フランスというのはダチョウの名だ
ダチョウは車のサイドミラーの角度を直すと
振り向いてぼくにこう言った
慣れたか?
えっ?!
この土地に慣れたかって訊いてんだよ
車のキーをまわすと彼はマクドのドライブスルーで買った
フィレオフィッシュバーガーにかぶりついた そして
コーヒーを一気に飲み干すとダチョウは アクセルを踏み込んだ
車は穏やかに加速していった 9号線
この時間はまだすいている方だよ
信号で止まると彼は振り向いて言った
しきりにフライドポテトの塩のついた指先を舐めている
鴨川が陽の光を浴びて反射している
彼はサングラスを掛けた
どこに向かってる?
ぼくが座席を乗り出して訊くと
ダチョウはこともなげに言った 俺んちだよ
車はあきらかに 動物園の方へ向かっている
通学鞄を背負っている子供の傍を通り過ぎた
結婚しているのかい?
何?
結婚しているのかい?
野暮なこと訊くなよ 嫁さんと子供は故郷に残してきた
出稼ぎだよ 俺が京都に来たのもつい2年くらい前さ
日本語がうまいな
大学で勉強したからな
ちょっとガソスタ寄ってくよ
彼はシビックのハンドルを切った
ダチョウは給油口の位置を間違えて 車を二度ほど切りかえした
やれやれだな
彼はレギュラー満タンっと ロン毛のアンちゃんに言うと
カードを手渡した
ケータイが鳴るとダチョウは聞いたことのない外国語で
ぺちゃくちゃとしゃべった
受話器の向こう側で年増の女の声がした
きっとそれは長距離に違いない
ダチョウの逞しい首筋から
ポロシャツの襟首からポロリと
アフリカの匂いが ツンとした
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080603_533_2806p
>アフリカの匂いが ツンとした
>次の球種
一。
傘を閉じるとひたひたと雨がついてきた。玄関を上がり廊下を渡りそのままひたひたと、家に居ついてしまった、雨は客間ではなく居間に居座りとくとくと、淹れた紅茶を飲んでいる、砂糖はふたつ、家主のわたしよりもひとつ多い、しかもわたしが先月古道具屋で見つけた「とっておき」のティーカップで、わたしよりも先に飲んでいる、ひたひたとしたたかな雨だ。
ふんっ。と鼻を鳴らし向かいの席につく、雨は慣れた手つきで、もうひとつのティーカップにわたしの紅茶を淹れた、ひとくち飲む、美味しい、こういうところもますますしたたかだ、カップを皿に戻す、かりん、と皿が澄んだ音を立てる、皿は、カップと合うようで合っていない、皿は数年前この家に越した時にお祝いに貰ったもので、その時は揃いのカップが一緒に、ついていた。
二。
その日。背中を見ながらわたしは、紅茶を飲んでいた、かつて紅茶を友に交わし合った言葉はなく、真正面から見た顔さえも、もう思い出せなかった、ただ何も言わぬ背中だけがずっと、はじめからそうだったようにそこにあって、その日、消えた。
消える前に何かを。何かも解らないことを言おうとして口を開き、はじめて痛みに気がついた、唇が切れていた、傷口から落ちる血が、薄く淹れた紅茶の色を、ぽたぽたと濃くしてゆく、ティーカップの端が、欠けていた。
紅茶の色はなおも濃くなり、それを薄めるようにわたしは、涙をこぼしていた。
三。
ティーカップは季節ごとに替わったが、どれもしっくりは来ず、結局皿だけが、次の季節に残った。
四。
ひと眼惚れ。とでもいうのだろうか?はじめての体験だった、雨宿りに店に入ってすぐに、眼が合った、奥のレジに持ってゆくと、スポーツ新聞の向こうから店主が眠そうな声で、
「それ、皿ついてないですよ。」
と言った、
「いいです。買います。」
そう答えると、店主はスポーツ新聞の端からちらりと、こちらを見て、
「物好きだねあんた。」
と言い、ぽつり、こうも続けた、
「半額でいいよ。」
「いいんですか?。」
「いいのいいの、雨の日はいつも暇でね。あんた、今日はじめてのお客さんだからさ、いいのいいの、あ…包むもんがない。さすがにあんた物好きでも、このまんま裸じゃ持って帰れないよね、そうだよね、裸はまずいよね、あ…これでいいか。」
店主はスポーツ新聞の競馬欄をびりりと裂いて、
