いつからか
巨大な目/まばたきをしない目が
わたしをじっと見る
青い/緑の目をしたきれいな雌鹿
自分を巡って戦う牡鹿を
じっと見る
興味深そうに/興味がなさそうに
丘の上にある一輪挿し
何かの花/野ばらが
挿してあることを
雌鹿は
知っている/知ら ない
丘の上にはかつてテーブルがあり
わたしたちは向かい合わせで座って
糖蜜のパイを切り分けては
お互いの口へ入れていた
あのたった一輪の野ばらを
誰が摘んでしまったのかしら
わたしは
知らないわ/知ってるわ
きれいな男の人が来て
無造作に摘んで行ってしまったのよ
戦いに
勝ったから と言って
青い/緑の目をしたきれいな牡鹿が
わたしたちをじっと見る
わたしたちはもう
お腹がいっぱいなのに
糖蜜のパイを切り分けては
お互いの口へ入れて
口も服も
汚れてしまった
青い/緑の目をしたきれいな牡鹿が
口も服も
汚れてしまった
わたしたちをじっと見る
まばたきもしないで
選出作品
作品 - 20070315_977_1933p
- [優] 目 - ふるる (2007-03)
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目
ふるる