◇ No.357 , '13/03/04 16:24:52 作成

6672 : 選ばれたのよ    Cheryl Dumesnil 作 田中宏輔 訳  LGBTIQの詩人たちの英詩翻訳 その4  田中宏輔 '13/02/04 07:31:56 *5




2013年3月3日 改訳しました。



シェリル・デュメニル


選ばれたのよ


埃と枯れ葉が、サッカー競技場を横切って吹きすさぶ、
信号灯の光が、競技場のポールに跳ね返り、
強い風が、突然、涼しく感じられる。
窓ガラスを上げて、物干し綱から掛け布団をぐいっと引っ張り抜くように
やや乱暴に、公園のなかに車を乗り入れ、ドライブウェイを素早く走らせる。
以前にも、それがやってくるのを目にしたことがあった ──
煙霧がうねりながら丘を越え、あたしたちのほうへと這うようにしてやってくるのを。
網戸はぴったりと縁まで付けられていて、
そこには、ベッドの上で身体を丸めて、あたしを待っている彼女の姿があった。
彼女が六歳だったとき、彼女の両親が、
世界は、こんなふうにして終わるだろうよと話した ──
いかめしいケダモノが空いっぱいにその翼をひろげて舞うと、
雷が窓ガラスをガタガタ言わせるだろうと。
彼女の父親は毛布を集め、瓶詰めの水を蓄え
自分のベッドの下に缶詰の豆を蓄えておいた。
彼は、彼女のランチボックスのなかに聖クリストファーのメダルを隠して
彼女を学校にやるときには、
彼女の首のまわりに肩衣(スカプラリオ)の擦り切れた撚り糸を掛けさせたのだった。
彼は彼女に言った。
「世界の終りがくると、そいつが閃光のようにして現われるだろう。
おまえは窓から離れなきゃいかん。
ただ選ばれた者だけが救われるだろうよ。」と。
あたしは掛け布団を床の上に落とす。
そして、彼女のそばに身を横たえ、
彼女の襟元から彼女の髪の毛をさっとなで上げ、
その汗で湿った首筋にキッスする。
雷が一閃した。
さいしょの真っ白に輝く稲光だった。
あたしは、彼女のシャツの下に手をすべらせ
そして、彼女の身体を抱きしめる。
そうよ、あたしたちは、選ばれたのよ、救われたのよ。







2013年2月16日 改訳しました。



シェリル・デュメニル


選ばれたのよ


埃と枯れ葉がサッカー競技場を横切って
吹きすさぶ、信号灯の光が
競技場のポールに跳ね返り、強い風が
突然、涼しく感じられる。窓ガラスを上げて
物干し綱から掛け布団をぐいっと引っ張り抜くように
やや乱暴に公園のなかに車を乗り入れ、ドライブウェイを素早く走らせる。
以前にもそれがやってくるのを目にしたことがあった ── 煙霧が
うねりながら丘を越え、あたしたちのほうへと這うようにしてやってくるのを。
網戸はぴったりと縁まで付けられていて
そしてそこには、ベッドの上で身体を丸めて、あたしを待っている彼女の姿があった。
彼女が六歳だったとき、彼女の両親が、世界は
こんなふうにして終わるだろうよと話した ──
いかめしいケダモノが空いっぱいにその翼をひろげて舞うと、雷が
窓ガラスをガタガタ言わせるだろうと。彼女の父親は
毛布を集め、瓶詰めの水を蓄え
自分のベッドの下に缶詰の豆を蓄えておいた。彼は
彼女のランチボックスのなかに聖クリストファーのメダルを隠して
彼女を学校にやるときには、彼女の首のまわりに
肩衣(スカプラリオ)の擦り切れた撚り糸を掛けさせたのだった。
彼は彼女に言った。「世界の終りがくると、そいつが
閃光のようにして現われるだろう。おまえは窓から離れなきゃいかん。
ただ選ばれた者だけが救われるだろうよ。」と。
あたしは掛け布団を床の上に落とす。
そして、彼女のそばに身を横たえ、彼女の襟元から
彼女の髪の毛をさっとなで上げ、その汗で湿った首筋にキッスする。
雷が一閃した。さいしょの真っ白に輝く稲光だった。
あたしは、彼女のシャツの下に手をすべらせ
彼女の身体を抱きしめる。そうよ、あたしたちは、選ばれたのよ、救われたのよ。






