葉のあいだから石段が
布団の空気に乗って夢見
選択|全選択|ペースト|BIU|▼
華のなまえをよんでくれ
なぜなら私はオノ・ヨーコ
ざっくざっく
と切り裂いて緻密に知らして観てみよう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180206_318_10234p
空輸される
希望
に
長く伸びる影
瞳は風だけを視る
瞳は空だけを視る
瞼の内に
残る
残像/残響の果ての
白い点が
種となって
茎を伸ばし百合のあの悲しみと強さを香らせる花を咲かせて
蔓の蔓延る街を僕はその百合を咥えて歩くのさ 4本脚で
涎が滴る
小便をかける
愛について歌う
愛について 喉から漏れ落ちる遠吠えは血を孕み
愛について 君の記憶と僕の記憶が溶け落ちてしまうことを願いながら
白い翼に包まれて眠る
悲しみに浸されたその根を 深く 深く
あらゆる白い血について僕は考えるんだよ君の体を抱きながらバスタブに沈んでいく幽霊達のことを考えるんだよ彼らの肉の無い骨の無い体からぽつぽつと花が咲き始め花は歌う愛について僕の気を狂わせる愛の歌を吐き気を催させる愛の歌を失った涙を思い起こさせる愛の歌を白い白い白い愛の歌のシンフォニーを僕は僕の絶望と共に飲み下す
呼吸する度に肺を凍らせて懐かしいような君の声が世界に溶け落ちるまでもう二度と思い出さないようにと僕は言ったサイレンが鳴ってもう行かなきゃ指切りはしないままが良いよね白い記憶に点々とばら撒いた血と種 密輸される希望を受け取ることをもう拒んで 記憶の果てを視たくて手を翳すんだ 覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ
混じって落ちる影が誰のものか判らなくなるそれは確かに君だったのかあれは確かにあなただったのか僕の心は鳥のように飛び立つ空に向かって飛び立ってしまう虚ろな僕の体を君はそっと抱きしめるけれど飛び立った僕の心はもうここにしばらくは帰って来ないよ1対の翼がある限り選びようもなく選んでしまう道 でも 「覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ 覚えているよ」
白い残響を
抱きしめて
僕は靴を脱いで 裸足で 白い世界 伸びる影
飛び立ったのは 一かけらの 魂
僕の この 白い残響は
貴方に視えますか?
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180123_936_10194p
「今からビール瓶で殴りに行きます。」
好きだから
君のことが好きだから
今からビール瓶で殴りに行きます。
愛の雨が
どしゃ降りの午後に
傘もささずに
思いきり殴りに行きます。
ゴッ!
君は気絶するだろう
頭から鮮やかな血を吹き出すだろう
それでいい
何も間違えてはいない
君は横になって
読みはじめたら止まらない
私の詩を
血が流れるように読んでくれたら
それでいい
ひとつの恋が終わる
ガッシャーン!
ビール瓶の破片は
恋模様のように散らばるかしら
嘘が反射して真実になる時間
ひとりよがりの夕方五時
愛してます
「わけのわからない比喩」
雨が降ったって槍が降ったって
カレンダーはいつも同じだろうね
火曜日みたいな月曜日があったって
やることは同じなら
なんだか変な感じ
右にいる人も左にいる人も
同じような顔している
そか、
そもそも君に届けたいものが
僕にはないのかもしれないね
それでも
暗い空に浮かべたいものが
わけのわからない比喩では
君に悪いなって思うんだ
言葉なんて信じないように信じてほしい
形あるものは必ず何かに似ているって
それなら言葉だって思想だって
同じだろうね
どこかの街で
すれ違うように出会いたい
君と僕しかいない世界
悲しい予感しかしない世界
そこで
偶然みたいに
右でも左でも真ん中でもいい
春に咲く花を見つけなきゃ
「あなたがゾンビになっても」
死んでしまいたいなんて
あなたは
たまにつぶやくけれど
雨の日に
予定が変わって
おいしいコーヒーを淹れてくれる
/
春に咲く花になりたいと
ガード下の草が
みんなにうたっているようね
意味なんてないのに
誰にも届かないうたなんて
存在しないらしいわ
//
私は超高層ビルの向こう
焼けおちる夕陽に噛み殺されて
ゾンビにでもなりたい気分
///
好きな人も
知らない人も
みんな
驚かせながら
噛み殺したい気分だよ
////
楽しかった思い出が
川のように流れていく
悲しみは
流れないまま
ずっと胸の中にあるから
私には
共感というものが
ひどく汚れてみえるのです
/////
私のためだけに書かれた詩など
存在しないから
他人を他人のまま
好きになれるんだよ
あなたがゾンビになっても
たぶん大丈夫
//////
血を吐きながら笑っている
あなたの笑顔が
今日よりも
圧倒的に
明日の空を青くする
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180203_235_10223p
