砂糖を舐めたんだ
それはとてつもなく甘い
丘の真上に太陽がやって来るとき
バニラの様な甘い香りがするのさ
第一、正常な人は臭がるだろう?
だけどここが大好きなんだ
葉っぱが日を受けて香るここが
それは砂糖の様に甘くて
それだけで満足なんだ
他に何もいらない
そのままの気分で家に帰ったら
妻にひっぱたかれた
「俺は何かしたか!?」
「あんたなんか知らない!」
その眼差しは随分前から感じていたけど
何故なんだ
俺は甘いものが大好きなだけなのに
恍惚に空を眺めた
星降る夜とはこのことだ
願い事は叶わないだろうが
シラフに戻ってやっと気付いた
「畜生、俺は何をやってやがる!」
でももう遅いんだ
それはいつものことであって
また俺は砂糖を舐める
そうすれば願い事の一つや二つは叶えられるだろう
それはとてつもなく甘い
空っぽの俺に染みていくんだ
今日も俺は、丘の上のコーヒー園に出かけるだろう
豆なんかは一つもない
そこに広がるのは葉っぱだけ
甘い香りでいっぱいだ
そうしてまた酔いしれていく
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100629_517_4498p
うららかな午後よ
土埃舞う裏道よ
黒い影がくっきりと視界を区切って
咲き誇る赤薔薇は
油絵のような光の中
重い青空に立ち昇る雲
閉じた螺旋階段
積まれていく 午後の一時よ――
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100630_606_4506p
>藤崎さま
>うららかな午後よ
>土埃舞う裏道よ
>咲き誇る赤薔薇は
>油絵のような光の中
>重い青空に立ち昇る雲
>閉じた螺旋階段
>あとごめんなさい、最後の“一時”の読みは“いちじ”ではなく“ひととき”です。
>閉じた螺旋にのぼっていけるよう、ほんの少し、ほんとうにわずかな読者サービスがほしいかなあと…。
2011.5.15
遅刻常連の君の居る街行きのバスを待ちながら、音楽で心が洗われた状態で陽の光を浴びている街路樹の葉を裏側から見上げたら、ふとプルーストの「失われた時を求めて」でマドレーヌを紅茶に浸して失われた過去が溢れるように蘇ったように、古めかしい「高校時代」の青々しく、瑞々しい感情が魂の底からひっそりと息を潜めて浮かんできたんだ。─誰も本気で好きになれなかった高校時代─、九年も前のことだよ、いや、訂正する、その歳月は長く濃くも短く薄っぺらくも感じる。
2001
殺伐とした日常をロックでスクランブルする
三角ポールが一つだけ白線の引かれた校庭に
太陽の日射し、視界と頭痛の間の鬱
弁当箱の中の光ものが光を乱反射
2001年の高校生はコンドームの中に乱射、頭痛の先端に
雨空から曇り空に変わったモノクロな吐き気を感じる
突風の午後にカーテンは受胎と堕胎を繰り返す
若しくは疲れた僕の鼻ちょうちん、胃袋の断末魔寸前の悲鳴と、喉の渇き
二年生、三年生、一年生、二年生と三年生孤独、同じ人間との距離の置き方
トランジスタ・ラジオの重厚さと僕の外見の恥ずかしさ、酒、煙草、博打
何でもやっちまえ
十六歳で僕は程良く暖かい青空に自然と溶けていくものだと思っていた
青春の汗が教室を横断して、僕はそれに気を取られていたので
体育の教論に三回は殴られた、僕は只のボロカスだった
時間を気にしない朝の空
溜池に沈んで行ったネット中毒の女子高生のセーラー服が泣いている
この先光の暗闇
心がどろどろする
皆の大切なものが消えてなくなる
いや、誰かに盗まれる
僕が見つけ出した、同じロックしか流さない放送局キー
ワールド・ツアーを回った、じょん・れのん
夢の中の映画館で観る、「夢の中の映画館で観る概念、
又は観念」
屋上の窓ガラスには文字の羅列、又は自信が無いけど、僕の感情の言語化
コンクリートの大きなシミになりたい、MDウォークマンと同化したいのだ
僕は小さな泡を沢山浮かばせている心のガスコンロを消し
記憶という時空を越え
バタくさく、白々しいラジオの電源をOFF
2002
毎日毎日同じ曲を聴きながら、晴天の下、堤防のサイクリングロードを疾走する。笑顔なのは上辺だけの恋に夢中になっていたから。感情に操作されている回想は、もしかしたら百%作り事かもしれない。それ以外よく思い出せない。断片的で不確かな様々な記憶が頭蓋骨の内側の天辺に突き刺さっていく。その中にその当時の想い人の姿はない。堤防を下りて雨宿りした橋の下、その時の車のエンジン音と水飛沫を立てる音だけは何故か覚えている。冷たい雑草の斜面に腰掛けて、氾濫した汚らしい川をただじっと見ていた。今と違ってその時は授業中に眠っていたから完全に覚醒していて、目の前にコーヒーの缶と煙草の吸殻が置いてあったから、数少ない自分の居場所を汚染されたような気がして、泥色の川の手前まで蹴り飛ばしてやったんだ。
取り壊された校舎には「自分の居場所」を幾つも持っていた。全ての階のトイレの個室、図書室の入り口の隅の袋小路、化学実験室、国語準備室の前のロッカーの横、もう一つの各階の階段の踊り場…。「キョウシツ」という「牢獄」では純粋無垢な僕は浮いていて、思春期というのもあったけど、クラスメイト達がまるで透明人間に感じられた。ただ気になるクラス一元気な女の子が、「キョウシツ」で「キュウクツ」に懸命に生きている様に絶えず心を掻き回されていたりして…。
その女の子は引っ込み思案で自分の殻に閉じ籠もった無口な僕の心を開きかけたけど─幼馴染みの他校の男子生徒とバイク事故に遭い─、今も意識が戻らない。
2004
君の忘れ方をふと忘れてしまった
世界で二番目に悲しい夜
可哀想な夜、孤独の発作が始まる
今夜限りのパニック障害
とても小さな夜が僕の喉の奥で騒いでいる
それはリング状に形を変え、回転している
あらゆる概念の外側の
眩い黄金色の宇宙から距離を置き
「名も無き」空間から生まれた椅子をロシナンテに見立てた