シェリル・デュメニル


選ばれたのよ


埃と枯れ葉がサッカー競技場を横切って
吹きすさぶ、車のライトが
競技場のポールに跳ね返り、強い風が
突然、涼しく感じられる。窓ガラスを上げて
物干し綱から掛け布団をぐいっと引っ張り抜くように
やや乱暴に公園のなかに車を乗り入れ、ドライブウェイを素早く走らせる。
それがやってくるのを目にした ── 煙霧が
うねりながら丘を越え、あたしたちのほうへと這うようにしてやってくるのを。
衝立の扉はぴったりと縁に付けられていて
そして、そこには、ベッドの上で身体を丸めて、あたしを待っている彼女の姿があった。
彼女が六歳だったとき、彼女の両親が、世界は
こんなふうにして終わるだろうよと話した ──
いかめしい獣が空いっぱいにその翼をひろげて舞うと、雷が
窓ガラスをガタガタ言わせるだろうと。彼女の父親は
毛布を集め、瓶詰めの水を蓄え
自分のベッドの下に缶詰の豆を蓄えておいた。彼は
彼女のランチボックスのなかに聖クリストファーのメダルを隠して
彼女を学校にやるときには、彼女の首のまわりの
肩甲骨のところに擦り切れた紐を掛けさせたのだった。
彼は彼女に言った。「世界の終りがくると、そいつが
閃光のようにして現われるだろう。おまえは窓から離れなきゃいかん。
ただ選ばれた者だけが救われるだろう。」と。
あたしは掛け布団を床の上に落とす。
そして、彼女のそばに身を横たえ、彼女の襟元から
彼女の髪の毛をさっとなで上げ、その汗で湿った首筋にキッスする。
雷が一閃した。さいしょの真っ白に輝く稲光だった。
あたしは、彼女のシャツの下に手をすべらせ
そして、彼女の身体を抱きしめる。そうよ、あたしたちは、選ばれたのよ、救われたのよ。







Cheryl Dumesnil



Chosen



Dust and brown leaves blowing across
the soccer field, a traffic light
bouncing on its pole, the gusting wind
suddenly cool, I roll up the window,
slam the car into park, run up the driveway,
yanking quilts off the clothesline.
I had seen it coming ── smoky clouds
billowing over the hill, crawling our way.
The screen door slaps in its frame,
and I find her curled on the bed, waiting.
When she was six years old they told her
the world would end like this ──
a muscled beast filling her sky, thunder
rattling glass panes, Her father
hoarded blankets, stashed bottled water,
canned beans under his bed. He packed
a St. Christopher medal in her lunch box,
hung the worn thread of a scapular
around her neck as she left for school.
He told her: When it happens, He will
appear as a bright light, turn away
from windows, only the chosen will be
saved. I drop the quilts on the floor
and lie down beside her, sweep
hair from her collar, kiss her damp neck.
A thunder blast. The first white bolt.
I slide my hands inside her shirt
and hold her. Yes, chosen. Yes,saved.