「どうせこんなもん、その時々の運だしね。運ようん。うんうん。アテにならないよこんなもんは、天気予報と同じでさ、先週も当たらなかったしさ。うんうん。運だようん。」
とぶつぶつと言いながらそれでも、丁重に包んでくれた、
「大切に使います。」
「いいのいいの。ほらさっさと帰らないと、また雨が強くなっちゃうよ。」
店を出る前に振り返ると、店主はまたスポーツ新聞の向こうにいた、
「ありがとうございました。」
頭を下げると、
「いいのいいの。」
とスポーツ新聞からはみ出した手をひらひらと振って、返してくれた。
五。
傘を広げると雨音が帰って来た。足下は雨に濡れて、パンプスでは滑って転びそうだったけど、何だか久しぶりにしっくりとした足取りで、歩けた、水溜まりに入るとちゃぷちゃぷと、音がした、歌いたくなった、歌っていた、わたしと、わたしを包み込むすべての雨が、歌っていた、玄関を大きく開けて家に入り、あれ以来はじめて、
「ただいま。」
と言った、そして悲しくもないのに流す涙があるのだと、知った。
六。
雨は気がつくと、そばにいる。したたかに、ひたひたと足音を忍ばせそばに来る、ぴたり、肌をつけると雨はあたたかい、雨のあたたかさに満たされてゆくうちにわたしは眠くなる、眠くなり深く、どこまでもひとつぶに落ちるように眠り、ぴたり、降り落ちたように目が醒める、雨がもうひとつぶ、隣で寝息を立てている、わたしは脱がされて裸のままで、雨に抱きしめられている。
やはりしたたかな雨だなと、今日も思い、想う。
了。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080531_454_2802p
>かつて紅茶を友に交わし合った言葉はなく、
わたしが知らないあなたの昔
あなたはジガバチやエノコログサやすべすべの小石と遊んだ
ヒヨドリや欠けた茶碗やカナヘビと遊んだ
家の近くには川が流れていて
川面にきらめく光の粒や頑丈そうな鉄橋に話しかけ、ときには教えを請い
いつでも「そうねえ」と答えてほほ笑んだ
あなたのほほ笑みはあなたが見わたすかぎりの世界に染みた
夜、布団に入って電気を消して
貨物列車が鉄橋を渡る鉄の響きを聴くのが好きだった
ある夏の終わりの午後のこと
あなたは河原にしゃがんで石をはがして遊んでいた
なんだか誰かに背中を押さえつけられているような重さがあった
ふいの冷たい風に身震いしてふらりと立ちあがった
激しい悪寒とめまい
唇をふるふるとふるわせ
あてがう指先をふるわせ
土手を上り踏切を渡りサトイモ畑と生垣のあいだを通りぬけ
ようやく家にたどりついて床に倒れこんだ
うすくひらいた眸のさきに見慣れた一脚の木の椅子があった
視線をめぐらす気力もなくぼんやり見つめていたその椅子が二脚になった
二脚の椅子の上に椅子が重なって四脚になった。数える間もなく椅子が急速に増殖を始め、部屋が椅子で満たされる間もなく部屋が急速に拡大してゆき、その空間を椅子の増殖が急速に埋めてゆき、部屋の空間はどこまでも拡大し、椅子がどこまでも増殖していった。あなたは椅子の脚に挟まったまま身動きできず、唇をふるわせ、あてがう指先をふるわせ、部屋は無限に拡大し、椅子は無限に増殖し、それは一脚の椅子とあなたが部屋の中で無限に縮小することでもあり、すでに無限に拡大していく部屋は砂が詰まったようになっており、なお部屋は拡大し椅子は増殖し、それは決して止むことがなく今もつづいている。
「とりかえしがつかない、とりかえしがつかない、とりかえしがつかない」
あなたの言葉が糸くずのようにどこかをさ迷っている
とりかえしがつかないひとよ
今朝
あたたかい飲みものがのぼせる湯気のむこうで
あなたは唇をふるわせ、あてがう指先をふるわせ、なお
ほほ笑んでは、ゆがむ
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080517_037_2769p
蜂谷冷子と畑敬子が マリア・シャラポアの貼り紙を見てい
た 昔ノーブラ流行ったことあったわね 今は ヌーブラシー
ムレスよ それも乳首がついたやつ もう最… …暖かい春の