僕の思考の隣には灰色の喪失した心象が浮かんでいた
「廃頽的」な作風と「悲観」的な性質は
幻想世界の儚さを一気に落葉させる
僕は落葉する
この世界には存在しない夢の中で
僕は最後に質問した
「君の忘れ方を教えて?」
自分の死が滅された夜は続く
今の時代には珍しい文通の手紙の数々
現実で肉体を失った君が赤の他人と僕の中で重なって
君の骨格、皮下脂肪、その他諸々の
余分なもの、足りないものを頭の中で削り、付け足していく
僕の心の中で君は踊り、笑顔を咲かせている
世界で二番目に悲しい夜…
僕にとっての「悲しみ」とは
死んでしまった君の頬にキスをすることができなかったこと
僕にとっての「悲しみ」とは
この夜が「世界で一番目に悲しい夜ではないこと」
とうに過ぎ去ってしまった過去
「君の忘れ方を忘れられる方法を教えて?」
するとロシナンテは嘶くように軋んで僕に囁く
「死んだ彼女を再び愛せばいいのさ」
一昨日の夜
僕達は運命の出逢いをした
僕の愛の時計は君の類稀なる美しい顔を見た時から止まっている
永遠は決して物質的な代物ではない
僕達はまだ眠ることを知らなかった夜の淵で
大都市札幌の満天の星空を浴びた
僕達はキラキラと輝き、一生で一度きりの双子の星となって
そして君の憂鬱な唄を
君は死ぬことを僕に告知して
僕は君に首ったけなことを手の温もりに込めた
君は死んだ
一昨日の夜
僕は世界で一番生き生きとしていて
自殺してしまった君のことなど知らずに愛の告白を
不特定多数の人々に向けて公表した
それから僕は君の存在の不在を訊いた
泣いた
僕は悲劇と喜劇の主人公に成り切った
そして今、僕は運命の出逢いをした君の死ぬ一昨日のことを思い出している
悲しみの奥に「永遠」が
腐食し続けながら宇宙という概念の世界で漂っている
言葉にすることのできない感情
それは何かの音色となって真空の宇宙を彷徨い
孤独な余生への衝動の餌となっている
もし
あの時僕が君と一度きりの出逢いに遭遇しなかったら
答えは変わることを知らない白痴である
一昨日の夜から
僕と君は記憶の中で何度も再会している
清らかな胸の痛み、言葉にすることのできない感情
明後日の夜、大学からの帰り道、僕は自転車に乗った君に声を掛けられたが
その時、既に君はこの世に居なかった
その時、君は僕にさよならを告げに来た
孤独の真ん中
今と変わらぬ生温い心の夜
黄色の空と赤い太陽
知ることのできなかった近未来
自転車で駆け抜けた最後の晩秋
僕の幻の涙は死後の世界へ伝っていった
夏の花弁の匂いが鼻につく
疲れ果てた心は更に眠り込む
手垢が付けられないハリボテの詩
僕は君の為の大海原を縦断中
二ヶ月も前のことを思い出すのは至難の業だ
もう何も思い出せないかもしれない
僕の中の時間がゆっくりと呼吸し始めた
瞼を下ろす間隔も少しずつ遅くなった
雨が降るあの子の頭の上で
彼女の全てを溶かして僕の瞼と心の温もりとなる
空気を噛み続ける無意識と顎
これ以上二ヶ月前の赤い太陽を見上げていると脳が張り裂けそうだ
夢をみ続ける現在の学歴のままの己
昨年合格した大学入学資格検定
朝霧に満ちた現実逃避への歩道
発想を揉み消してしまう夕方の仕事
適度な室温
室温の心
「ラヴ」
匂い
松尾芭蕉の体臭の匂い
室内プール場での銃撃戦
あの子の満面の笑みが見たかった
込み上げる切なさと後悔
返事の無い君への一方的な想い
他者に使い古された愛の言葉
それを言いたくてもなかなか言うことができない、もどかしい
2002年十一月
それは僕の記憶の奥の理想郷
今の僕には何が真実で、何が偽りなのか分からない
僕の世界には虚しいものが沢山ある
ただ僕の創作物だけが真実の光を帯びている
瞼を瞑る
一人では居られない2004年十一月、イエローに彩られたいちょうの世界。僕は落ち込んだ時、その色に心を変色させるのだ。君と、君との思い出に結ばれた心。きっと君以外の女性と生涯を共にしたとしても、切なさはこの胸の中に残り続けるだろう。未練。
心の中のプラットホームを断続的に通り過ぎて行く虚しさ
世界を透徹する瞳、気管支まで上ってくる重たい虚無
僕は溜息をつく…
白い休日の白昼に、僕はこの世の唄を歌った、すると2002年十一月、つまり僕の記憶の奥の理想郷が脳裏にありありと浮かび上がった。日本の晩秋の余韻に浸りたい、これから春になるまで寒いから、毎日靴下を履こう。僕はふと思う。僕は生ける屍なのだろうか。…そう問うたところで誰も答えてくれない。ただ食事の時間が、現実世界の時計の歩幅で迫って来るだけだ。
死んで、生きて、死んで…
生者の唄が頭の中でそう木霊する
長い冬の終わり近くから
枯葉の吹雪の激しい木曜日、それは永遠の日
だが僕の理想郷はそれに取って代わることはない
苦しみに耐え得る者だけが勝ち取ることのできるもの
僕は僕の創作物だけが虚偽である世界で生涯を全うすることができるのだろうか
誤解を繰り返さぬよう
いつか他者へ慈愛を
子供の夢のトンネルを抜け、万物の実体の蠢く世界へと出たのだ
それはひどく滑稽なものだが、時として人に強烈な恐怖と虚しさを抱かせる
それらは交互に精神を苛む
同時に苛むこともある
この十一月に木の葉は全て落ち、理想郷と重なる場所は何処にもない
思い出の2002年十一月はもう僕に必要無い
有るのは2004年十一月の真実の光のみ
2005
愛する君が思い出になる前に
君のことが大好きだったと大声で叫びたい
真冬の青い橋の上で
涙なんかうっすら浮かべてさ
君の温もりが同じ空間を伝い
僕の心臓の温かさと共鳴してくれた
暖房機の熱気
そんなもの一切と絡まらずに真っ直ぐ届いていた
ひょっとしてまだ僕のこと好きでいる?
君からの手紙の温もりを想像し
君からの携帯電話のメールの冷たさを思い出す
あまりにも狭過ぎた世界を君と過ごした日々
僕がいつも遠い目をしていたことに気付いていた?
そして現在も遠い目をしていることを想像できる?
