ねこがいっぴき走っていった
庭の隅に入る陽が
すずめのえさを照らしていて
プランターの瘠せた土には
クモマグサの花が咲いていた
蜜柑の葉ずれの音
こころの真ん中にひびきます
女郎蜘蛛は縦糸をたらして
ときおり落ちてくる風に
ゆられながら下りてきます
「6時55分死亡確認、
この家の者とおもわれます」
ミュートな空がゆっくり
まきだして
這い這い人形のような
童子が
数珠繋ぎになって
昇っていきます
選出作品
作品 - 20080111_620_2540p
- [佳] 事切れの唄 - 吉井 (2008-01)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
事切れの唄
吉井