地平線がめくれ上がり あっという間 いや あぁ〜という間
に いちにちの容量を超えてしまった のだった 冷子も敬子
も ふたりには歯が立たぬエキスパンダーの中に 凍ったまま
放置された瞬間 アタマガマッ白デ アタマガ真ッシロデ と
いう ささやき声を 聞いたような気がした のだった 取り
返しのきかない時間が ありったけのえもん掛けに ぶら下が
っていて 柏餅の葉は サイクロイドの最下点に いつまでも
たどり着けずにいた のだった
蜂谷冷子の影が 独り歩きして 朝田一行のところにやっ
て来たのは それなりの理由があった のではなかった 内炎
式バーナーを極小とろ火にして とっても いや とぉ〜って
も 柔らかい影をつくった のだった 一行は 生殖器のない
冷子の影にまんぞくしていた のではなかった 今度 畑敬子
があそびに来… …ちりちりちりちり皮膚がはじけた ちりち
りちりちり骨がはじけた ちりちりちりち ねぇねぇ 知って
る ネットでさぁ 相手募集してさぁ 自分を焼き殺してもら
ったんだってさぁ 敬子が 地平線に背をそむけ いのちがけ
で 冷子の影に向かって話しかけていた のでもなかった
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080508_846_2752p
>如月さんこんにちは。
>雨の実さんこんばんは。
私がいて君がいて間に雨がある
繋がりを互いが互いの中
一本、
断ち切っては
一本、
火をつけて
哀しみの反対側へと
葬り
冷ややかに鑑賞を続ける
どんなに
喚いたところで
反応するのはプライド、だとか
マボロシであり
所詮その程度
なんて言いたそうな顔が腹立つよね
一方向に
地球は回る
なんて
知っていたから
いたので
何もかもを諦めたさっき
どこまでも
ちぐはぐのまま
体と
それは麻痺していて、
開き直りで捨て鉢で
別に悲しくはないけれど
少なからず沈黙は
不様なんだなんてこと
君だって周知
向こうの窓際
幼児が奇声をはりあげても
此方のテーブル
クランベリージュースの
氷が溶けて
綺麗な2層に別れても、
肉の塊は辛抱強く
不毛に
つつき合うだろう
君のカップには
また珈琲が注がれて
地球は律儀に
回転を続けて
雨は次第に強く
強く彩度を下げてて
窓の向こうで
椿が折れてて
クリーム色の電車が
ゆっくり踏切を
越えるのを見ていた
たった一度頷けば
或いは終わるのに
終われるのに
もはや濁り
水浸し泥まみれ
膨らんでゆく
膨らんでゆく
不燃物に溺れる
君
千切れる寸前の君を見かねて
私は最後の糸を断ち切る
一点に収縮
乾いた破裂音
ひたすら耳を澄ました唐突に破壊したい午後に。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080604_552_2809p
CHOCOLATE BUILDING
CHOCOLATE CITY
恐喝されて笑え
煙に巻かれて
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080606_632_2820p
>藻朱様
>石川順一様
>犀木西人様
有楽町駅三田線に乗り換えるエスカレーター下から3段目
必ずぐらっと後ろに体がかしぐ場所があるのをご存知か
私は毎朝そこでそのぐらっと感を楽しんでいるのだが
それはじっと待ち構えなければわからないかすかなかしぎで
今日はうっかり数歩ばかり段をのぼってしまったため
ああと思ったところで時すでに遅しぐらっと感のないまま
後ろ髪ひかれる思いでたったかと三田線に乗り換える
もしも子どもであったならきっと大人に嫌な顔されながらも
「おっといけない」といいながらエスカレーターを逆走し
一番下からやり直していただろうにこんなとき大人は
その一歩が踏み出せない大人は
昨夜は夜中過ぎに電車に乗り込んだところで
朝からヨーグルトとパンしか食べていないことに気がつき
コンビニはもうこりごりだが米炊く気力もなしまあいいかと
いつもの夕食抜きモードでとぼとぼと歩いていると
ふと寿司屋の看板が目に入りなるほどそうかそうか
