(散文の雨)
女は唇から言葉を吐き出して、身を震わせてから犬のように町に消えていった。消えたことが、ありのまま残り実った。果実は収穫され、男の口に含まれて、歯の間で荒く噛み砕かれ果汁を出し尽くすと喉の奥に最後の墓所を見出した。墓所は、爛れた神々の陰部のように開き、女の唇から再度言葉を奪ったまま煙をはき、煙から二十日鼠と人間が生まれ両者は接吻と不似合いな性器を見せびらかしながら岩でお互いの領土を隔ててしまった。海上の出来事は、すぐさま大陸に上がり足を生やし人間の間を駆け回った(まるで二十日鼠のように)。ビルケナウへ向かう猫の足取りは軽く、まるで僕らの描く何の面白みもない散文のようだ。そして、唇からは汚濁。流れ出したものがとまらずに、口々にあらゆることを押し流し、創世の七日間のように、あらゆる細部も大枠も放り出され、言葉すらも流された。墓所は開く、何度も、爛れた神々の陰部のように。
選出作品
作品 - 20090430_231_3487p
- [優] ラピダ - いかいか (2009-04)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ラピダ
いかいか