選出作品

作品 - 20050801_092_362p

  • [佳]  No Title - 浅井康浩  (2005-08)

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No Title

  浅井康浩

わたしは添い寝をする あなたの
あどけないくちびるへと 甘酸っぱいやすらぎが染みこんでゆくように
わたしは添い寝をする あなたの
黒目がちの眼にかぶさるまぶたに 香ばしいほどの夢が降ってくるように

あなたはどこまでもどこまでも透明になろうとして
カーテンを閉めきったり 部屋の明かりをぜんぶ消したりして
誰もしることのできやしないどこか底の底のほうへと
カラダのすべてを使ってしずみこもうとしている そうやって
あなたは眠りこもうとしているのだけれど
あなたの横たわっているベットのまわりが暗ければ暗いほどわたしには
あなたのカラダの輪郭が人恋しさをともなってほの白く
この深いよるに 浮かび上がってくることを知っていのだから
いま、はじめて、
わたしはあなたの輪郭だけをすすり それが 今夜 あなたとちがう夢をみる夜の合図となって 
はじける 何かが、はじまるために、まず、
ほつれさせてゆく夢というものがあって、いま、わたしは添い寝をはじめる
もしかしたらあなたの
そのまぶた まつげ 頬 わたしの視線がなぞった先に
あなたがゆるやかに起きはじめてゆくのではないかとの不安はあるけれども