一面に
散りしかれた朝がある
ともに渡った羽がある、風に撃たれて
いまでも潤うその傷口が わたしへ静かにことづける
風に撃たれて、切り絵のように
帆の破れた昔日の群れは 知らないのです、いったい自分が
なにを運んでいるのかを――
打ち上げられた砂丘で
睡蓮が 音もなく咲いていました、音もなく
泣いていました、そして
摘みとるのです 晩秋の手のひらで、
一面に
散りしかれた朝がある 赤く流れる歌がある、それが
あなたでした
選出作品
作品 - 20070720_449_2228p
- [佳] 一面に散りしかれた朝がある - 丘 光平 (2007-07)
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一面に散りしかれた朝がある
丘 光平