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130204_364_6672p


6694 : 大ちゃん通信  大ちゃん '13/02/12 18:32:03

【ひっつき虫】

40〜60代男性、中肉中背、面長、茶色のカッターシャツ
黒のチノパン、ハット型の白い帽子。
本日午後4時ごろ、市営千代ヶ丘公園にて、8歳少女3名が
縄跳びに興じているところに、突然、草むらの中から上記の
男が出現。

「お嬢ちゃん、ひっつき虫を取ってよ。」

男の股間部分には、無数のひっつき虫が、ぎっしり引付いてい
た。男は仰け反って、股間を強調しつつ、少女達に接近したの
で、驚いた彼女達は、悲鳴を上げて逃げ出した。

「御嬢ちゃん、ブリーフにも付いている。」

男は走りながら、チャックを下ろし、ズボンを脱ごうとして激
しく転倒した。その隙に、少女達は一目散に、子供110番の
提携家屋に飛び込んで難を逃れた。男は依然逃走中です。

以上、地域と警察を繋ぐメポ君メールでした




【ロイター発】

ロイター発、
アラスカ、米国で、
「人食いバクテリア」が発見されました。
病院関係者は5日に全員死亡しました。
神々もそれに感染しましたが、
伝染の等級によりトリアージされ、
心霊手術を施した後、内科診察を経て、
ワルハラの地に戻られました。
指に刺さった、とげから感染したと言います。
非常に高い致死率です、
ジョージア州及びに、
サウスカロライナ州にも、
非常事態宣言が発令されたとの、
誤報です。




【ネットシャーマン】

神秘の指寄せ ネットシャーマン

一種の道化者とお笑いになっても、一向に構いません。ですがこうして、千葉県は薬座寺の住職、不肖、玄海坊、シニア世代のあなた様が集われる、こちらのネット歌壇にあらわれましたのには訳があるのでございます。
昨日の夜おそく、ぼんやりしていると、あるご年配の方の魂が、拙僧を訪ねておいでました。するとそちらの魂は、わたくしの指へと宿り、うつし世の配偶者であられた、他ならぬあなた様への大切な御伝言をタチタチとキーボードに、打ち込み始められたのです。
トランス状態に落ちていく、消えそうな意識の中で拙僧は、自分の指が勝手に動いていたのを微かに覚えております・・・


ありがとう
ありがとう
あなたに会えて良かった

土となり
水となり
火となり
風となり
あなたの事を守り続ける
あなたを愛し続ける
誓います

たとえそれが突然に訪れた
つらい別れでも
わたしは感謝しています

夢みたいに幸せだった
あなたのおかげで
とても幸せだった
感謝しています

わたしは今
何億光年も離れた
現世とは全く理の違う
とても眩しい所に漂っている

旅の途中であなたを
一人ぼっちにしたこと
そればかりが気がかりで
新しい世界への門を
くぐれずに漂っている

あなたにお願いがあります

わたしの
名前を忘れてください
顔を忘れてください
声を忘れてください
そして誰か別の人を
力いっぱい愛して欲しい

おお、優しい君
何を言うのかと
叱ってくれるなんて

だけど
その人の力を借りなければ
わたしはこの門をくぐり抜け
永遠不滅の愛の光であなたを
包み込む事ができないのです

そのあたらしい人の
あなたを愛する言葉
あなたを愛する眼差し
あなたを愛する心
そのすべては他ならない
わたし自身の愛なのだから

あなたを愛しています
あなたを愛している
えいえんに
えいえんにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいい52,500



朝、お腹をすかしたカラスの声で、ふと目を醒ましてみると、拙僧のパソコンに上記の様な自動手記が御座いました。取りも直さず、あなた様にお知らせする為、神の導きによりこちらのサイトを訪れた訳なのです。
最後の52,500は、おそらく天界が拙僧に「指寄せ」の必要経費として示された、適正かつ妥当な数字だと思われます。拙僧も「指寄せ」を生業にする以上、最低限の金子が必要なのであります。下記の口座にお振込みいただければ、大変ありがたく存じ上げます。
なお、天界の命により、配偶者様の愛を具現化する、スーパーコンパニオンに是が非でもお会いになりたいお気持ちがあれば、一度拙僧の携帯、もしくはパソコンにご連絡くださいませ。