>言葉なんて信じないように信じてほしい
>春に咲く花になりたいと
庭にいるのはだれか。 (エステル記六・四)
妹よ、来て、わたしと寝なさい。 (サムエル記下一三・一一)
箪笥を開けると、
──雨が降つてゐた。
眼を落とすと、
──雨蛙がしゃがんでゐた。
雨の庭。
約束もしないのに、
──死んだ妹が待つてゐた。
雨に濡れた妹の骨は、
──雨のやうにきれいだつた。
毀(こぼ)ち家(や)の雨の庭。
椅子も、机も、卓袱台(ちやぶだい)も、
──みんな、庭土に埋もれてゐた。
死んだ妹もまた、
──肋骨(あばらぼね)の半分を埋もれさせたまま、
雨に肘をついて、待つてゐた。
肋骨(あばらぼね)の上を這ふ、
──雨に濡れた蝸牛。
雨に透けた蝸牛は、
──雨のやうにきれいだった。
手に取ると、すつかり雨になる。
戸口に佇(た)つて、
──扉を叩くものがゐる。
コツコツと、
──扉を叩くものがゐる。
庭立水(にはたづみ)。
わたしは、
──何処へも行かなかつた。
わたしは、
──何処へも行かなかつた。
死んだ父もまた、
──何処へも行かなかつた。
戸口に佇(た)つて、
──繰り返し扉を叩いてゐた。
戸口に佇(た)つて、
──繰り返し扉を叩いてゐた。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180201_108_10213p
>雨に肘をついて、待つてゐた。
>戸口に佇(た)つて、
>わたしは、
>数学的な論述って、なに?それは他のジャンルに適応可能なの?後共有て何?
錆びた月光が差し込む夜
利き目にはモノクロームのネガ
反対の目に赤銅色が映りこんでる
窓辺で蝕の暗い赤が凍みる
シーツはあなたの匂いでいっぱい
さっきまで
当たり前の冬が柔らかく含まれ溶けていた
私はあなたを焼き付け続け何枚も記録した
今夜は脳裏をウィスキーが埋めてゆき
やがてひとりの時間に冷めていく
やけに虚しい
、、
ざわざわ這い上がり首筋から
締め上げてくる熱が額に集まっている
薄暗がりにあなたがいる
何度唇を合わせても
何かが足りない
埋めて埋めて繰り返しながら
あなたの顔を見つめても
何も言葉にならない
未熟な私の戸惑いを
あなたの瞳は射抜く
汗をかきながら
私は震えて呻いてしまう
*
自ら蝕んだ今と過去
を縫合して思いに潜っても
ざらついた自分は直ぐには変われない
それでも赤く月が上り始める晩には
理性を剥ぎ取る思いに抗えない
、
窓辺から月が薄く照らす寝室で
あなたの肋骨をさぐりメスで切開し剥離し
開いた胸に露わになった脈打つ心臓
の無垢な赤
開胸器から己のささくれた手で触れたら
あなたの命の喜びを中心で握る
押し込めた思いを切り裂いて放り投げ
あなたの白い肌を流れる青に変えよう
喉の音が掠れうっすらと滲んでくる赤は
私の悲鳴ともあなたの死とも分からない
闇に炎を昇らせてあなたを求めたら
私の中で輝く表情がうれしい
、、
私は今夜再びあなたを
白々と開けるまで解剖する
あなたの全てを知りたい
あなたの謎を全て開いてみたい
欲望を抱いて私はメスを握る夢を見る
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180124_973_10200p
鞦韆ふらふらゆるららり
ぶわぶわぶらんこ行(ゆ)く行くよ
揺れやる一つの現象の
あわあわ悲しき現象の
かたかた人無き鞦韆は
物憂き様子で川を視る
さらさらちゃぽちゃぽ行く行くよ
流れる無数の人魂だ
止まらず行くよ 現象が
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180122_933_10192p
>^鞦韆ふらふらゆるららり
>ぶわぶわぶらんこ行(ゆ)く行くよ
>物憂き様子で川を視る
>かたかた人無き鞦韆は
>さらさらちゃぽちゃぽ行く行くよ
>流れる無数の人魂だ
>止まらず行くよ 現象が
息を
ふきかけると椅子は
音もなく倒れた
溶けるように透きとおっていった
おりてくる光線
両足は砂に埋れたまま
口をあけみあげている
貝殻になった音楽を拾いあげ
耳にあてる
もう死んでいるから
なにも聴こえない
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180205_279_10226p
水道管を殴った 壁から剥き出しの 力の限り
何時も幼馴染と双人(ふたり)のあの女が その時ばかりは一人で ちょこんと座っていたので 僕は近づいて往ったのです
けれどもそれはあの子の服を着た幼馴染であったばかりか 彼女は幼馴染の服を着て 僕のさらに奥に座って 此方を視ているようでした
それは何とも 虚しく 哀しく
紅葉した葉の簡単に散るのを 初めに気づいた人の心持ちのようでした
夢から醒めた僕は 彼女と幾月も対話をしていないという事が もう必然であると思わずには居られないのです
それは 彼女が紅葉で 僕が地上の何か 取るに足らない小さな生き物だから?