本当は君を抱きしめて泣きたかったんだ
でもそんなことをしたら季節は冬から春に変わってしまっていた
君が思い出にならない為に
僕は今すぐ死にたい
夜のロータリーの近くのコンビニエンスストアで
君は僕と夜行列車に乗る為に待ってくれているというのに
毎年毎年
君と同じくらい大好きだった先輩が死ぬんだ
春になり桜が散り始める頃に睡眠薬でね
僕のことなんて思い出にすら加工しないでね
そんな夜はいつも心がブルーになる
先輩がこれ以上思い出にならない為にも
僕は何時までも生きていたい
大都会の満天の星空を
右側の八重歯を出しながら見上げる美しい先輩と
僕は思い出の中を歩き続ける
そうすることで先輩は僕の中で生き続け
僕は悲しみを忘れて元気で居られる
僕が君の思い出になってしまったとしても
脳裏で首を吊った三、四年前の故郷の風景と
死刑台に固定された僕
あの頃平凡な感性にじっと浸っていれば良かったんだ
白けるクラスメイト達の存在
世界は僕を中心にして回っていない
今は違うだろうけど
何もマリー・アントワネットになりたいわけじゃない
ただちょっとした我儘を言ってストレスを発散したいだけだ
ただ風になりたいだけだ
心を空虚にして
孤独をその中に満たして
心を空虚にして
孤独をその中に満たして
その繰り返し
そのメロディー
僕の言葉の原子は音だ
僕の文章は音の配列の組み合わせだけで成り立っているんだ
ほら
僕の青春時代は虚ろな音の色々でできているだろう?
TVの中に白いアパートメントが建っていて
僕は相変わらず子供のまま
今夜ヘミングウェイとカート・コバーンの猟銃二丁で
想像上の君を射殺する
縁の欠けたティーカップの中に混じる血の匂い
生命は地球の中心の強力な磁石に引き寄せられている
血液の中に鉄分が含まれている故
血液の中に鉄分が含まれている故
僕で終わりだ
終わりのあと僕は暇、君は暇?
金魚の入ったビニール袋の口を完璧に絞めて
僕に幸せは必要ない
天国の住人達のように地獄へ落ちる恐怖にずっと慄くのは嫌だ
緑葉がひらひらと落下していく
枯葉剤のせいだろう??
2006
また発作という名の衝動が自殺した君を求める
世界の時間だけが逆行し
僕を二年前の六月に一人置いてきぼりにさせて、自分だけは帰って行く
其処には僕の君に対する悲しみが生々しくどろどろと暗闇を這って居た
今の僕の悲しみは半ば腐乱して居る
あぁ、悲しい
あぁ、悲しい
君の時間の死臭が鼻に付く
僕は瞼を閉じる
すると目の前に白い兎や宇宙人の子供と一緒に君が笑って居る
居る…
涙が君達を溶かし、蒼いまま暗闇に落ちて逝く
落ちて逝く…
僕の脳裏に浮かぶ言葉と永遠の悲しみが蕩けていく
僕達は一度だって一つになれない
それから二年と五ヶ月の歳月が流れて今此処に居る
もう、僕は何歳だろう
僕も死のうか
首を吊って死のうか
また、君に会いに死のうか、殺されようか
悲しみ過ぎると死んでしまう動物になりたい
僕の未来はずっと暗いままの方がいい
君を忘れたくないから
君が飲んだ睡眠薬を飲んで
あの世へ君に逢いに、黒い車を飛ばすのさ
そして君と再会して
「やぁ、元気にしてた!?」、なんて言ってさ
満天を見下ろすホテルの最上階のバーで美味しいカクテルなんて飲んでさ
白い空間で君が八重歯を出して微笑んだ瞬間にその八重歯にキスをするんだ
もう僕達は離れることはない
だって決して千切れることのないキスをしたのだから
そのキスは睡眠薬の苦い味がしたけれど
もう僕は君以外信じられる人は居ないんだ
そう、此処には居ない
あの世の花畑で、満面の笑みを浮かべている、向日葵のような君は
2009
この想いは本当の愛なのか
あらゆる冷徹な障壁が僕の脳味噌を丸洗いする
一玉98円のキャベツのように
僕は別にもう君を恨んで等いない
ただ、この妄想の唄が誰の為に歌われているのか分からずに
ひどく打ち拉がれているだけだ
冷え切った脳は恐怖に慄き
君の唄を一切受け付けない
身も心も君に愛情を注ぎ果たし、くたくたに疲れて居る
僕の瞼に明日はやって来ない
夜明けは死んだ象のように冷たく凝固したままだ
謝肉祭を始めるペニス
僕を慰めるのは君への未練の滓と、他の女性の裸体だけだ
僕は彼女達の中に、それを涙ぐみながら詰め込む
僕の影が冷えた裏庭で首を吊って居る
その行為自体が僕の心の苦痛を消化し
一時的に恍惚に耽る
この世で、憎む人間の死程、嬉しいことは無い
僕は既に洗脳されているのだろうか?/Yes.
世界中の精神科医に僕の子を身籠らせ
最も優秀な子孫を繁栄させたいという欲望
僕は君を愛するあまり、頭がおかしくなってしまった
君の唄が染み込んだ細胞を全て死滅させる薬を飲む程重症だ
僕は夜霧を鼻の穴から吐き出す
君への未練の滓が熱を持ち、君に対して絞殺願望を抱く
その位僕は洗脳されている、と自覚している僕
影の次は僕が絞首刑の番だ
そう自問自答を終えると、途端に君の唄に柔軟さが生まれ
あらゆる冷徹な障壁が姿を消した
僕は絶望の淵から脱出し、正気に戻り、醜悪な感情を消去した
無になった心に、水のように透明な君の唄が注ぎ込まれてくる
爛れる言葉
この洗脳が正しいものであるかどうか、今の僕には分からないが
今の僕にとっては毎日が「世界で二番目に悲しい夜」で
二人の孤独な月が太陽の餌食となる夜々が終わらない
疲れ果てた心が涙となって遠ざかっていき
不思議と心臓の重さが無くなる
僕は騙し騙しに君の名前を何度も打ち砕いているばかりで…
君の自殺は僕の恋心を劇薬にした
今もその後遺症が消えない、いや消すことができない…
僕は普通の幸せが欲しかった
何処へ行っても溶け込めないのは君と僕が特別な存在だから…
君を卑下する人達がいるだけで僕は失望を打ち消すことができる
やっぱり僕達は“仲間”じゃなかったのかな
君がもう生きていないことはやはりまずい
胃の底に穴が空きそうな孤独感
満月が永遠を照らす
僕の背骨が、君の御骨が蒼く、黄色く光る、瞼を閉じればほら同じ暗闇
君を助けることができなかった
自殺する前に我が儘な恍惚を抱いて君は逝った
“M”
このイニシャルを記しただけで僕は後悔と魂の解放、そして永遠に成る
君が親友に嬉しそうに電話している光景が浮かぶ
M、君と別れた後、僕には君が死ぬことが分かっていたんだ
流星群のような僕の涙
君が自殺した翌日の、世界で二番目に幸せな夜、
僕は君とすれ違い、声を掛けられたんだ
「あっ、マルヤマ君」
不覚にも僕には他の男と自転車で
向こうの世界の暗闇へ消え去る姿を、ただ見送ることしかできなかった…
きょとんとした君の猫のような、大きく美しい瞳、イコール僕の心の全て
とびっきり可愛らしい御顔
僕を支配する君の骨壷
あの頃、何の為に生きていたんだろう?
