背骨がゴムみたいに頼りない。あたしの膣に、太いピアスをした男が前から出入りしなが
ら汗を流し、感覚が無いのに敏感に反応するあたしの乳首を、腕のひょろ長い男が後ろか
らいじりながら、何かをささやいてる。
あたしは、あたしは、3軒目の居酒屋でミーコち
ゃんとバイバイして、まだ十時だから、飲み足りないからって雰囲気の良さそうなバーに
飛びこんで、バーは、愛想のいいマスター、と、あ。耳がぞくぞくする。頭悪そうな声で
腕ひょろが、何かをささやいてる。太ピアスの出入りが激しくなり、もうイクもうイクっ
て叫んで膣から抜いて、あたしの髪を引っぱって射精する。精子まみれになったあたしの
顔は、きっと、親でも見分けられない。
あたしは、あたしは、彼氏が迎えに来たミーコち
ゃんとバイバイして、愛想のいいマスターが勧めるままにじゃんじゃん飲んでたら気持ち
悪くなったから、マスターにトイレまで連れてってもらって、喉の奥に指を入れて全部、
全部吐き出してると涙が止まらない、あたしの、背中をさすってくれる、マスターが、お
水、飲みな、って、あ。耳がぞくぞくする。床にぶっ倒れて肩で息してる太ピアスに代わ
って、後ろからおぶさってくるような格好で、腕ひょろがあたしの膣に出入りしながら左
手で器用に乳首をいじり、何かをささやいてる。ちゃんと聞こうとして左を向くと、デジ
カメを構えた男が立ってるのに気付く。
あたしは、あたしは、彼氏とは別れたいミーコち
ゃん、仕事は愚鈍なくせに恋愛はやり手なミーコちゃん、と、バイバイして、飛びこんだ
バーで泥酔してしまったから、我慢して飲んでたこと全部吐き出して、吐き出してもちっ
とも気分良くならない、ならないよマスター、ねえ、どうにかしてよ、マスター、がくれ
た、お水、飲んだら、背骨がゴムみたいに、なっちゃって、あ。あ。あ。顔面に、ぶちま
けられた精子で、あたしは二目と見られない。マスターが、デジカメを近付けて、ほーら、
笑ってー、笑ってー、って満面の笑みで、太ピアスが、俺もう復活したからもう一回いけ
るぜー、とか笑って、笑って、腕ひょろは、海と山、どっちが好き?って、ささやいてる。
海なら、ロープで足を縛って、捨てるし、山なら、ハサミでアキレス腱を切って、捨てる。
神様、は、どこにも、いない、いない、
あたしは、あたしは、あ。あああ。ミーコちゃん、
選出作品
作品 - 20080730_636_2928p
- [優] 神様 - 泉ムジ (2008-07)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
神様
泉ムジ