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180209_372_10240p
大人になったらなんでもできるようになると思っていた
高校生になったら何かが変わると思っていた
小学校、中学校変わり映えはなくて
漫画とは違う毎日が過ぎていって
振り返った10代に幼い人生設計はもう見えない
それでも大人ぶった成人はがむしゃらに駆け抜ける
気が付けばおじさん、おばさんと思っていた30代
まだまだ心は子供のままで
周りなんて余裕を持てなくて
ふと見渡せば50代も後半に
駅のホームで息を整え、年かななんて思ったり
視界に映った制服に変な対抗心を燃やしたり
流れる時間も早くなって
見つめた右手はしわだらけ
いろんなものにあこがれて
思い描いたあの頃なんて思い出せないけれど
これが年を重ねるってことなんだと気づき始めた今日この頃
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180205_292_10230p
>視界に映った制服に変な対抗心を燃やしたり
チューリップと呼べば
チューリップになるが
花と呼べば
花になった
一輪、
わたしは
花がいい
風が部屋を抜けて
たましいが見えた
りゆうとかいうやつ
知らんけど
そんなかたちだったか
空間のあざ
道理で、
いちまいが
ゆるやかに角度を大にし
水を換えろ、と
母親のような声。
また抜ける風が
埃や
生活臭
おもいでとかいうやつの
半分を浚っても
ふつうに暮らしたいよ。
ふつうってなあに、とか
思うこともなく
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180201_144_10219p
>りゆうとかいうやつ
>知らんけど
>そんなかたちだったか
>ふつうってなあに、とか
>思うこともなく
血に満ちた海を 光れ
彼らの汚れた腕は 一片の愛を希み
漂流の中で 互いを刺し合う
血に満ちた空を 光れ
私らの汚れた足は 一片の愛を希み
漂流の中を 歩み続ける
貴方の涙を 私は水のように飲みました
貴方の刻まれた胸を 私は巣のように休みました
貴方の痩せた肉を 私はたった一つの食糧としました
返礼 私は私を差し出しました
永遠に渇くようにと
手を放しました
物語からの追放を
私は私の物語を追放し
私は貴方の物語から私を追放しました
漂流の中で私は永遠に渇きながら 殺人を犯すでしょう
徴を 歌います
それでも あの光がこの目を満たすというなら
私の手は 青白い 輝きを抱き
手放した希望の数々をそっと食みながら
染まりゆく翼を 発芽させるのです
私達を分かち それが幸福であることを祈る
あの数々の嘘達を殺しましょう
瞳は黒から 赤へ そして銀に至りました 次は恐らく白でしょう
この瞳は白夜の輝きを宿すでしょう 永遠でしょうか? 循環する色彩の
望みません
この物語を 私は断ちたいのです
この物語を 私は行きたいのです
血に満ちた海を 光れ
血に満ちた空を 光れ
あの夢に ふれ
永遠の春が 貴方の額を撫でるよう 願います
私は咲いていますか
私は囀りますか
淡く飛び立つ 雲雀の瞳の凍結を
貴方は 忘れて欲しいのです
白夜が貴方を 守ることを祈ります
やがて行く季節に
血の臭いを辿る白い瞳の獣を
貴方は殺してください
その血は空に昇り 1mmのオーロラを咲かすでしょう
この幻光 が 貴方の 目に 映るならば
夢のように
煌く
血の色を
オーロラと白夜へ
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180205_276_10225p