愛の光で満たされて、あなた様が燦燦と輝かれますように。

合掌

西都銀行 鎌ヶ谷支店 普通口座 *****893
宗教法人 薬座寺 愛☆指寄せの会 代表者 山田 玄海坊 
?筺?090−***−**893
yakuzadera@愛-**893.jp




【ホットケーキ】

おかあさんが
初めて焼いてくれた
ホットケーキ
弟と二人で食べた

おかあさんありがとう
とってもおいしかったよ
僕たちずっと前から
ホットケーキ☆
食べたかったんだ

「ちょっと用事をしてきます。」
そう言っておかあさん
家から出て行った

あれからだいぶたつけど
おかあさんの御用事
まだ終わらないみたいだね

ああ
おかあさん
早く帰って来ないかな
僕たち二人
いい子にして
待っているよ

帰ったら
また
あのおいしい
ホットケーキを
焼いて欲しいんだ

おねがい
大好きな僕たちの
                   お か あ さ ん




【男立ち】(おまけ)

太古の海に突き出す断崖絶壁に、男立ち

煙草の振りをして、エクトプラズムを鼻から出し入れした

蓄膿症で爛れた、俺の鼻粘膜はとても過敏

やむを得ず大きなくしゃみを放った

エクトプラズム、空へ

鼻水、海へ

それぞれのセパレイトウエイズ

海よ、荒れ狂う海よ

俺の鼻水から生まれ出る、新しき命を育め

今はただ、血膿のゆりかごを激しく揺らせよ

そしてもう一度見せて欲しい、先カンブリアの大爆発を

空よ、キレまくる空よ

貴様に俺のエクトプラズムをゆだねる

いつの日かその、水平線に湧き立つ雲のように

息をする事さえ不可能なほど、濃くして欲しいものだよ

魂の抜けたこの俺に、シベリアからの風が吹き抜ける

俺のお尻の穴はとても柔らかいから、無条件にスルーしてくれてもいい



                終わり

             ありがとう御座いました。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130212_519_6694p


6675 : かつお節  北◆Ui8SfUmIUc '13/02/05 20:59:47


女はかつお節

ご飯の上で

ゆらゆら揺れる

あのかつお節

お茶碗をバラで満たし、

美しい色を備えた

悲しい魂がみる夢

  

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130205_385_6675p


6706 : わたしはヘルメスの鳥。わたしは自らの羽を喰らい、飼い慣らされる。   '13/02/18 00:24:50 *1  [URL]

風を振り出しに戻す始原の虹でもってわたしの羽を何度でも漂白してください
気詰めた風景に寄り添うかたちで光線的なフォルムを暴き続ける
振り乱したメランコリアがどうしてもついてこれない速度をください

わたしの声帯を奪う光にきらやぎながらあなたは土気色の体躯でもって
ありとある風に愛されなかった生命の一つとして、その
しなやかでない稜線で死せるべき生を精一杯の輝きで装飾してください

神々と死すべきものの一つの境界として生きるものを装飾する
その「飛ぶ」と言う文字のfとlがいつまでもわたしをわたしというわたしから
置き去りにする(flie floh flie floh)

(自らの体躯を喰っても蛸は死なぬ  (蛸の自殺 小林秀雄
 死は死への抗体だよ         (転落  カミュ
 )))

死を孕む羽がどうしようもなくわたしを殺すことでもってながらえる
非-詩としての大文字の「I」がいつしかfとlで震える舌先をとらえて
わたしはわたしというわたしから飛び去る術を無限に忘れてしまう

