選出作品

作品 - 20070119_665_1784p

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かざみどり

  田崎

おおくが欠けている
垂直のきりたった湖面の繭に
かざみどりがある。
レンズは青根蔓を束ね
夕方が視域をころげまわる。
深さははい色となって(あおいろを揺りおこし)、
湿地帯の風が注いでいる
その湖に
パレットの絵具がくわれて
いろんな色の煙に
水底はつつまれた。
かもしれない、
と言うのは、
湖面の向こうがわの
風見鶏が
やねが、
家、が
曇る野はらにあるのか
湿った窪地にあるのか
そもそもそっちの世界が
ふくらんだ湖面奥
揺られているからで



湖の厚さは
どんどん増大していく。
巨大な線香花火が湖底で燃えているように
けむりは湖底と湖面を引き離す。
かざみどりの像はいつまでも幼くて、
ぼくはとしを取っていくので
なにもみえないことはないかもしれないけど
たまに
湖水が清んだり
わずかにだけあふれたり
たまに
湖のむこう側に見える。