群生する羽根の生えた天使たちは、嬌声をあげて飛び回る。光の裏側へと行き交う花の生殖器が降り注ぐ。瞬きに揺れて触れ合う。着火。迸る飛沫に乗り込む太陽。柔い風が炎を奪い、温むまっさらなシーツ。僅かに湿っている箇所をピンと伸ばし、種のついた綿毛を滑らせる。
落としたマーブルチョコレートは鮮やかに散らばって、アスファルトの落書きを着色した。チョークでできた線路の果てに流れる小川は霞んで、緩ゆると流れる。モノクロームの水面は鈍く乱反射する。甘く蕩けた影に微睡む魚は、白紙に落ちて滲んだ。
続かない会話に終止符を打って、放たれたアルビノ。漂白された体毛は色を許容しない。漂着する前の完璧な六花の剥製。一点の曇りのない解を導き出したダイアモンド。骨格標本は正しく納められる為に配置された様式美だ。氷点下の陽光のみ吸収できる、逃避としての水。
錆びついた恒星の軌跡にぶら下がる、その重力に脱臼する関節。野ウサギは欲情のままに2ミリほど浮遊している。遠雷と発砲音。点々と落ちた血液は真っ赤に咲き乱れ、薔薇の失踪は始まる。首を落とされた毛皮の白銀と対価としての硬貨の比率。揺れ続けたい天秤たち。
眼振する世界平和でダンボールになった猫。箱の中で終息する野性。防災アラートに代わる人工的なアンタレスは鳴り止まない。カギ括弧にかける囀り。追い掛ける前脚の肉球の汚れを拭う雑巾。全ての信号は伝達の為に存在し、生命の限り尽きることはない。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180201_135_10218p
>全体として見せる美しさ
溜息で固まった雪の上を
歩く他ない今朝に
川の水は
しずか
流れてゆきます
半透明な貧しい脚に
神に霊性を返すよろこびに
煙草でも喫ったかのような
弱々しい笑顔をして──
──合掌
生活はよろめかず
反対側にひっくりかえったのは
まるで自分一人のような気もして
きみの細い手首が離せない
嗚呼、桃色のセーターを着ていたね
と
思い返した一瞬は永劫去り
残っているのはデータの上
「シナプスは全然あてにならないんですもの」
と昔の友人は日記をしたためつつ言っていた
雪の
上に
雪が
ふって
去っていくさ
明後日いくさ
そうして明日の考えもまとまらない
だから体ふるえる
もう一度最初からやり直すことが
できたのならなんて考えません
人間ですから反省などしません
それにしたって川の香りは
雪に雪ふる梢の枝のこぼれくるうつくしさは
畢竟影を色濃くし
持ち前のお道化歌を
幽霊に聞かせる為の歌を
歌ってみたくなるもんだ
あたたかい人が欲しい
あたたかい人を所有したい
雪は霙に変わりつつあり
わたくしも風景に大分酔っぱらっちまったもので
帰るとするかと尻を叩けば
頬を叩けば
さびしい音がする
うわー!
凄い雪だねぇ!
という声を聞きつつ
児と反対の顔ではにやにやしつつ
赤いポストへ葉書を出しにより
ポストの雪をはたいてやって
裸の
手でふれた
それは
うつくしい冷たさ
携帯電話にはない
詩情のようなものを
今でも
郊外で捜しています
あなたへ
元気ですか?
僕は元気です
とても雪は止みそうにもありません
そちらはどうですか
去年の冬は温かかったのに
その反動でしょうか
云い・・・・・、
溜息で固まった雪の上を
歩く他ない今朝に
川の水は
しずか
流れてゆきます
祈っています
歩きながら
もうくたびれているのですけど
歩きながら
かえせるものはかえしています
もう罪なんてないのでしょう
それにしたって憑き物がとれない
祈り足らないのでしょうか
しょうがなさを抱え
涙をこらえ
一歩一歩
その足は重くなって?
