選出作品

作品 - 20051123_479_771p

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ラベンダー

  丘 光平


眠っている空の鍵を
朝の指さきはそっと回してゆく

霧の肌のように
やわらかく降りてくる光の
こまかな粒と粒
すこしずつ丸みを帯び 膨らみを増し

高原の額に
たどりつくその手前で はじけ散る
光の水しずく 
ゆるやかに呼吸を匂わせるラベンダーの
内奥へと

引いては寄せる光と光
血脈のように波打つそのうすむらさきの
どこか不安な
それでいて快い痛みにゆれる
ラベンダー
彼女の愛しかたで朝を迎えようと

開かれてゆく花のちいさな手のひら
光の露が 一滴
音楽のように結ばれている