ただ、君か死んで変わったことと言えば
君とは異なる女性の心の声が聞こえるようになった、という事だけだ
僕は高校時代、胸に夢を抱いていた
遠回りの堤防のサイクリングロードを通って通学し
下らない授業はボイコットして眠っていた
そう、君もきっとそうやって生きていたんだ
将来の夢は獣医か天文学者…
僕はスピッツの「ロビンソン」を聴きながら、青春を謳歌した
結局その夢は叶わなかったけど
“君”という胸に秘めていた理想の女性と出会うことはできた
しかし、君が自殺してから、僕の青春時代の終止符は打たれた
もし僕が普通の人生を送れたのならば
僕は君の恋人となり、幸せな家庭を築いていたことだろう
だが運命というものは有りの儘の事実を僕達に提示してくる
それに加減等無い
在るのは甘ったれた僕にしてみれば
過酷過ぎる、人の温もりの無い現実であった
もう、あれから五年が経つ
君の温もりが今も僕の胸の中に残っている
とっても、とっても柔らかくて桜の匂い香る温もり…
君と歩いた睡眠中の桜のトンネル
君の猫の目よりも大きな瞳、完璧に整った顔立ち、声
カーマインのショートボブ、右前歯の八重歯
狂おしくて思わず抱き締めたい程の華奢な体…
その記憶の全てが現在の僕の血肉となっている
君の為に唄った歌を君はまだ覚えている?
もう二度と逢えないね
君が生きていれば、僕は獣医にも天文学者にもなれたかもしれない
君の死によって僕の人生が崩壊したのは事実だ
しかし僕は人間故
そのアクシデントを予知して避けること等できない程、君を好いていた
君は僕が死なない限り、僕の一番大切な思い出から消えることは無い
君は僕が死んだ後も、僕の作品の一部として後世へ語り継がれる
あの最後の別れ際の時、君の色白い手を握って離さなかったら
君とあの夜を共に明かしたに違いない
悲しい時、僕は永遠に二十一歳の、君の可愛らしい笑顔を思い出す
2009.12.25
基督の血を少し口に含み、細雪の降る聖なる夜に教会で一人願う事。冷気が外界から滑り込んできて築三百年の木製の床を這い、祈りを妨げる。正面の巨大な色取り取りの神のモザイク画の光沢が表面の温度を頬に伝えている。辺りは蝋燭の溶ける匂いに満たされ燭台に近付くと心まで蕩けそうだ。ぼやけた暗闇は熱を染み込ませ耳から垂れ流れる数時間前の賛美歌が終わるのを心待ちして重力と浮力の間で板挟みになり、停滞している。凝り固まった本能のまま両手を組み合わせていると心までが軽くなった気持ちになり、祭壇に君の亡骸が硬直したまま─ただ白い尻の肉だけは生前の弾力さを保ったままで─、神とその使いに肉体ごと還るべき場所へ運ばれていく想像を思い浮かべる。それが思考の領域を拡げ、永遠なる存在を前に、見神の域に達し、命の価値が無限の時間の観念を上回る。
街の喧噪は静まり、規則正しい大聖堂の振り子時計が、研ぎ澄まされた聴覚も手伝ってしんしんと降る細雪と揺らめく蝋燭の炎の音の存在を浮き彫りにさせる。今にも倒壊しそうな古めかしいパイプオルガンのパイプの先端が喉の渇きを連想させ、祭壇の聖杯を一気に飲み干す。潤った欲望は思考の動きを止め、意識の赴くままに聖水に指を浸しゆっくりと十字を切った。濡れた指の光沢は海水を彷彿とさせ、その味と匂いが口の中に広がる甘美な鉄の風味を際立たせる。神よ。新しい血清が心の底まで降りていき、やがては全身を巡り巡るでしょう。そして明日からの素晴らしき日々を輝かしいものにするのです。午後八時の時計が汚れ無き純白の羽を収める空間に鳴り響いた。
神父のいない懺悔室で愛しき君を言葉という槍で傷付けた告白をする。米国や欧州、いや世界中では救世主の生誕を盛大に祝っていることだろう。神のいないこの街の外れのなだらかな丘に立つ教会の窓からは激しい吹雪に変わった外界が見て取れる。現実主義の住人は皆ニーチェに感化された如く神の不在を主張する割に我が子にサンタクロースを信じ込ませる。彼の赤い仕事着は救世主の血で染め上げたものではなかったか? 住人達は彼こそが基督の生まれ変わりだと誤信しているのではないか? 何れにせよ、純粋無垢な子供には何の罪もない。打ち明けた心の痼りは気化することなくドストエフスキーが生涯父に対して罪悪感を持っていたように、ずっと奥の奥の方に沈んでいって想起や夢という形でもって煩悶させるのだろう。しかし死ぬまで抱懐しているよりはましだ。
吹雪の止んだ外界に出てみるとラヴェルのピアノの音色に導かれるように、雪雲の大陸はゆったりと─いや、この青い惑星が回っているのもあったが─、満天の灯の上空に吹き荒れる風に流/さ/れていった。夜の世界は限りなく広く、瞼と眼球の熱は有限の宇宙を透き通し、銀河を見つけた。脳裏の熱は耐え難い切なさを月の光から守り、自らの影に決定的な何かを育ませた。街は目を閉じ、基督を、サンタクロースを待っているかのように遠くの夜空が生んだ蒼と漆黒が混合した薄い闇に胸が痛んだ。それは己の孤独の死が飽和したことを意味していた。暖と眠りをとる為に教会の中に戻り、長椅子に横になり、君の夢を見、時計台の鐘の音が十二回聞こえると目が覚め、窓の外を見てみると、再び細雪が降り注いでいた。蝋燭の消えた暗闇の大聖堂で仰向けの状態のまま天井の宗教壁画に目を凝らす。彼らは睡眠を取らないまま、永遠の世界で笑みをたたえている。冷気が骨の髄にまで凍みていたが不思議と恍惚とした気分となり、君といつの日にか天国で再会することを願い、誠実に懸命に、神より与えられしこの人生を全うしようと心に誓った。
2011.5.15