脚が
感じられる・・・・・
さびしいこやけ
まっくろけ
になった
家を通過して
どこにも
帰る場所は
こころの内にしかありませんでした
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180205_282_10227p
海沿いの廃食堂の
ガラス張りの生け簀に枯葉が浮いている
埠頭にぶちまけられた鳥の糞を飛びこえると
湾岸道路のカーブが
かすかな陽光を集約して
空白をつくりだす
そして浮きブイの向こうに点滅する鉄塔があらわれ
霧雨とともに無音ですり減る長靴の底
冷たい風が感傷をそぎ落とし
貨物船が港の前景を白い航跡で切り取っていく
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180205_286_10228p
私のなかに、
他者を投入する
投入された他者は
誤って毒の靴を履いた
白雪姫の実母のように
私の喉の奥でマイムを踊る
夜になると彼女は、
液体により人格を変える
何も食べるものがないと
部屋中を罵倒する
吐かれた唾は壁に貼りつき
ゴキブリが群がる
しがみついている今と
捨て去った筈の人生が
彼女のなかで撹拌される
罵倒は続く
夜が明けるまで
獣になった彼女の声が
月に向けられる
自分は何もかも
正しかったのだと
彼女の目から血が流れる
それを拭うものは
嗄れて腫れ上がった諸手しかない
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180208_349_10237p
魂は
冬の光
魂は
夏の音
魂は
私の手が包み込んだ赤い薔薇
魂は
魂は
意識とともに生まれた双子
記憶の中で燃え続ける炎
夢の中で零れる涙
魂は
今を闘う私や君
魂と魂は
ぶつかり もつれ 砕けながらも
色を香りを深めてゆく
この魂
あの魂
私、魂
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180210_383_10243p
>自由に
>「魂とは」という難しい問いに対して、この詩は回答できているでしょうか。
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけになった。
その一瞬前には、
たくさんの唄や、
しなやかな左腕や、
どこまでも翼のように
軽い足があったはずなのに。
私から、
できるものを奪ったのは
あなたという私だ、
私というあなただ、
吹きすさぶ嵐が
窓硝子を砕いて
去っていったあとの
部屋の机に残された
一枚の紙とペンを握りしめて
私は書く
私の血を、
私の肉を、
私の骨を、
やがて雲が切れて
太陽が地に光の筋を降ろす
その時に握りしめた手のひらには
一握の光が握られている
私は手のひらを広げて放つ
今、
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけがある。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180212_486_10248p
>今、
>机の上に残されたものは
>一枚の白い紙とペンだけがある。
>おかしいのが、自然になってました
怠惰
言わなくてもいいことを言ってしまったあとを降る雨は普段よりずっと爽やかだ
雨が降るように日々は台無しなことで織られるんだとわかるから台無しなことを愛する気持ちになってくる
「やればできる」という素敵な発想を信じるからこそ僕らのように怠惰な人間ができあがる
ほんとうは行為者のほうが可能性への信仰が甘いんだ実際に行為しなければ「やればできる」ことを信じられないのだから
水準
子供との論争なら簡単に勝てると思っているならそれは間違いだ
子供は論理を無理やり押しとおす力が強く大人が何を言っても持論を繰り返すことで言葉の迫力を維持する
そうなると子供が口を閉ざすよりも大人が閉口するほうがほとんどの場合では早いだろう
言葉にはそれを交わす水準がある大人の論理では子供の論理を突き崩せないように
実際に経験してみると激しい言い争いであっても成立している分だけは暗黙の了解を守りあって水準を保っているんだなということがわかる
そして僕は自分でものを考える水準と人と論争・討論する水準もそれと同じくらい差があると感じている
対話によって考えを深めていくことは不可能だ
もし対話に深まっていく可能性があるならば相手の言うことをほとんど無条件で肯定するという方法しかありえない
相手の発想に刺激を受けるとか言葉を取り込むことはありえるかもしれないがそれは一方通行のもので読書と同じ構造にすぎない
双方向性の対話を深めれば相互カウンセリングとでも言わざるを得ない関係に行きつくはずだと思う
内部
