があったじゃろいうて、あったあった言うたら、あんとき私見たん
よ、部屋が真っ暗んなる前、火花が飛んだとき、美幸さんの首を締
めとる美咲ちゃんをはっきり見たんよ、言うて。じゃけえ私言うた
んです。川上さん、それがほんまじゃとしても、そりゃあ首を締め
とったんじゃなくて、おぶさっとったんじゃないですかって。子供
が親の首い締めるなんて普通考えられんで、川上さんの見間違いで
しょう言うて。ほしたらそうじゃないんじゃて川上さんは言うんで
すよ。そういう子供が親に甘えとるようなふうじゃない、そりゃあ
もう物凄い形相で、声は聞こえんのんじゃけど、もう気がちごうた
ように泣き叫んどるんがはっきり分かったんじゃけえ、ありゃああ
の母親には表立っては言えんことが何かあるんで、言うて。私も川
上さんの言うちゃることが、そこでぴんときたんです。つまり、あ
があな神隠しいうようなもんは実際にあるわけはない、いうわけで
しょう。いやね、人の魂を降ろして飯を食うとるようなもんが何を
言うかと思われるでしょうが、そりゃあ話が別じゃろう思いますよ、
私は。人が死んで魂になるいうんはあっても、肉体のある人が煙み
たいに消えるいうんは、道理が通らんです。人一人が消えるいうん
はそりゃあえれえことなんで、そげえなことはほんまの神さんにだ