旗を振れよ
あらゆる窓からバルコニーから
何にも属さない、きみの旗を
それはもって生まれたきみの模様
変わることがないきみの色彩
旗を振れよ
放課後の校庭からビルの屋上から
それはかげろうにゆらめく蝶の羽
陽に透けて見える毛細血管
きみがきみであるためのしるし
夏の空になげうたれる色彩
時のうちに崩れ行く意匠
小さな手が、若い腕が、老いた肩が
風にあらがって旗を振っている
誰かに向けて
何かに向けて
旗を振れよ
地上を覆いつくした蝶の群れ
祈りは乾ききったとしても
今ここにいることを告げようとして
旗がゆれる
町がゆれる
きみがゆれる
選出作品
作品 - 20050906_754_486p
- [佳] 旗 - まーろっく (2005-09)
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旗
まーろっく