そういう手もあったかと思い切って引き戸を開ける
らっしゃい・寿司折りください・へい折り一丁
おまたせしやした・はいどうも・ありやとざいやした
片手に寿司折りという大人感に酔いしれる家路
いそいそと吸い物を用意して夜中の寿司とあいなり
その晩餐は大人のというよりオヤジの
今朝会社に来てみれば窓のあかないこのフロアにも
そこはかとなく春が漂いそういえば昨日は春一番だったとか
風の洗礼なく迎えてしまった春が後頭部にラビットパンチ
窓があかないだけでなくブラインドも閉じ気味なこの部屋では
季節どころか朝昼夜の移り変わりさえないということに思い至り
時間も季節も奪われたようないいようのない喪失感にしばし呆然
すっかり風を忘れていた自分が悲しくもあり俄然風が恋しくなり
そうじゃ仕事もどうにかめどが立ちそうなのだからして
今日の昼ごはんは何が何でも外に食べに行こうと思い
思ったところで同じことを考えていた女子に誘われ
くふふと笑う女子はまるで春一番みたいで
タイカレー食べた
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080604_572_2811p
>片手に寿司折りという大人感に酔いしれる家路
>その晩餐は大人のというよりはオヤジ
夜がひしゃげてしま もう忘れてしまった
ってぼくは路上のマ 春だったかもしれな
ンホールに耳をあて い きみは花見だと
る真砂から 眠る河 というに桜の幹の黒
川を辿って自転車を さの夜に溶けだす瞬
駆る 月明かりだけ 間にしか興味をしめ
をあてにして一九九 さない あのときも
九年の十月へと旅に たしか自転車がぼく
「世界が五月と十月だけならいいのに」*
一九九九年の十月に たちの唯一の動力だ
行き先など無かった ったから 繰り出し
確定された袋小路の た 五月はどこにも
ために ぼくは好き いなかったが 構わ
な星と嫌いな星をひ ず河の跡をたどれば
とつずつ分けてもら 五月にたどり着くこ
い けれど 月明か ともあるだろうと
りのかわりにと差し 玉川 は所々で ち
出した二つの星をチ ぐはぐに息を吹き返
ルリルとミチュリル すこともあったから
が無言で貪り それ 土管のなかですら
から 八回ずつやっ きみは透明だった
てきたぼくの五月と 散った花びらが水面
十月は全て夜がひし に集い腐臭を放ち始
ゃげていて眠りにつ めても なお透明だ
いた氷川に 復讐さ った 再会しよう
れつづけている いつだかの十月に
二つの星に名をつけたおまえ 集った花びらに吐き気を催し 凝視 靴さきをじっと見つめ続け 擬態した昆虫 が弦楽器を奏でる 幸福な (風はもうどの河からも吹きゃしません) 姿をもたぬものどもですらもはやただの反響する透明な壁ではなく 当然の哀しみ の凝固隊がぞろぞろと這い出し からだを消去せよと おまえとともに 消去せよと 唄いだすなら それをトキオの唄とともに 無数の便所から響く数え唄 の濁り 濁流に からだは巻き込まれる から 濁った河川は五月にも十月にも 支えられて きっかりと計測する測量士に 返してやろう おまえのものはおまえに おれのものはおれに 各人の唄に応じて 返してやろう そしてぽっかりあいた光の穴のなかで 暮らせばよい 月が満ちることに理由があるなら 暮らせばよい 離ればなれになったおれの足の指先も 左耳も 寸胴も ひび割れたイルカと桜の模様の描かれた 木製の黒い指輪も 砂利も 眠りについた河の水面で 揺れ続けているのなら 暮らせばよい その縁で 宛先不明の手紙を 兎や蟹が喰い散らかそうが 暮らせばよい 月面には 孔ぼこがあって そこにうちらの河川が 漂着することもあることを 教えてくれたのは うちらと暮らしたこともある 独りの測量士だったのだから
*岡崎京子『TAKE IT EASY』あとがきより引用
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080603_512_2805p
>寒月さま
>雨の実さま
鳥が落ちてゆくの
地面に向かって
垂直に
何度でも
何度でも
どうして、
うまく飛べないの?