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130218_728_6706p


6698 : 鳥よ、なぜ翼は十字に広がるんだろう。   '13/02/14 18:28:29 *5



スマートで文学気取り
天を衝くスノッブ臭は
むせかえるほどに

みずから曇らせるのか

論との違いもわからない
高飛車に放たれる見解
見えすいた愚弄の意識
よくはしゃぐバグだ

麻痺しているのか

気持ちに触れたいのさ
十字となり刺青を彫り
どこまでも広げればいい
なりたかね仮分数など

野狐が目ん玉洗ってら

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130214_582_6698p


6703 : つとつとつとと  あお天 '13/02/16 11:13:18




君の秘密の呪文

こっそり教えてもらいたい

買ってきた卵は全部半熟だった

台所には見たこともない赤いクモ

青い鳥が夢の中まで長く伸びて

腕をつかんで離さない

こっそり教えてあげるからね

カップの中には君の未来が

飲み干すと息が白くなった

声が聞こえた気がして

部屋から出たいけど

靴が一足も見当たらない

ふわふわ

赤紫色の微熱がでて

僕は思わず見とれてしまう

冷蔵庫の中には甘すぎるジュース


笑いが止まらない

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6611 : Free   '13/01/08 17:58:05 *3  [Mail] [URL]

(改変を行いました。大幅に弄ってしまったので、雰囲気が変化しているかもしれませんが、、)

さらさと揺れています。
(紅梅色の山茶花が、咲き乱れた端から散っていく様をかき乱される思いに重ねて)

からっぽの寂しさに震える夜を描きました。
(銀鼠色の冷たいアルミの枠に深く沈み込む青を埋め込み、奥に奥に沈んでいくものを形にして)

どこからか、鈴の音が聞こえます。
枯れ草色のぺんぺん草がさらさと揺れて遠くの方から駆けてくるあの子は白いカッターシャツを着て面影は消えないよ、藍色の学生服のあの子と一緒に)

星が降るような空の下、
(ぺんぺん草を弄るのは脱走したばかりの柴犬で
柴犬のこまちゃんは脱走ばかりするから
ぺんぺん草が大好きで
ぺんぺん草の土手の下
水の匂いが心地よくて)

「清流の音、風が揺れてる!」
『ごうごう言ってる
夏には蛍が隠れるの
あの長老の木の下っ側に
ぺんぺん草の土手の下!』

淡藤色のキャンバスに指先でうめているから、時折火傷をしそうになります。

「それは柴犬のこまちゃんが、動けなくなった頃のことで!」
『おなかがとっても大きくなって
脱走も出来なくなって』

(びぃーんって飛行機が飛んでた
青い空が綺麗だったの
ラジコンのプロペラがくるくるへなへながきってなって
墜落したとき
紺色のとんぼがいっしょにくるくるしてた
風と空の色
こまちゃんはいなくなったの)

このどうしようもない寂しさは、アルミの枠では収まらないのです。
金茶色の夕焼けに時折赤橙が混じった様に見えた
空は大きなキャンバスだった
あの頃

(からっぽの寂しさに震える夜を描いて)




(推敲前)
からっぽのさびしさに震える夜を描こう
張り裂けそうな胸の奥で消化しきれない思いが渦巻いているから
紅梅色の山茶花の花が咲き乱れた端から散っていく様をかき乱される
思いに重ねて
銀鼠色の冷たいアルミの枠に深く沈み込む青を埋め込んだ
奥に奥に沈んでいくものを形にして
どこからか鈴の音が聴こえて枯れ草色のぺんぺん草がさらさと揺れて
遠くの方から駆けてくるあの子は白いカッターシャツを着て面影は消えない
藍色の学生服
星が降るよな空の下で
ぺんぺん草を弄るのは脱走したばかりの柴犬で
柴犬のこまちゃんは脱走ばかりするから
ぺんぺん草が大好きで
ぺんぺん草の土手の下
水の匂いが心地よくて
清流の音
風が揺れてる
ごうごう言ってる
夏には蛍が隠れるの
あの長老の木の下っ側に
ぺんぺん草の土手の上
淡藤色のキャンバスに指先でうめているから
時折火傷をしそうになって
それは柴犬のこまちゃんが
動けなくなった頃のことで
おなかがとっても大きくなって
脱走も出来なくなって
びぃーんって飛行機が飛んでた
青い空が綺麗だったの
ラジコンのプロペラがくるくるへなへながきってなって
墜落したとき
紺色のとんぼがいっしょにくるくるしてた
風と空の色
こまちゃんはいなくなったの

