女の子だったら「つぐみ」にしようと思っていた
「つぐみ」っていう本があったよね
それよりも前に語感から「つぐみ」がいいと思っていたんだ
妊娠の予定さえなかったのにね
鳥だってことは知っていたけど、どんな鳥かも鳴き声も知らないで、
もしかしたら鳥でなくてもよくって、
「つぐみ」がいいと思ったんだ
そんな理由で女の子は命名される
字画とか気にしないから、
後々の人生の不備を親のせいだと責められるだろう
女の子は結婚すれば姓が変わって運勢も変わるのよ、と
答える用意はできている
なにしろ私の人生ではないのだから、
私だってそうだったように
与えられたものから踏み出して行くしかない
変な当て字でも足して字画や文字数を調整されれば、
一生親の息がかかっているようなものだ
「つぐみ」には、似合いの人と結婚してほしい
林だとか平野だとか奥山だとか、
そういった似合いの人が好みとは限らない、だから
選ぶ自由はあなたにある、男にはなかなかない権利だから
いつまでも
生まれる予定のない子供つぐみ
私は、あなたを名付けました
選出作品
作品 - 20090829_477_3747p
- [佳] つぐみ - 森のめぐみ (2009-08)
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つぐみ
森のめぐみ