男の左手の小指の
内側の第一関節は
その真ん中辺りから
肉が盛り上がって
傷口が開いて
腐りかけているのが
見える
ねえ、
その指、
痛くはないの?
生まれつきなの?
それとも、もうすぐ死ぬの?
いつからこんな手になったのか
自分でもよくわからないのさ、
と彼は言った
男の右手の
薬指からは
緑色の針金が
爪の先から生えていて
くねくねと
歪曲して
それは
空へ
向かって
伸びているようでもあった
男はその緑色の細い針金に
ヒナたちを止まらせて
飛び立てるように訓練をしている
5階のベランダから
ヒナをパッと放す
するとヒナたちは
スピードをつけて
いや、
つけなくても、でるのだろうが
まだうまく飛べずに降りるときは
ネコがゆるやかに着地するように
パタッとその身を地面に
馴染むように倒れるのだった
そうそう、それでいいんだよ!
男は自分のことのように
嬉しそうに笑う
彼のそんな笑顔と
いつから出会ったのか
思い出せないけれど
もうじき
彼の笑顔とサヨナラする日が
近いことも
どこかで知っていた
その三日後にヒナたちが
小高い丘からいっせいに
飛び立つのが見えた
その先頭にはV字のラインを描いて
緑色のリボンが青空を飛んでいる
はるか南の空をめざして
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080530_431_2799p
>また、どこかで出会えたらいいですね。その時はサイトじゃなくて。
>良い詩悪い詩はさておき淡々と終わりに近づく感情の乾き方は好き。
>後ろ向きで逆の印象うけたけども。
>今までの、はるらんさんとは少し違った作品でその挑戦は素晴らしいと思います。
>どうして、
>うまく飛べないの?
>ねえ、
>その指、
>痛くはないの?
>生まれつきなの?
>それとも、もうすぐ死ぬの?
