選出作品

作品 - 20050718_893_331p

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休日ですか

  あらい

目が覚めてベランダに立っている
気分はいつも不意にやってくるから
なんだか損をしているような気がしてならない
いつもと変わらない朝
植木に水をあげる
早々に
扉をあけた
思いつくように行動するのはきっと
一人の方がいい


センター街の八百屋で白菜を見ていると
みっちゃんに 見つかる

休日ですか
・・・・・・・
そのようです。

前掛けを弄りながら
店の暗がりから昭夫の長身が覗いてる
おまえの所の野菜は買わない

暇人。
ほめられて店をでる
もし私が そんな素敵な気分なら
八百屋で油を売るのだろう

雲行きが怪しい

煙草に火を点けて
淀川沿いを歩く
嫁のことを思いながら
そしてまた
我が家に帰って行こうとする

あの死んだムシ
先週きちんと買い物に出ていれば
我が家にも訪れたかもしれない
汚れた白菜の中から
不意に
完成して

私達の追い払う手を擦り抜けて
開け放たれた窓をくぐり
八百屋の空へと帰っていくのだ
長い
休日を賭けて