選出作品

作品 - 20081006_850_3068p

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括弧の中が遺書です。

  S.

当分蝙蝠はいない、散らばれば光になれる と思
って、ふらふら飛んでいても放物線をなぞるわた
しの指が黒くなるたびに かみさま、それはどう
しても透けてしまうので、わたしをつぶした目の
日の輪郭が肌を隠すのは、たとえばわたしが死ん
だあとのことです。 


すごい色をした空は曇っている。肌が、いつのま
にか病んでばさばさしてくるので、大袈裟に(あ
なたは知っている)つぶやいた。紫外線を色素に
変えるらしい、しょくぶつのあたらしいKSってイ
ニシャルを指と指の間に書いて、翳してもまた隙
間から目の奥でまっくろに浴びせて  返ってく
る時の詩のように、騒々しくその日は 眠れない

( )
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くさはらのあいだで、浴び過ぎた日の しょくぶ
つが転んでいてひどくつちふまずが凹んで、ねこ
ろんだわたしは、生まれて初めて死んだふりをし