>また、「男の左手の小指の/内側の第一関節」は「男の右手の/薬指」に比べて無駄に読みづらい。
ラム酒漬けのオリーブは落ち
シャンパンPoolにRoses浮かべて
Bill EvansのThe Days of Wine and Roses 真空管明滅させてそそぎこみ
雨あがりの水溜りに記号が落ちて
ストロベリーがぷかぷか浮いてる アデニン (A)
Saxはひらひら Orchidée Parisのような詩になって沈んでいる チミン (T)
360°スカイスクレーパーが乱立する中央にアジアの孤島がひっそりビルトインして
いつまでたっても再び漕ぎ出すことの無い舟
境界線が不規則に滲み 風渡る叢に墓標のよう
三面鏡が散在するホムンクルスのバグを映しだし
その神の創造物双方向2重螺旋の耳元で囁いてやるのだ
オマエハナニモノダト・・・
裸火に紫煙が浮かび上がり・・・Gregorian Chant もう一人のメフィストフェレス
貴女の吐息ハ薄いグリーンと紫のチューリップに包まれ グアニン (G)
シャンペングラスとBARのお喋りとシガレットの煙が沈んでる シトシン (C)
ホムンクルスの街The Days of Wine and Rosesで夢見るメフィストフェレス
さあ・・・どうかな?魂の揺らぎは人それぞれだから・・・
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080604_583_2812p
>雨あがりの水溜りに記号が落ちて
>ストロベリーがぷかぷか浮いてる アデニン (A)
>Saxはひらひら Orchidée Parisのような詩になって沈んでいる
>三面鏡が散在するホムンクルスのバグを映しだし
>その神の創造物双方向2重螺旋の耳元で囁いてやるのだ
>ぽこ珍さんへ
>結城森士さんへ
>結城森士さんへ
>・・くれぐれもSEXじゃなくてSAXですからね?(ふふふ)
>ぽこ珍さんへ
>ピクルスさんへ
>ざっと読んでの感想は。ガチャガチャとチカつくような。センテンスの羅列のみ、といった感じですかね。
>アルコールの酔い。ワトソン=クリックの2重螺旋構造。都市を象徴する摩天楼。ドイツの民間伝承に描かれる悪魔。錬金術。こういったモチーフが扱われていますが。そういったものがまず、きちんと掘り下げられていない上に。モチーフを繋ぐ、構成の妙や、イメージをループさせるアクセントや接続(あるいは断線)の仕方に無配慮で、こちらを楽しませてくれるような、作品へ注がれる構成の力が全く感じられない。
>モチーフのテイストは、例えば上海を辺りを舞台にし、商社マンを主人公にした、カッチリとした小説として仕上げてみると面白いかもしれないですね
>日々野 凛さんへ
>ニャンコ先生ヘ
>香瀬さんへ
>凪さんへ
>ピクルスさんへ
>寒月さんへ
>石川順一さんへ
>日々ノ凛さんへ
>吉井さんへ
>何も感じられないのならそれはそれで仕方のないことでしょうね?
>香瀬さんへ
>et alさんへ
>雨の実さんへ
>et al.さんへ
空の果ては君のまなざしに似ている。真っ白な太陽がさんさんとふりそそいでいた。夜の砂浜の上で寝っころがってるぼくらは裸のまま空を見上げていたね。真っ白な太陽がふりそそいで夜の闇を突きぬけていたよ。雲一つない空に星一つない、ぼくはそんな不思議な空を見上げていたんだ。
あの向こう、くすんだ灰色の空の向こう側は見えないね。いくら見つめ続けてもぼくの目であの向こうは見えないよ。君は見たことがありますか?
あたし?ねぇ、エッチしてよぉ
ほら、あたしの乳首に触ってごらん?
あたし、感じるの
あなたを感じるの
途轍もないスピードで通り過ぎていくのはあなたが思い出している記憶(≒記録)なのかしら。あなたの顔が目の前で幼くなっていく。あなたの顔に混ざっているものを一つ一つ分けていくとおもしろいよ。ヤマトタケルとか源の頼朝とか見つからないかナ
ぼくのよせ集められた顔の中に君が見るのは、君が昔、会ったことのある人さ。だからぼくもそのとき、君に会っている。君の顔をよく見つめてぼくも一人ずつ会いに行くんだ。イザナミの大神様とか、北条政子とか会いに行くんだ。・・・たとえばの話さ。
あなたが見えない空の向こう側にあたしは行ったことがあるのよ
聞いてよ、ねぇ、アン・・・
あ、そこは・・・もうダメ、ダメだったら
・・・あっちで花火してる人たちに気づかれるよ、あ、だめ、あ、いやん
ねぇ、もう赦して、お願い、赦して、あたし、あたし――
空の向こうはね、もう一人のあたしが、アアー
あなたに代わってね、ね、あ、ああん、ああああ
だから、あなたがあたしに(はあはあ)
なってるのよ、わかった?
ねえ、聞いてる?