アルミの枠では収まらないから
金茶色の夕焼けに時折赤橙が混じるの
空は大きなキャンバスで
からっぽのさびしさに震える夜を描こう

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130108_745_6611p


6700 : ありきたりな鎮魂歌  ◆YAPoo/LC/g '13/02/15 19:24:04  [Mail]

アラビアの風
針の目は細い
米国の船が蜃気楼を航海するが
砂の中で溺死する
人間のものではない土地
そこはアラーが支配する所

何を蒔けば良いのか
血? そうじゃないだろう
育つことだ

『一口の永遠』
武力はアラーのためのブルースを歌う
イン・シ・アラー

彼らは落ちていくところで嘘をつく
もう話すことは何もない
砂漠の星が輝く今夜
さあ、友達のように会おう
イスラムの花と
アブラハムの果実に

千夜の物語は一夜のために
もう一度、回って来た
アラビアン・ナイトだ
われわれの神々は彼らの戦いを追跡する
致命的なのは
光の種から出た暗闇の春の花だ

パラダイスの鳥 飛ぶ
白い空
アラーのためのブルース
イン・シ・アラー

われわれの心とともに見よう
これらのことは われわれの目が見て来た
そして知っている
真実は 中間にはさまれたどこかで
まだ横たわっているだろうことを

永遠の下
永遠の下
永遠の下

パラダイスの鳥
飛ぶ
白い空
永遠の下
ブルース
アラーのために
イン・シ・アラー

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130215_620_6700p


6681 : 追憶  ほかけ '13/02/07 09:04:46 *2

若葉の燃ゆる
春の野に
降り立つ君は
明々と
陽を纏い
踵も爪先も
柔らかな
水を含んだ
素足で大地の
息吹から
草の匂いを
肌で感じる

大地とは
地球が終わるその日まで
つくづくそれは
頑丈に出来ている
妖精の羽根をもいだら
吹き消した夜のともしび
太陽が今日の朝焼けを
笑って、きみやそれ以外のきみの
多くの地球の出来事を
隔てることなく照らして昇る

