目くらまし、
してるみたいに
光が光を奪い去っていく
街は、
だから夜は、
熟れていく程に汚い
思い、とか、
生ぬるい風に全部
洗われることがないままでいる
凍えてしまう夏の夜、
ひとりが笑えば、
もうひとりが、笑う、
またもうひとりが笑っても、
笑えない、人の、
数と、沢山の、捨てられたものたちの、
足跡が、
密やかに、意図もせず、
重なっていきながら、
交われないことに不安を覚える、
( だから、ここで、全部おしまいです )
ひとつに、なれない、
ひとつに、なれない、
それは、
悲しいという、言葉の表皮に、
悲しいくらいに、付着していて
剥がせば全部、
だからそう、おしまいなんです。
区切られた、
寂しいの中では、
さようならも、ありがとうも、
錆付いている
街には、やさしい
そんな言葉が流行りはじめて、
手を重ねあう、
温もりの隙間から、
深い、
夜がこぼれて、
点々と、道になり、
呼吸に変わり、
消えない染みになっていく
選出作品
作品 - 20090711_581_3642p
- [佳] 街 - なつめぐ (2009-07)
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街
なつめぐ