(アタシは空の向こう側を見てるって言ってるのに)
それはたぶん彼の口癖なんです。ずっと見てるのに「空の向こう側が見えない」なんてね。でも、本当はそんなことなんかどうでもいいんでしょ。だって、彼ったらあたしの話、ぜんぜん聞いてないんだし、いつものように最後の最後にひっこぬいて、あたしの顔面にぶちまけたあと果ててしまうだけなんだから。
ええっーー!!これじゃ、あたしって、取り残されたままじゃないのよーー。
カズ子の鼻の穴の片方がぼくの精子で塞がってしまっていて、カズ子はあんまり息ができず、少し苦しそうだったけど、ぼくを見つめるカズ子は、それでも微かに唇を動かしてぼくに言いました。「大好き」
(ほんとは「大輔」って言ったんだけどね。
大輔、女の子の相手するときは、もう少しムードっていうの、大切にしてね。
あたしたちそれにいちばん弱いの)
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080611_728_2826p
涙を流さない君。
どうしていつも
切ない顔をするの?
寂しいの?苦しいの?
そう君にいつ聞いても
絶対に言わないのね
ある日、一瞬の時
口から零れた落ちた
君の不安の音色
それはまるで
ビー玉がかごから
零れ落ちたみたいに
見失いそうなこと
わたしはそれを拾った
君の頭を柔らかく
抱くことも出来ない
せめてもの償いの印
淡く鈍い色した硝子を
胸の中にすくい上げた
愛しさと哀しさが
溢れて止まらない。
ねぇ……君。
不安なら落としてよ
わたし拾ってあげるよ
だって君のこと全部
大好きなんだもの。
君に幸せでいて欲しい
そう願っているから
だからお願い、ね?
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080616_798_2836p
>"君"は自分自身でもあり、
わたしはあおむけに
すこしずつ流されていく
かわべりにつかまるあしくびを
あらく研がれたくさがくすぐる
月があまくとろけ
むすんだくちのすきまからすべり
満たそうと
ささやきかけるからいっそうくちをかたく
むすんでこばもうとする
やがてこらえきれず
みなもにこぼれてしまう
くろかみのかげに小魚がむらがり
うろこをいくつか落として
あえぐこえもなく性交をおえると
つめたいままわかれてかえるところもない
かかとだけをのこしておしりのかんかくも
うしなったはずかしさもうしなったわたしはただ
おしまいをまつだけのからだになってしまったことに
たえるひつようさえうしなったわたしはもう
ただはやくあさがくることをねがっているだけで
おしまいのあとのはじまりをばかみたいに信じてみたいだけで
かかとにすこしのちからをこめてくちをひらく
さようならをするわたしは
あおむけに流されながら月をまといきらめいて
みぎからひだりからおなじように流されるひとたちと
とてもつめたい手と手をつなぎあわせ
さようならをするわたしたちは
たったひとつの意味さえ持たずにきらめいて
静寂のなかで幕がおろされ
明かりがついた客席にはだれもいない
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080528_320_2792p
>たったひとつの意味さえ持たずにきらめいて
>素材が素材であるだけに、かえって知が勝ちすぎてしまった、みたいな。
>「わたし」もとろけてしまっているような、そんな感覚を抱きました。
>死んでしまえば、たったひとつの意味さえもなく、手を繋ぐことさえできるんだなと、なんだか不思議な気持ちになりました。
>舞台の中の話者から視点を奪わずに書き切るべきだったような気がします。
>柔らかい手彫りの木片で組み上げられた、静かで遠くに輝く祈形のように感じました。
>それと最終連は、幾つか行の入れ替えと動詞活用の変更があってもいいように思いました。
水脈をめぐれ舟よ さらに
満ちつづけよ穏やかな日々に
小さく声を立てて木々はほほ笑む
風の方向にやさしくやさしくそよぐ
白い葉裏も恥ずかしげもなく歌う