わたしはひとりで
古い紐靴の今にも切れそうな
革紐を結んで今をいく
とっこ、とっこ、と歩くから
それでいて確かに肌に感じているから

草の柔らかさを裸足にかんで
覆った衣服を脱ぎ捨てて
今より少し身軽になってきみは行け

透き通った光が肌に当たって
心の内まで見透かされた
それでいて、純真な

春の雨、明日への希望
手帳に綴った無くせない物語
わたしは黙って文字を書く

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130207_413_6681p


6689 : LED(或いは「雪の砂漠」)  右肩 '13/02/11 01:02:04

 一人で車に乗ってショッピングセンターにやってきた僕。その僕と、僕に直接の関係を持たないが、僕とよく似た環境を共有すると思われる人々。ここにいる個々人を一括する、浅いが広範な関係性。
浅き心を我が思はなくに、と。
時間に映り込んだ影。それを覗くために、僕はここに立っている。
 僕は騒がしさを抱えていた。
僕は一人で歩き、立ち止まり、何も言葉を発していなかった。
しかし、センターの流す音楽や呼び込みの声、家族連れや友人、恋人同士の会話に紛れて、マクロな視点から見れば、確かに騒がしい群衆の一部をかたち作っていた。僕は僕自身の意識に関わりなく、非常に騒がしい僕だった。
 僕は切れてしまったベッドサイドの読書灯の電球を探そうとして、
(電球はないか、電球はどこだ)
と頭の中で喚き続けているのだから、自らそう規定してみせることに抵抗はない。
電球はこの広大な売り場の何処かに特定の位置を持ち、流通の関係性の波に乗って時間の海を遊弋している。つまり、空間的には安定しているが、時間的には不安定であることになる。今はどうしようもなくそこにあるものが、いつかどうしようもなく移され、売られ、捨てられる。
美しい。
「何だ、俺のことか、それは」
と僕の傍らを通り過ぎながら、数人の若い男たちの中の一人が言う。僕は動揺しない。それが僕とは関係のない、彼らの仲間うちの会話の断片であるとわかっているからだ。男はフリースの上から赤黒いダウンジャケットを羽織っていた。スニーカーの足元にソックスが覗くほど、丈の短いパンツ。
どこか非常に近いところで、固いものを噛み砕く音がする。フードコーナーから油の臭いがしてくる。昨日の淵ぞ今日は瀬になる。
飛鳥川。
ここからもう少し遠いところに、川が流れている。
 南の突き当たりは、嵌め殺しのガラス壁。僕がその前に立つと、僕の傍らの床に、一本の長い影が伸びている。それが周到に用意され、この世に送り込まれた奇跡の一つであること、そのことが段々とわかってきていた。
そういうふうに作られているからだ。
携帯電話のキャリアチェンジや、海外旅行の申し込みに来た人々が、一瞬その影に貫かれ、もちろん表情に何の変化もないまま僕の傍らを歩き過ぎて行く。奇跡とはそういうものだ。みんなもとへは戻れない。
それは木の十字架の影ではない。
銀色に塗られた金属製のポールの影であった。センターの前庭に立てられ、剥き出しのスチールワイヤーが二本、上下して張り渡されている。雪はそのワイヤーとワイヤーの間で降っている。それはここでこの時に降る雪ではないので、目を凝らしても見えてこない。「ワイヤーとワイヤーの間」、そんなものはどこにもないと言った方がむしろ正しい。
 だが、僕は逃れようもなく「ワイヤーとワイヤーの間」にいて、息もつけないほどの激しい吹雪に巻かれている。吹雪で遮られた視界に唯一、LED電球が煌々と光を放ち僕を導くのだ。僕は取りあえずここを離れ、電球を買いに中央エスカレーターを昇ればいい。(これでいいのだ。)
暗きより暗き道にぞ入りぬべき。

 だから、遙かに照らせ。

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130211_485_6689p


6665 : 夜の王  黒髪 '13/02/01 23:54:20

俺はテラスを出た
恩寵を受けるために人差し指を掲げた
絡む暗黒を凝視して息の震えを止めた
体が魔法のように溶けだして
怒り快感の声を出す
海の上を航海するヨットのように俺はぽつんと隔たっている
闇がうるさい
黙らせてやる
微風に知恵を読み
悲しくて目をつむり
後ろ向いて舌を出した
唾液を吐く
涙が溢れ最低の気分を感じる
笑ったままで闇に噛み付く
夜の王は血を流して気絶する
后も牙にかけた
その絆を食い破った
そのときの俺の困惑は死と罪に表れた
月の明るい空を見る
雲の看守に、囚われの罪
月よ解き放たれろ

俺はまだ死にたくない
若いし
骨は弱いし
気持ちは高揚するし
乱れる地獄のショウ
罪が包み込まれ畳み込まれ
フラフラする頭のプラグをスパークさせる
雨は突然に訪れ、罪も流れ出していく
収まらない吐き気の中うめいてうずくまる
死にたいと言うやつには首輪を付けて
生きたいと言うまで引き回してやる
雲が流れる
山脈のようにゴツゴツした体
騙されたままではいられない
王は翼をひろげる

胃袋が消化されてしまえばいい
鼓膜が破れるほどに歌ってやる
永遠に続く夜から逃げだした
優しさが現れるのを
現実が伝説を抱擁するのを
俺は待っている
誰も望むから俺も望む
港に入ってヨットをたたむ

>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20130201_317_6665p


- ealis -