生まれるときに
きみという伴侶をもらった
きみはどこへいくにもついてくる
旅する仲間である
首筋がねじれ
関節がかたまり
腹が痛む
きみに医者が名前をつけても
それはきみの一部でしかない
ぼくの頭から足のつま先まで
きみはいて
ぼくの弱った部位に
顔をのぞかせる
健やかというのは
ぼくの中のきみを
忘れているときだ
きみはぼくだけのものだ
ぼくの気持ちがそうであるように
高熱を出してうめいているときは
きみがぼくをあざ笑っている
もう二度と
元気に歩きまわることができないのではないかとおもう
それもきみのせいだ
ぼくはきみをのろう
きみをからだから永久に
追いだせたら
どんなにすっきりするだろう
しかしきみが去るときは
ぼくが逝くときだ
ぼくをなるべく長く生かすように
きみは幾度となく警告を発している
そのせいでぼくは
からだとこころの変化に気づく
きみと対話してきたから
人の言葉の背後に
悲しい音楽を聴くようになった
きみが痛みをくれたから
人の涙に立ちどまり
その意味を考えるようになった
選出作品
作品 - 20080805_705_2937p
- [佳] きみとともに - 殿岡秀秋 (2008-08)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
きみとともに
殿岡秀秋