彼
汗だくのアフリカで、裸になった友人から手紙が来た頃、僕の机の上では、数冊の本が同時に開かれたまま文字たちが飛び出している。友人の手紙が僕にこう言う「星に上がるのさ」と。彼が一緒に送ってきた人形はマヌケにも「Eureka!Eureka!」としか言わない。僕の祖父は、そう叫びながら家を焼いたんだよ、と彼が口にするまで、僕の部屋の扉は開かない。これはまじないなんだよ、ずっと昔からのまじないんだよ。
星へ上がる
星へ上がった人たちの瞳は青いから、とてもきをつけないといけない。僕がずっと昔に祖母に言われたことを信じていないから、青い瞳は、その人が死んだ後に、固まって青いものになるんだよ、と、静かに友人に語るけど、友人の瞳は黒いままで燃えているのさ。燃えたものは、白く冷えて土に上がる。上がってから、下がって、また黒くなるのさ。
まじない
まじないはいつも夜に、そして昼に、朝にはできるだけ控えて、そういう君はいつまでたってもそれをやめようとしない。まじないは、いつだって聞き分けがないから、耳をつけたまま走ったあの人のように、砂浜で首をかられるのさ、かられた首は笑ってアフリカに落ちる。落ちた首を君が拾って、またまじないをかけたら、それは星へ落ちるんだろう。君はそうやって何度も何度も夢を見た。
Eureka
名前を与えられなかった、
あなたや、わたしが、
くだけちったまま、
たまげる、
たまげるってのは、魂削るって書くんだよ、と、
知らない人が言付けて、
わたしは旋舞し、
あなたは戦舞し、
何度も何度も、
同じようにして、
見たままの、
開かれたもので、
同じように、
そしてや、また、から、
引き出された、
退きだされた、
靴や、
帽子を、投げ打って、
廻っては巡るままの、
呼吸の仕方や、
知らなかった、
場所に、
かえる、
そして蛙が、
帰らない内に、
私たちが
帰らない家に、
ことづけをして、
わたしたちや、
わたしは、
ゆっくりと、
渡っては、
渉り、
口笛を吹きながら、
屋根を葺いて、落ちた、
と、言われるままに、笑ったり、
下がったり、
転んだままで、
転ばないままの、
いしを、いしを、
渡して、
わたしや、
わたしたちの、
あおいままの、
ことばで、
いえへ帰るまでに、
孵らない、そして、
やっぱり返らない、
はだしで、見て
星へ上がらない、まじないを、
何度も、
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