはハハハと笑い
バンドエイドを貼ってあげ
テーブルの惨状を
かたづけ
おもいだすのは、ゆうべのこと
お腹にしるされた葡萄色
サハリンそっくりの
ほそくてながい
痣、が
好き
昼下がりの
窓は、銀糸のこぬか雨
あなたをさそって、午睡する
あなた、と、わたし
脚のつけ根にたばさむのは
ほんとうは、ベッドより
藁のむしろがふさわしい、東洋の
くすんだ性器
言葉はかわさなくて、目をつぶり
つかのま、いろいろな
ことに
さようなら 、 さようなら
選出作品
作品 - 20091012_436_3859p
- [優] あなた、と、わたし - 鈴屋 (2009-10)
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あなた、と、わたし
鈴屋