自分を押し通すより人に褒めてもらうほうが嬉しいというのは弱さだ
弱さというのは自分を認めることの弱さだ
自分でそれがいいと感じるのに人にだめだと言われるとだめだという方を重く感じてしまうということがある
自分の方が見る目があると感じていてさえも人の意見が不思議に重くのしかかることがそれが弱さだということだ
禁止
人にはそれ以上踏み込まれると気分を悪くする空間的テリトリーがあることに気がついたアメリカの文化人類学者が「パーソナルスペース」という概念を作り上げた
その概念を知ってから「醤油とってくれ」という要求は要求というより人の空間を尊重した気づかいなのかもしれないと思うようになった
「パーソナルスペース」が確立している人ほど肉体的接触に性的な色合いの増すことは内気な女性にとってのハグと開放的な女性のハグを比較すればよくわかる
性的関係はふだんは禁止されている行為が許可される関係として起こる
女性が裸を見られるのに抵抗する大きな理由は現代の水準ではそれが「行為の許可」を意味するからだと思う
逆に男性が女性の裸を見て性的興奮を覚えるのは女性のその姿から「行為の許可」というメッセージを受け取るからだ
だから男性が行為に向かうときはいつでも「僕にはできる」という想いを纏っている
綺麗な女性に性的欲望を抱くのは男性であることを決められた僕らにとってそれが獲得と成り替わりの二重の不可能性の代表像としてあらわれるからだと思う
つまり僕が女性としてふるまえないことや扱ってもらえないことが僕の男性として振る舞うことを結実しているならば女性を手に入れたいと考えることは当然だと僕には感じられる
貞潔
僕は純潔という言葉が好きだけれど「貞潔」や「貞操」という言葉の類語を好んでいるわけではない
僕が彼女と結ばれるより僕の好きな彼女が彼女の好きな人と結ばれてほしいというような感情を「純潔」と呼びそれが僕の好きなものなんだ
「貞潔」は良くも悪くも幼児性にしか宿らない
大人になってもし貞潔というものを握りしめつづけているならばそれは未だに親なるものへの依存を続けていることから起こるのだと思う
僕は「ありがとう」も「ごめんなさい」もほんとうは無効だと考えている
なぜなら感謝も謝罪もその場で精算できるようなものではないからだ
目の前だけの視野では「与える」という一方的な行為は存在しうるが大きな視野で見ると普段暮らしている中にはたくさんの行為がありたくさんの交換がありそれらをすべて把握するのは無理だ
親しい間柄には幾度のありがとうやごめんなさいに相当する行為がかならず相互的に行き交っている
それは目に見えないものを含めてつまりその代表である気遣いや思いやりも含めて
目の前での行為は味気ない言い方になるが「当然だ」というところで捉えなければかえっておかしなことになる
極端なところから言えば恩があるのだから奉仕しろだのという発想が実際に日常会話で生じたりするが恩などというものは存在し得ない
小さな範囲で見る限りしか与えることの優位性も損ねたことの劣位性も保持されないから
もちろん「ありがとう」や「ごめんなさい」を言うべきでないと主張するわけではない
そうでなくそれは無効のものとしてしか言われないということを理解しておく必要がある
生活は「ありがとう」や「ごめんなさい」の優しさで紡がれている
それが倫理的に無効であることは生活的に無効であるということではないということも同時に理解しておく必要がある
生活は坂道を下る老人の杖のように優しさを頼りにするから
お互い理解することには限界があると信じている心にも
会話は優しさでありうるように
倫理
「嘘をつくことは罪である」と断言した哲学者がいる
「人殺しに追いかけられている友人が、家の中に逃げ込まなかったかどうかと、われわれに尋ねた人殺しに対して、嘘をつくことは犯罪となるだろう.」
これは僕にとって「貞潔」という言葉が意味するところの発想でそれはうさんくさいと感じている
僕の考える倫理は現実に存在しない人間の顔色を窺うようなところにはありえない
人のエゴイズムは自分のものも他人のものも肯定せねばならないというのが僕の考える倫理の第一原則だ
去年の暮れ猫に熱湯を浴びせたりバーナーで焼いて虐殺した男が逮捕された
僕は猫が好きで人間に等しい重さの他者とも見做しているからその男に強い憎悪を持った
人のエゴイズムを認めるということだけではその憎しみについて解決できない僕の倫理は先の原則の上位にもうひとつの原則を加えてはじめて完成する
それは僕には責任があるということだ自分が存在し生活しあるいは死んでいくことについて
僕には責任があり責任は責任を持つものの意志を保証する
殺人
「犯人Aが被害者Bを刺殺し、被害者Bは死亡した。被害者Bの死亡にBの遺族らCは大きな悲しみと怒りを覚えた。」
僕はその正当な論理に断崖を見つける
殺人は空想的な行為だと書いたことがある
