選出作品

作品 - 20071031_117_2420p

  • [佳]   - 田崎  (2007-10)

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  田崎

私は摩周湖で幽霊を見た

青い光輪に切られる
蜜の溜る枝の下
多重な声の挨拶が響いた
幽霊の記憶は肌の白
幹の青黒さを激しく汚す

幽霊は私にとって
小海老の腹のように
欲を抱かせるもので
埋葬の音を
聞き取るほどには
私は子どもではなくて
指で一杯の青を咀嚼して踊る


(私は(作り話が巧いのだから)
見えるものを信じてはいけない
((たとえば)幽霊が(私の)愛する)人でも
そんなことは(私の)視覚が間違っている(から)
((けっして)そのまま)信じてはいけない))
私の((作り)話や)言葉は)
私を(さえ)騙すのだ)(から))

幽霊を少しずつ湖から逃がしていく