雲が太陽を覆い隠して、葉肉が黒ずむと、現実に引き戻され、視界の先の建物に涙の海の水温を感じ取った。─君は恋人が死んだことを知らずに眠っていて、君の居る街に見舞いに来るのは他に誰一人としていなかった。結局そういう奴らで社会は成り立っているんだ─、─そう思うとやりきれなくなって高校を辞めた─。外見に似合わず君は詩が大好きで、真っ赤な光に溶けた堤防の雑草の斜面に一緒に座り、からかわれながらろくに使っていないノートの片隅に書いた、即興の詩を覗き込んで歓喜の声を上げた君の横顔を思い出すとついに涙で頭が垂れ、集中豪雨の中バス停でただ一人佇んでいた。せめて君に読んで聞かせる為に創った詩のノートが濡れないように鞄を抱え込みながら。
何時間も何時間も黴臭い橋の下で雨が止むのを待っていると、傘を差し出してくれた君の笑顔が自然とキスの欲求を促し、それをいち早く察した君からのキスは更に他者との壁を作ってきたけど、あの時と同じように、時が経つにつれて雨雲が引き裂かれていき、陽光が地上の世界に差し込むと、虹が遠くの空に現れた。虹の端と端から中指と人差し指の足を持つ恋人同士が出会い、唇と唇を重ね合わせる真似をすると君と微笑んだ。今もまた虹の端から指の足で駆け上がっていくと、丁度良くバスがやって来て重ね合わさり、本気で君を愛していることを実感して、君の居る街行きのバスに元気よく駆け込んだ。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100705_833_4521p
>一人歩きした女性像は恐い、宗教より恐いかもしれない
>愛する女性の死を望む、「世界の中心で愛を叫ぶ」的
一人ぼっちで逝ったあなたへ
あなたは、私の欺瞞的な生きざまを見抜いていたのだろう。
そして、私の情けない生きざまを非難していたのだろう。
あなたは、最期まで私には何も本音を語らず、笑って逝った。
肺がんの為に、ガラガラした苦しさを隠すことなく、大声を発し笑って逝った。
私は、何も知らずにあなたに酷い口調で話しかけていた。
私達、兄妹は何も分かり合えず、剥き出しの魂だけが、虚しく空中で舞っていた。
本当に悲しいというより、パサパサとした無味乾燥な感情が、
ただ、ただぶつかり合いも出来ずに、どこかでぶつかり合っていた。
あなたは、あなたという存在は、私を許してはくれないだろう。
今になって、逝ってしまう事の恐ろしさをただ一人きりで噛みしめていたとしたなら、私は、なんて無神経に残酷な言葉を投げてしまったのだろう。
どこともなく、さし迫ってくる死というものを共感するどころか、
私は呆気らかんとした態度で、撥ねつけてしまった。
今になってあなたとの触れあった想い出が、幼い時しか無い事が虚しすぎる。
あなたは、あなたの存在はどこかで今でも私の影として、暗く圧し掛かっている。
あなたの荒れていた青春時代に、私は両親の愛情を独り占めにしてしまった。
お調子者の私は、おどけて媚をうって両親の気をひいては悦んでいた。
あなたは、いつも蚊帳の外で家族のなかで一人ぼっちで格闘していた。
両親との確執の中で、早熟なあなたは何処にも居場所が無かったのだね。
今は何処にいるのだろうか。
自分の居場所をみつける事が出来ただろうか。
「千の風になって」なんか生きている者の慰みごとかもしれない。
だけど、仏になって成仏しているのかだけが気にかかる。
きっと今でも、私の硬骨な狡さに嫉妬、否心穏やかないのではと不安になる。
人は死んだら、どの人に対しても心の真髄までの丸裸な姿が、見えてくるのではないかと思って恐れ多いなと不安になる。
死人には娑婆にいる人々の他人には隠しておきたい、精神的な欲望を曝け出せるのではないだろうか。
本当に生きるという事は、断崖から落ちはしないかという危うさと、隣り合わせなのだと思う。
兄は生前、宗教について歎異抄が真の宗教ではないかとよく言っていた。
歎異抄が唱える、悪人こそが救われるといった考えが言わんとしている事は、人間の弱さ、醜ささを根底において、それら全てを認めたうえで、それでも否それだからこそ仏に救われるのだと言いたいのではないだろうか。
悪人こそが救われるという兄の思いは自分の醜ささをみつめていたのではないかと思う。自分の醜さを認めるという精神は、案外悪くないと思われるが、それに慣れ親しむと、今の自分の不完全な精神から上に向上する事への離脱が生じる。
つまり、魂の怠惰が生じるのではないかと思う面もある。
しかし、人間、弱いもんだ。もろいもんだ。情けないものだ。
私なんかは毎日、泳げないあんこのたい焼きくんの様にあっぷあっぷして今にも溺れそうだ。
不安でいっぱいだ。
胸がひきちられそうだ。
恐ろしい。
不吉だ。
目に見えないものに襲われそうだ。
生きていれば悪にも染まり、自堕落な日々を過ごす時もある。
私などは毎日、ぐうたらで馬鹿げた妄想に駆り立てられ、無意味な事に奔放している。
どうか私の狡猾な思いやがりをお許し下さい。
不安に歪んだ心をお許し下さい。
お見通しのあなたへ
体裁だけの私より
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心のささくれ
心にある拘りが、自分自身を突き刺さしてくるのです。
心の中にある棘が、己を追い詰めていくのです。
チクリ、チクリと時にはグサッと、心の芯を突いてくるのでひと時も油断できません。
遠い昔のささくれも今溢れるささくれも、みんな受け止めれば良いのだけれど、
みんな血を流し、溢れ出して襲いかかって来ます。
心が泣いているのです。
シクシクと痛がっているのです。
棘は自己繁殖して、己に向かい攻撃の手を緩めてくれません。
自分の思いは、何も望んでいないと降参しているのに、それでも私のエゴを見破って、
そこを狙って集中攻撃してくるのです。
強くならなくてはいけません。
それには、誰にも素直になる事が必要不可欠です。
そして、今の憂鬱を吹き飛ばすような、
