選出作品

作品 - 20071001_953_2359p

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[素数を繰る]

  香瀬




[素数を繰る]



P.02
コダマ
(まんまるいらしいんです、ちきゅう
. もしかしたらこのこえも はねかえってきたものではないのかもしれませんね)
(あるいは、ここまで届くのに いくつもの何かによるつぎ足しがあったのでしょう)

P.03
「ねぇ、みて、ヨクにキバが生えているよ」。
、と
“谺”という字を見るたびに 少し大きい彼方の瞳のサイズを思い出します

P.05
Yokogaoに対する、〈蝕〉ヨク/
抑えつけているくちのなか/
、歯が、〈咎〉っている
(もしかしたら)

P.07
(アクビはカケてしまつたから)、(厭々ながらねむる)ゆめをみる。

P.11


P.13
「ねぇ、みて、ぬい針 が落ちてきたよ」。
、と
濡れた窓に投げた視線は汚い放物線を描いています
(机のうえで組んだ手にひかっているものがあるかもしれません)
/いえ、泣いてなんかいないんですよよょ

P.17
丁寧。
に、Yokogaoはくちをくちびるにぬいつけ(ぬいあわせ)
(そっと)、アクビを(亡く)した。
/ねむれないね
/ねむれないね
/雨だね
/ああ、風がつよいね
/けされちまうね
/けされちまうね
/鳴いたのにね(げろげろ
/ああ、鳴いたのにね(げろげろ
(/いえ、泣いてなんかいないんですよよょ)

P.19
〈仔〉声で(「吐け」「出せ」)。
、って そんな風も 何かがつぎ足してふるわせたのでしょうね鼓膜
ひっかきまわしたい
ひっかきまわされたいのです(彼方の)キバに

P.23
(吐息)、
「ねぇ、みて、 ねぇ、ぴらにあ の においがするよ」。
彼方の地名を“ぴら”といいます
きこえていますか(ねぇ、みて  、と
すべての雨風のうまれるところは ここなのですよ

P.29
甘いのが
すき
渓コクに泳ぐ(むすうのしろい)魚のにおいにうんざりする。
“あのにおい”に

P.31
・うんざり・

P.37
吐きちらす(ちらかされる)
〈産〉乱
ふたりで空の(注ぎ口をくわえる
いったいいつになれば糸をひくのでしょう。(ここ からは出られないというのに
/けされちまうね
/ああ、けされちまうね
/けされるのはいやだね
/いたいのはいやだよ
/雨だね
/ああ、風がつよいね

P.41
しろい 垂らされた糸をつかめばよかった
(ここ からは出られないというのに
(/いえ、泣いてなんかいないんですよよょ)

P.43
すでにその糸でくちびるを、ぬいつけ(られ)ているのです
(「ねぇ、みて、 る?」。)

P.47
ねむりましょうか。
(カケたのならば埋めあわせればよかった
. みみをすましても まどのそとには“きこえない”がいっぱいです)
(いいかげん ひらいたらいかがでしょうか)

P.53
(選択肢なんて売ってしまった)

P.59
つば、指を濡らす挿入
(しろい 魚をすり身にするすり身にする しろい 糸をくちにくわえてぬわれているくちも しろい く
. ちびるになるほどきつくきつくぬいつけられていて しろい くもは注ぎ口をふたりにくわえられたま
. ましゃせいし しろい スケッチのうえでわらっている“ぴら”のYokogaoだけでものみほしたかった
. のですよ彼方は しろい /雨/にはうんざりでしょうからもうすぐ しろい ここはけされちまうね)

P.61
(すいこむようにくちにくわえて)

P.67
しろい
甘い手(机のうえ“きこえない”は手を組んでいる ひかってはいない

P.71
Yokogaに(さらす)
(「ねぇ、みて、 r/ないの?」。)

P.73
どこもかしこも  ふるえはやんでしまって  、(/ないていたのにね(gerogero
ここはひからないし  彼方のにおいもすでにない  。(/ああ、ないていたのにね(gerogero