その時の論点は行為するものにおいて人を殺すという行為が空想の範疇でしか達成されないという発想について書いたものだった
だが被害者の側へ視点を移しても殺人は空想的にしか現れないのではないか
Bは死んだというのは現象であり事実だろうがBが殺人によって殺されたということと事故によって死んだことあるいは心臓麻痺で突然死んでしまったことの間にはどのような差があるのだろう
僕には「殺された」とは何なのかとても不安なものに感じられる
人が人を殺せるという水準には生命は存在しないのではないかというのが僕の感じ方だ
それは産まれることと生まれることの差異と似ている
「母親」によって産まれたという大事件の生じる領域と世界に生まれたという領域は違う
たとえば母親になぜ産んだのかと責めることはこれらの混同によって起こっているなぜなら生まれたところに生命の重心は存在するのだから
責任
人殺しに追いかけられている友人が家の中に逃げ込まなかったかどうかと尋ねた人殺しに対してエゴイズムの尊重は矛盾を露呈する
人殺しの殺したいというエゴイズムか友人の殺されたくないというエゴイズムのどちらかを否定せざるをえないからだ
カントはその矛盾に「嘘をつくことは犯罪だ」という基準で力づくの解決を試みたが僕は「責任」の二文字で立ち向かうことを考える
たとえば僕が異常者に熱湯や硫酸をかけられて苦しい思いをしても僕以外の誰もその苦痛への責任をとれないだろう
たとえば僕が通り魔殺人の被害者になったとして法律がその犯罪者を死刑にしたところで僕の残りの人生への責任をとったことにはならないだろう
責任を負うのは僕が加害者であろうが被害者であろうが状況の中にいる僕自身だ
人殺しの訪問はカントがそう考えたような絶望的な状況ではない
それは僕に選択の可能性を提示しているから現実のいろんな不可能性に比べてずっと容易な状況だ
僕の人生について責任を負えるのは自分自身だけだという前提において僕は原則として他人のより自らの意思を尊重する
その発想を他者へ敷衍するとき人のエゴイズムを認めることの根拠になる
僕自身がした行為の顛末も人が僕にした行為や世界が僕に与えた状況も全ての責任を僕は負わなければならない
僕が嘘をついたことも真実を話して友人の殺しに加担したことも
僕が人を殺したらほかでもない僕が死刑にされるように僕が人に殺されたら僕に落ち度がなくてもその責任を負わねばならないように
孤独
他人を乗り越えるということがある
他人には長い歴史がある
誰にも言えないような辛い思いをしたりあるいは嬉しい思いをしたり孤独を感じたりしながら人には言えないで
言えないまま死んでいくという領域がある
その領域に向かうことがかえって自分の孤独に正面切って向かうということなのではないか
純潔
僕は純潔という言葉が好きだけれど「貞潔」や「貞操」という言葉の類語を好んでいるわけではない
僕が彼女と結ばれるより僕の好きな彼女が彼女の好きな人と結ばれてほしいというような感情を「純潔」と呼びそれが僕の好きなものなんだ
「純潔」が好きだ「純潔」という概念はエゴイズムの中に自分の欲望より他人の欲望のほうが重要だという志向が含まれているという発想をとるからだ
片想いが好きだ「貞潔」が示すような親の庇護下にありうる臆病さによるものでなく「純潔」によるものである片想いが好きだ
彼女の幸せなんて僕には望めないに決まっているなぜなら彼女の状況が彼女に迫るものの責任を僕は取れないからだ
相手の人生には責任を負えないのに負えるようにふるまうとき「人のための行為」と呼ばれるいかにもうさんくさいものが現れる
僕は「純潔」が好きだ「純潔」において「僕にはそれができない」ということは悔しかったり苦しいだけではなく愛おしいこともあるんだと知ることができるから
「君が僕の想像のつかないところで存在しているところで君への愛情が水風船のように膨らんだ。」
「何になりたい」や「何がしたい」だけに未来や希望が宿るのではなく「僕にはできない」ことにも宿るのだということが「純潔」を知るときはじめてわかる
欲望
存在することよりも先に
君に欲望されることがあったから
冬の街を目的もなく存在し暮らしていくことが
責任のように反芻される
僕は誰かに欲望されているから
こうして存在し暮らしているのだということに気が付いている
僕を欲望している誰かのために生きることを
欲望していることに気が付いている
それは僕の欲望する人の欲望を
僕が欲望するのと重なっている
僕は僕の愛する君が
君のほしがっているものを手にすることを願っている
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180206_302_10232p
>僕は純潔という言葉が好きだけれどふつう考えるような「貞潔」や「貞操」という言葉の類語として好んでいるわけではない