夢中になれる事、何か打ち込める事、を見つけ出さなければなりません。
社会に負けても、自分に負けたくはありません。
叶わぬ夢とは思うのですが、一生のうち一時で良いから他人に対して、
心和む屈託も無い笑顔を、施してみたいです。
そのような人いますよね。
そこにいるだけで、心が和んでくる様な、お地蔵様のような人が・・・・
其の為にも心が少しでも、強くならなければならないのです。
卑屈な今の私には本当に不可能な事のようですが・・・・・・
我が行動の醜態は、我が精神の怠惰なり。
我が心の病は、我が精神の悲鳴なり。
我が心の迷いは、我が意志の弱さなり。
我が心の退廃は、我が理性の堕落なり。
我が心の歪みは、我が感情の悪性なり。
我が心の動揺は、我が意識の希薄さなり。
我が心の哀しみは、我が精神の嘆きなり。
我が心の慟哭は、我が精神の最後の砦なり。
君、何人も、我が心の弱さ見透かして、
表皮をひきちぎられ、身悶えする我が心。
闇の深さは、事知れず。
我、出来うるは、頑なに心を閉ざし、苦笑い。
君、何人も、我が心の醜さ見逃さず、
本性暴かれ、丸裸にされる我が心。
腐った精神、限りなく。
願わくば、君の御霊で、閉ざされた、冷めた心を温めん。
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こんにちは
上から溢れて浴びるようなバケツです
粘液が次々と乾いていくので
日陰のないコンビニエンスの駐車場
で
両腕を捧げてどうしようか迷っているところです
というわたしが
眸は開いたままで椅子にただ座りながら
ペンを握ることもせず
キーボードに手をあてることもせずに
光の中の闇のような蛍光灯の下で
あなたのことばかりを思っているのは
目のまわりを膿が駆けまわる
こんな思いは
わたしだけですか
涙が冷めきったアスファルトの上
邪魔物みたいに吸い取ってももらえず
二足の靴がただ並んでいます
力は抜けきって並んでいます
ありふれたわたしの左頬には
あなたの顔中の紫の痣が
殴りました
ええ殴ったんです
わたしは 五年前
グーで 中指立てて
石も握るほどの勢いで
そしたらわたしの左頬が腫れあがりました
そこから 目のまわりを
膿がうぞうぞと駆けまわる
こんな思いは
わたしだけでないと
知りながら
こんばんは
わたしはいぼくしましたわ
ははははは
不格好な詩ですよね
泣き真似のふりしながら書くとこんなんなります
さかさに読んでみたっていいですよ
なんにもでません
下からぼうっと立ち昇っていきたいような満月です
なんて亡父の骨に似た色
うかべて
あれを書きたい
あれを描きたい
UFOに似たものさえ飛ばない
ほんとうの
というわたしが
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100712_052_4539p
>こんにちは
>上から溢れて浴びるようなバケツです
>二足の靴がただ並んでいます
>力は抜けきって並んでいます
>ねころうさん
>空丸ゆらぎさん
連なる体温、細く線が引かれていく風景を、遊びながら、
仲良く並んで、みていた、緑が次第に濃くなってゆくのを目撃したとき、少しだけふるえた、
薄い膜を通して、世界を見ていたぼくの目は、くっきりと視点のあった触れそうな葉を捉えて、粟立つ、
ほんもの、を見た気がしたから、
芯のある線が、とめどなくおちるなか、きみの可愛いくちびるの色をした花をみつけて、ひとつ手折る、
萎れたら、ちゃんと弔いなさいね、肘を突つかれて、薄い色が笑う、
密度の濃い緑の匂いに、目眩がして、体温が高くなる、熱を発する地面からも、水滴が、ぽつぽつと、額に、かかり、
しゅうと、音を立てて気化し、飽和する、
砂の間を吸い込まれない水が、流れているところに、草の中から、小さな蛙が一匹、ぽしゃり、飛び込んで、
驚きで目を見開いた、ぼくは、汗か水か解らなくなった腕で、きみの熱い手をにぎりしめる、
瞬間、きみのまわりの空気が、蛙の匂いを含んだ、
まわりの木々は、たっぷりと水分と熱を吸い込み、静かに鳴っている、
蛙は、きょろりとあたりを見回し、何かを確認したように去っていった、
ばいばい、かえるさん、きみのくちびるが、ゆっくり動く、
風のない、日だったから、何にも邪魔される事なく、直線に降りてくる線は、膜を溶かし、くっきり際立たせて、
そして、ぼくは、
(あらわれた、)
と、おもった、
先ほど手折った花を、きみのやわらかく濡れた髪に、飾って、
ぼくたちは、体温の高い手をつないで、風景になった、
あたりは、鮮やかな緑、
6月の細い線は、まだおち続けている、
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100714_090_4549p
傷付いている! ベッドに横たわるとき、何故だかそう思う。すると、私のうえにバスが現れる。見慣れたあの、鉄の箱が近づいてきて、丁度、胸の辺りで停まる。これ程の乗客が、装填されていたのかと驚く位に、膨大な数の人ごみが降りる。眠りの間際に、そのような驚きを得ることは、愉快、愉快だ。
乗客は、それぞれ、マッチ棒のような黒い頭を持っていて、折れそうで心細い。大きな手が、それは私なのだが、溢れるそれら乗客の一人一人を、その殆どを、丁寧に間引いていく。黒い頭を、次々に間引く。日によって、唯の気まぐれによって、様々なその理由を付ける。参照すべき法則を作るのだ。
バスのなかには、きっちり八人。二人がけの座席の通路側に一つ。通路を挟んで、窓ぎわの座席に一つ。そうやって求めた二人の対を、きっちり四列、作る。真ん中に、やや淋しげに配置していく。マッチ棒の、整理整頓の按配。私は、愉快だ。私は云わば袋のようなもので、それは、痛みすら内包する!
