第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦


みさき (27/57)
  


引き上げたんです。それが当日のことでした。
 ほうで、この話はこれで終りじゃあないんです。後日、川上さん
がうちに来ちゃって、こないだの件で話があるんじゃ言うて。私は
ええですよ言うたものの川上さんもずいぶん辛えじゃろう思うて黙
りこんどったら、川上さんがこう言うちゃったんです。ありゃあえ
れえ家じゃ、あがあな家じゃ知っとったらわしゃあ関わらんかった
言うて。何事か思うでしょう。それでどういうことですか言うたら、
川上さんが壊れたカコイサマを出してきちゃって、これを見てみん
さいいうけえ、私見してもろうたんです。そしたらですね、あん時
は気付かんかったんですが、明らかに変なんですね。普通は板いう
んは、折れるときは木目に沿って折れるもんじゃ思うんですが、そ
れが木目と違う方向に無理やり折られとるんです。折られたいうか、
真ん中から割られたいうか、裂かれたいうんか、とにかくありゃあ
人間業じゃあない思いましたね。そんで川上さんも、こがな真似そ
うそうでけん、あすこにはわしらの思うたよりずうっと恐ろしいも
んがおったんじゃ、あんとき降りてきとったんは確かに美咲ちゃん
じゃったはずじゃ思うけど、それだけじゃあなかったようにも思う、
いうて。どういうことね言うたら川上さん、あの電球が切れたとき

第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦
月刊 未詳24 × 文学極道