風はうたう、
わたくしの隅々で 風はうたう、
夜半にくるまる薄い背なで
いさり火のようにふるえるまぶたで 風はうたう、
けもの道で立ちつくしたまま冬を身ごもる枯れ木のように
聞きもらすことのないしずけさで
雪が鍛えた青白いまなざしで 風はうたう、
ことりたちの指さきが届かないわたくしの隅々で
痩せたおんながうつろに手まねる
銀のぴすとるのように 風はうたう―
選出作品
作品 - 20071107_371_2439p
- [佳] 風はうたう - 丘 光平 (2007-11)
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風はうたう
丘 光平