秋のおわりを告げる夜空へ 
あかるくかざした手のひら、 
枯れ葉のくきで 
きつく結わえた誓いを 
私らは忘れてしまうだろう、 
しずかな黒髪に 
 降りそめる雪のように 
 ああ、私らは 
なにを持って来たのだろう、 
人生という 
 ほの暗い冬へ― 
 愛をつましく灯しては 
散りいそぐ夢のひとひら、 
枯れ木の背なで 
こまかにふるえる歌ごえを 
私らは忘れてしまうだろう、 
月夜の黒髪に 
 降りつもる光のように 
 そして私らは 
ひとり、 
またひとり 
なにを持って出て行くのだろう、 
人生という 
 冬のひとときから―
	
選出作品
作品 - 20061201_706_1683p
- [佳] 月光 - 丘 光平 (2006-12)
 
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月光
  丘 光平