何かが、騒ぐ。バスは走り去っていく。人ごみを収納し、袋のような私を置いて。ベッドが僅かに軋み、そう、振動が伝えられているのだ。私のうえには、円い鉄の板が、疑問符のように架かっている。よく見れば、行き先案内の、唯のバス停のようだが。私は、のびをする。何度となく寝返りを打つ…。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100701_609_4508p
>田中宏輔様
>参照すべき法則を作るのだ。
>本当はレスのなかに詩があり自身が掲げた作品の方が実は(レスのようなもの)なのでは ないかって‥
>みんな本当は他人の作品なんてどうでもいいんだなぁ‥が浮き彫りになるわけです。
>自閉症のこどもは、ある規則だとか法則にものすごくこだわる傾向がある、といいますけど、それと似たものを感じました。
>大きな手が、それは私なのだが、溢れるそれら乗客の一人一人を、その殆どを、丁寧に間引いていく。黒い頭を、次々に間引く。日によって、唯の気まぐれによって、様々なその理由を付ける。
>言葉は意味の伝達手段であると同時に、それ自体が存在なのだな、と思わせてくれるような文でした
>そこではモノが、等価に、ばらばらに併存するのです。
>それこそがオカルトや疑似科学による科学批判とは一線を画した、正当な「反科学」だと勝手に僕は考えています。詩の魅力だと。
>僕なら、そうですね、例えば、「爪を使って黒色火薬で塑性された頭を開いていく。何かをしようとしているのだけれどもほぐれた火薬がぼろぼろとこぼれて、ますます何をしようとしているのかわからなくなっていく。」とするところです。
>「意味がない」ということにわたしは詩の価値を置かない。
>もし、完全な空想としての作品だったなら、以下の俺のコメントは全て無意味です。
>全能である語り手が存在する。その結果、バスでの件は現実となり、語り手は床につきながらにして世界の事象に関与できる。
>認識する世界をそのまま反映させるのではなく、詩文によって世界が再創造される。
>作者の意識した何ものかを伝達するための言葉ではなく、作者を介さず世界に直接開かれた、モノの存在と直結する言葉が幻として存在する。言葉の直接性って、つまりそのことなのでしょうか。
>日によって、唯の気まぐれによって、様々なその理由を付ける。参照すべき法則を作るのだ。
凪に
立葵の首がからからと回る
細くながい指のさき
防空頭巾はしろい黒い
僕は何の役にも立たない
手旗信号の練習をする
三味線引きの猫がぴん、と鳴いて
けさがた道になっていた
手紙は開けずに焼いてしまう
夢の女が振り返って
白雲に午後の青果は青い
見たことのない言葉を話す
缶詰の蜜柑は流れていた
始めからそうだったのか
それとも早すぎたのかは知らない
月のない夜は戦没者追悼集会に
出られない家いえが集まって
話せない話ばかりを話す
祖父の左肩にはまだ生きている
戦争がいまもしずかに殺し
夜な夜な天袋から降りてくる
女のことを誰も見ていない
どこかしら母に似ていたけれど
よく見れば宛名のない封書だった
赤い太陽に曝されれば
赤い色から抜けていく
長い長い行軍の果ての果て
言葉を殺した父を殺した言葉が
黒墨の下で死んでいる
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100702_738_4515p
>あまり関係がないと思える二連、三連がちゃんと位置づいている
>話せない話しばかりを話す
>それぞれ一行〜三行程度の、各部分で完結してしまっている
>断片を並べて読んだだけのようだ、という頼りない読後感
>分解して短歌十首くらいに仕立て直した方が、ずっと良くなるんじゃないか
>「三味線引きの猫」は、どうして三味線引きでなければならなかったのでしょうか。
>また、「道になっていた」というのは、どういうことでしょうか。
>「箱」ってなんでしょうか。
>急に出てきた「夢の女が振り返」ったのはどうしてでしょうか。
>「白雲に午後の青果が青い」って、どんなことを表しているのでしょうか。
>「見たことのない言葉を話す」のが、どうして「缶詰の蜜柑」じゃなきゃいけなかったんでしょうか。猫だった道に落ちてでもいたのでしょうか。
>「それとも早すぎたのか」って、どういうことですか。
>どうして「月のない夜」なんでしょうか。
>どうして祖父の「左」肩なのでしょうか。そこに傷が残っているのでしょうか。
>「戦争がいまもしずかに殺し」って、何を殺しているのでしょうか。
>「殺す」という言葉に秘められた印象を生かしたかったのでしょうか。
>どうして「天袋」から降りてくる女は「空の封書」でなければならなかったのでしょうか。
>最終連はやたらと語の反復がありますが、これはどんな効果を狙ったのでしょうか。私には少しうるさく見えてしまいました。
>凪に
>立葵の首がからからと回る
>細くながい指のさき
>防空頭巾はしろい黒い
>僕は何の役にも立たない
>手旗信号の練習をする
>三味線引きの猫がぴん、と鳴いて
>けさがた道になっていた
>箱は開けずに焼いてしまう
>夢の女が振り返って
>白雲に午後の青果は青い
>見たことのない言葉を話す
>缶詰の蜜柑は流れていた
>始めからそうだったのか
>それとも早すぎたのかは知らない
>月のない夜は戦没者追悼集会に
>出られない家いえが集まって
>話せない話ばかりを話す
>祖父の左肩にはまだ生きている
>戦争がいまもしずかに殺し
>夜な夜な天袋から降りてくる
>女のことを誰も見ていない
>どこかしら母に似ていたけれど
>よく見れば空の封書だった
>赤い太陽に曝されれば
>赤い色から抜けていく
>長い長い行軍の果ての果て
>言葉を殺した父を殺した言葉が
>黒墨の下で死んでいる
>>凪に
>>立葵の首がからからと回る
>状態としては「凪」であるのに、立葵の首がまわる
>なにかがはじまったり、時間が流れだすイメージ。
>三味線引きの猫、シュールだ。
>けさがた道になる、というのは、猫が殺されて三味線になって、三味線引きの商売の道具として、道をつくった、てふうに読んだけれども。
>箱は開けずに焼いてしまう
>夢の女が振り返って
>>見たことのない言葉を話す
>これ、わかんないです。
>「早すぎた」とされていることは、詩中で言えば「箱を開けずに焼いてしまう」という行為のことかしらん。
>いまいちピンとこない連ではあったけれど、ここで描かれているのはまさに「予後」のことですよね。
>ちょっと概念に寄りすぎ?なのかしら。ここだけ色がないのもあり、ややぼやけた印象。
>>夜な夜な天袋から降りてくる
>>女のことを誰も見ていない
>この女はさきほど出てくる夢の女とは違うのかな。
>「誰も見ていない」というのは「誰でもある」ということのようにも思えるし。
>空の封書…?なあ。空の封書。夜な夜な天袋から降りてくる女≒母≒空の封書…?母がこのふたつを媒介するものとして考えていいのかしらん。