>僕が彼女と結ばれるより僕の好きな彼女が彼女の好きな人と結ばれてほしいというような感情を僕は「純潔」と呼びそれが僕の好きなものなんだ
>僕は「純潔」が好きだ「純潔」という概念はエゴイズムの中に自分の欲望より他人の欲望のほうが重要だという志向が含まれているという発想をとるからだ
>僕は片想いが好きだ「貞潔」が示すような親の庇護下にありうる臆病さによるものでなく「純潔」によるものである片想いが好きだ
>僕は「純潔」が好きだ「純潔」において人は「自分にはそれができない」ということは悔しかったり苦しいものだけではなく愛おしいこともあるんだと知ることができるから
>「何になりたい」や「何がしたい」だけに未来や希望が宿るのではなく「僕にはできない」ことにも宿るのだということが「純潔」を知るときはじめてわかる
私の皮膚から色とりどりの体毛が生えていく
色とりどりの体毛は、私の体内で流れる熱い
赤い海を揺らして、大地を割って生まれてく
る。色とりどりの体毛がやがて一本一本の指
に変わり、その指たちの背中には目を持つよ
うになり、目は口の代わりになり、涙や笑い
や怒りを囁きあう。囁きはざわめきになり、
大きくなる。右の耳の皮膚が痒い。それは体
毛の指たちの、声の足跡が指圧になって、ぐ
ちゃぐちゃと耳のなかの皮膚を踏みにじって
いった痕が谺するからだろう。痛みは、ひと
すじの光のように、聴こえてくる夜をつらぬ
いていく。夜たちは皆、足を切られている。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180129_037_10206p
柱時計が
三時をたたむ
ジャックナイフにあいさつを
書かれた手紙を丹念に
解読したら
捨てなさい
裏も表も
びっしりと
アオく言葉の
朽ち果てた
葡萄の房の
沸騰す
沸騰している
浅ましく
味覚の汚れたふりをする
味覚の汚れた夜空には
断面からは
潮の匂い
突き崩したら
血の匂い
明日は
何処かの
明日
影にある
目を覚ます頃
眠る鳥
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180209_370_10239p
海の見える山に行きたいと思った
また、冬に身を投じ、雪まみれにならなければならない
その前に、できるだけ平坦で、広大な場所に行きたかった
もともと、すべての生き物は海からはじまった
コンビニで食料を買い、シーサイドラインに入った
やはり、水平線はごくわずかに曲がり、この星が球体であるという事を示してくれている
清流の涼やかな流れではなく、わずかに濁った冬の海は言葉が見つからないほど巨大だ
波はうねうねと遠くまで続き、細かく刻まれた岩礁が奇怪な形をしている
登山道は参道の延長から入り、標高六〇〇余りの信仰の山へと向かう山道が続いている
行きかう人たちの挨拶が鬱陶しくもありながら、その言葉が身に染みる
老若男女が自由に山頂を目指し、下山していた
大量の汗に山頂の風は冷たく、枯れたススキがなびいている
山頂にも鳥居が設けられ、そこでにこやかに参拝する若いカップルが居た
背中に汗がへばりつき、その不快さを合掌することで和らげようと銀硬貨を投げ入れる
食べるでもなく、飲むでもなく、もう一つ向こう側の峰まで歩きだす
山とはいっても、無雪期は山頂近くまでスカイラインが通り、たくさんの往来があったのだろう
今は通行止めとなり、冬枯れの曇り空と、治癒の希望がない、暗澹たる病巣のような日本海が広がっている
離れた峰まで行く人は稀で、歩くのを楽しむというより
そこに至らなければならないとする義務感のような意思を感じる
峰の中央に、大きな木製の道標がたてられ、その文字は消えかかっていた
登山口に戻ると、再び人のうねりがあった
参道に沿って歩くと、本殿があり、多くの家族・高齢者などが目を閉じ、合掌している
賽銭箱のやや横で、一心不乱に手を合わせ、何かを祈願しているのだろうか、老人はじっと動かずに立っていた
神はきっといるのだろう
大勢の信仰登山者に遭い、挨拶を交わし、神に祈った
しかし、もうそんなに、良いことは無いのかもしれない
車を走らせ、菓子を放り込む
舌にころがる甘さが、瞼の隙間にしみてくる
もう一度、シーサイドラインに立ち寄り、海を見たいと思った
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20180117_777_10176p
>神はきっといるのだろう〜
>海に行きたいと思った
>もうすぐ再び冬に身を投じ、雪まみれにならなければならない
>その前に、できるだけ平坦で、広大な場所に行きたかった
>もともと、すべての生き物は海からはじまったのだし
>食べるでもなく、飲むでもなく、もう一つ向こう側の峰まで歩きだす