*
小さい橋が覆われている雪に
街灯を胞子として映して
この道も失くなる向こうで交差する道路では
人の気配を感じない
自動車の車体が
音もない距離から
私の映像をなぞっている
*
川のような道から
中空を掻き毟る粉の雪が
いくつも青の糸を咲かせて
上げていく視線に粘る暗闇が
回折をグラデーションさせ
あの車庫の上部は消えている
*
通りに光は円を描いて
震えて影は場所を移動する
電飾は冷え
無いはずの音を
やはり無音として響かせる
電飾は冷える
*
トンネルのように照らされたこの通りより
脇へ入る小道の方が
漏れる光は清冽で
(どの道も渡り切れないだろうから)
踏み込む雪を
鳴らす音を
いくつも憶えておく
選出作品
作品 - 20070928_895_2352p
- [優] 雪道の四景 - 田崎 (2007-09)
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雪道の四景
田崎