選出作品

作品 - 20081201_972_3184p

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無題3(六月の海)

  プラスねじ

なんだっけ思いだせない
あたしは便器に顔をうずめて
さっき飲みこんだばかりの
薄暗い花を咲かせてる
六月の海から
大丈夫あいしてるから大丈夫
が床にへばりつくのを
はやく迎えにきてほしい
あたしは便器を抱きしめていたくない

六月の海は
季節のすきまに締め上げられ
浮遊する汚物は耐えがたく
あたしは息をずっと我慢してるから
襟の垢じみたシャツで良いから
肩にかけてほしい
おんなじ曲がリピートまた
大丈夫あいしてるから大丈夫
が安っぽい感傷をほどこしてくれる

一面に散り敷かれた切り花を
蹴り除ける革靴の音に
もうなんでも別にかまわないから
スカートを捲り上げて
犬みたいに後ろから犯してほしい
けれどその手は冷たく
やっぱり六月の海は寒かったんだなと思う
なんだったんだろうあたし
あなたにとって