向かいつつ
注ぎつつ あると
それがいつだったのか
どこでだったのか
想い出そうとしていた
微かに揺れる
穏やかに発情する
水に手をひたす
ぼくを抱擁する水脈よ さらに
きみの形に触れようとする
降り 打ちつづける雨となり
渡り 寄せつづける波となり
溢れ 想いつづける涙となり
さらに 満ちつづける体液となり
水脈はいつか
そう いつか
喜びに悲しみに快楽にわたり
心の流れとなり
満ちつづける穏やかな一日を
満ちつづける一本の木を
おお ならば立ち尽くす水脈よ
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20080612_744_2829p
一夜
若いつぐみの屍が 勝手口に上がる踏み石の上に 抜け落ちた蒼い
梅の実と一緒に 載っていて、発育不良な蟻が つぐみの脚につま
ずきながら 五、六匹忙しげに働いている。台風4号が去って行っ
たあと 庭の雑草の葉先は 一様に北北東に傾き、一瞬 見てはな
らない方角に 顔を手向けてしまった胸騒ぎが 過って、無色無臭
の大気が 大人しく大人しく 揺らいでいる。
二夜
夕暮れの色に春が染まり 二ヵ月前に植えたアマリリスの球根が
花茎を伸ばしていて、やぶけた蕾から 横向きに礼をした 花たち
が出だした。刈り過ぎて 他所よりも二週間ほど遅れて 狂い咲き
した梅の木の 枝という枝に 実が数個かたまって纏わりつき、転
がる雪の玉が大人になる速度で 成長して行くものだから、尻すも
うに負けた果実が 糸を張った蜘蛛もろとも 落下し出した。
三夜
枇杷色に化粧した下弦の月が 東方の空壁に 仕掛けられていて、
地上の大抵の静物よりも遠くにあるはずなのに 今日はよく透き通
る夜半の下り坂を ゆっくりと歩いて来るのだった。使い回されず
に済んだ白いバニラアイスクリームと 使い回されようとしている
胡瓜と小茄子とラディシュの粕漬けが、船場吉兆の冷凍庫とチルド
室の中で起きだして、虚実皮膜論を語り合っているのだった。
四夜
ぼんやりと色付き始めた 初雪蔓の影が 昨夜から降り続く雨の溜
まりに 浮いていて、伸びすぎた松の新芽を 見上げながら 震え
ていた。クロネコヤマトの兄さんが U字溝埋め立て工事の まだ
終わっていない市道を 走り去った午後、ネットで買った5L綿た
っぷりブラキャミソールを いつまでもうれしそうに手に取ってい
る 妻の姿があって、父の死を知らせる電話が ずっと鳴っていた。
五夜
須雲川の水かさが急激に増したのは ビルマにナルギスが上陸した
二週間後のことで、西湘バイパスに 高波が押し寄せ 多くのサー
ファー達が波に浚われたのだった。露天岩風呂に流れ込む湯はぬる
く 肩にタオルを当てて半身浴していると、イキノコッタダケデモ
シアワセダトオモイナサイ、テンガロンハットを被った 全裸のマ
ダムが お洒落なメガネを陰毛で拭きながら 入って来たのだった。
六夜
ママの広場で買った寿司茶を飲み 豊島屋の鳩サブレーを頂き メ
ビウスの輪に中央線を書き込んでいたら、面なしメビウスが現われ
て心情告白した。面にたよって ばかりもいられないので 矢は線
の軌跡を足場にして やっぱり 急には方向転換できないから、ま
してや 中央線をふみこえるなんぞ とっても とてもかなわんわ、
そうなんだって そうかひと筆書きだもね うん納得した。
七夜
白米と塩だけで 飯を握る あと一晩寝ると夏が来るとは とうて
い思えないのだが、額紫陽花のつぼみが 白味を増して すでに衣
替えを 終えている。義援金箱の傍に一円玉が なんの自己主張す
ることもなく こぼれていて、自分の一生分の重みよりも重要であ
るかのように 小銭にもならぬ 重さ1g足らずの塵芥を 汗ばん
だ指でぎこちなく掴み、初老の男が ポケットに仕舞い込んでいる。
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>右肩良久さんはじめまして。
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