>赤い太陽に曝されれば
>赤い色から抜けていく
>父は言葉を殺し、わたしは言葉をもって父を殺す。うーん。
>「箱は開けずに焼いてしまった」のは、語り手ではなくて父や祖母が、「箱の中身をわかった上で」やいてしまったのかなあ、と。
>「戦争」は語り手にとって「自分には直接関係ないけれども、自分に関係のあるところで過去にあった事実」であり、「箱」や「封書」はそれを象徴する、というかそれがあったことを示すなにかなのかなと。(○○跡地、みたいな)
>ひとつひとつの言葉がきちんと意味をもって配置されている(気がする)
>このあたり、僕はふと不安になったのですが、読み手にはこの詩の語り手が子どもだということは伝わっているんでしょうか。まあいいか。
>「三味線を引く」という言葉が「虚偽」「虚言」を表わすこと。
>「こう思って作った」というところを完全にばらすと、詩がだめになりそうなので。
>凪に
>立葵の首がからからと回る
>細くながい指のさき
>凪に
>立葵の首がからからと回る
>細くながい指のさき
ラップ聞いて地下鉄、
「その辺のヤツより経験多め そのうえ今でも進行形、」
やっぱケーダブ、ナズ、SEEDAが、
おれには現代詩、
つうかだれにも現代詩、
ぱらぱらめくる文庫本、
「でも何か違う 最近のヒップホップ、」
「そりゃいろいろ見てきたこの両目、」
漱石以外に読むものはない、
いまオンナ以外に詩はいないし、
文学はない、
携帯のサイトに詩を投稿するような寂しい奴、
はおれらにとって敗北者と同義、
べつに生きることは楽しいことだし、
は
DISって、DISられて、
すばらしいよね、
女と女じゃないようなやつらと
現実見たいなら高校来ればいい
大学生と大学の先生は違う世代だから
おれたち彼らをもてなしはするけど笑
ラップ聞けない奴は現代を見ていない、
小部屋でオナニーばっかしてる、
オナニーして、
オナニーして、
オナニーして、
オナニーを褒め合って、「あなたのオナニーを真似したい」笑
それからオナニーをけなし合って、たのしんで、
相互にたのしんで、小部屋の中で、
死ねばいい、
そういう豚は死ねばいい、
生きている意味がないから、
電車の中で揺られている意味がうまくつかめないんだろうから、
食用にまわしちゃえばいい、とおれは思う、
思うし、それを発言はしない、
なんでも言えばいいと思ってる奴は気が遣えない奴だし、
気が遣えない奴はテストの点が良くても頭の悪い馬鹿だ、
だから地下鉄で、つぎに、マッシヴアタックを聴く、
芥川龍之介が生きてたら、きっとラップをやってた
女の子の会話をねむりながら聞く
「広告がうざい。うちらは広告がうざい。
子供がいない。子供がいない方がいい」
水道橋で降りて、ラップ会場
地下のラップ会場、
「先輩からCALL、英語できる奴求む、
俺英語できる奴名乗る、
だから召喚、
見た目評判、
ゲイのインタナショナルホーム、やばい俺国際化、
やばい俺無差別家、
息吸い込み、
ラクなくらみ、
「セックスはしない」その約束で召喚!
通訳求む!求められる俺!
ゲイの間で求められる俺!
俺の立ち位置!
決まってるじゃんビシバシと 野菜
食う、 ピザ
食う、 パーティー 会場、サラミが原色きついにおい、
ラクなセックス
ラクな体位置「コレデイイ?コレデイイ?」
何度も聞くな 入れろ
これでいい!
俺の人生これでいい!(Hey Yo,ラップ)
(Yoラップ)」
「人生について考えることがうざい」
「かんがえたことをみとめられるのがうざい、」
だから漱石しか読むものはないし詩は書かれずにしゃべられている、
だからあなたたちはオナニーするしおれたちとは違う、
オナニーしたものを放出している傲慢をおれは尊敬しません、
ライムの興奮を知らないものをおれは尊敬しないし軽蔑します、
おれはおれたちのようでないおれたちをケーベツして無視しているものを
尊敬しないし軽蔑します、
ゴミラップ、
吐く、
息、
「若者にも階級あること、知れ、
残像願い、呼ぶ狭い、
憤り、
携帯いじって、女の子さわって、
「どうなんかな」っていったとしても、本気でゆわない、
本気でゆわないし忘れる、
本気でゆわないし忘れる
本気でゆわないし忘れる
ラップ聞かないやつらに未来はない、
ラップ聞かない詩人に未来はない。
ラップ聞かないのは詩人じゃない、
本気でゆわないし忘れる、
本気でゆわないし忘れる、
本気でゆわないし忘れる、
「どうなんかな、人生」っていったとしても、
ラップに勝てない、
かなわない、
詩には勝てる、
おれは現実だから詩には勝てるけど、
漱石にはだめだね、
だからみんな
漱石を求める、
だから本屋には漱石だけがあればいい、
それでいい、
現代詩はラップだ、
現代がおれたちなら現代詩はラップだしラップ以外にない、
だからラップを聞かない詩人は詩をやる気がないし詩を書いてないんだとおもう、
ケータイで書いてそれを送って自己満足だと思う、
おれのいるところは地下鉄、
だからもたれかかるものは席だ
「RADちょ〜イイ゜*。(*´Д`)。*°!!」
返信 「まじっキかせてね!今度ドコ会おっか??はま橋?愛シトルヨ」
おれのもたれかかるものは席だ、
とりあえずはそれだけでいられる、だから人生って楽だとおもう、
メールをしている、若者でいられる、
現実を知りたければ、人は詩を書かない、
現実の中で生きたければ、人は詩を書かないんだと思う、
携帯を閉じれば、現実の中で生きないことに、意味はない
※2行目7行目8行目、K DUB SHINE 作詞:「正真正銘」より引用
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100715_101_4552p
抱かれて 遠い音
潮騒も、風も、海鳥の声もあった
けれど静か 名前のない空間
わたしと 頭上の届かない
成層との距離が
いつもより近くて
届きそうなのに 見えない処
抱かれているから
腕を強くして
墜落する鈍色
見たこともない雨を運んでくる
反響を知らない停滞色に
包まれて 狭くなって、
狭くなって 揺れる海面
潮風が冷たい
遥かな向こうから、
穏やかに均された その境界から
ゆっくりと追いついてくる
青空が覗く
立ち尽くすわたし、
運ぼうとして
ゆっくり 追いついてくる
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20100707_936_4531p
>届きそうなのに 見えない処
>抱かれているから
>成層
>語彙
>「自分はコイツよりも語彙能力が高い。その見地からいって破片の語彙の貧弱さは詩を書くに値しない」こう言いたいわけでしょう?
>許せないのは俺をディスってる感が溢れ出してるからです。
>作文能力がない? ナメるな。
>どっちが上手いか下手か、なんて相対的な実力はどうでもよくて
>成層との距離が
>いつもより近くて
>穏やかに均された その境界から
>ゆっくりと追いついてくる