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陽向

選出作品 (投稿日時順 / 全7作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


自分に似てるものとの出会い

  陽向




道路に生えている草をバッタが食べている
雨はバッタに雨粒を叩きつけるが 必死で食べている
僕は顔を近づけた つかまえてみようと手を伸ばす
バッタというものは手を伸ばせば飛んで逃げるだろう
そんなことを思いながら手を伸ばしたら 案の定逃げた

僕は一人になった
雨は上から下にまっすぐ降ってくるのではなく
横降りだ 服やズボンに雨がしみてくる
参ったなと思った 傘を横向きにして歩いても服がぬれる

道路を渡ろうと思ったが 運わるく右から車がやってくる
その間も雨で服がぬれる 右が終ったら次は左だ
右 左 右 左
左から来なくなり 右からも来なくなった
よし渡れる 大分服はぬれたがこのくらい大したことない
僕は小走りで渡り 目の前のコンビニへ入った

コンビニなのに混んでるな
コーヒーとあたりめを手にとり レジに向かった
右のレジはたくさん人が並んでいるが 買い物が少ない
左のレジは人が少ないが 買い物が多い
どうしようかと思った ふとバッタが浮かんだ
左にしよう たまには長いこと並んでみてもいい
案の定 長いこと待たされた

家に帰り コーヒーを飲んだ
あたりめは食べないで 棚にしまった
僕は一人だ コーヒーを全て飲み終えて
雨を見ようと窓に近寄った
イモリがいた 僕はイモリをつかまえて家の中へ入れた
今日は小さい命に2回出会った 一人だと急に思えなくなり
眠気がおそってきて ソファでねむった


349

  陽向






3という数字が好きで僕の側にはいつも3があった
赤ちゃんの時 ぴったり3時間置きにお腹が減ったと泣いていたらしい
今は4(死)9(苦)を敢えて好む 側には悲しそうな3が佇む
349 3の意味は分からないが4と9の意味は解る
3は一目惚れのようなinspirationだと思う
死と苦の鎖が僕を縛る 僕はきっと3なんだと心の中で呟く



「人間は死ぬ為に生まれてきたんだ」
父は酔いながら言った 僕はそうだと思ったのを覚えている
「アバートの部屋番号は4という字を使わない不吉だから」
父は言った 見てみたら本当にそうだった
全部のアパートがそうかというのは知らないが
僕が見たアパートには4という字は無かった
前に4:44が2回位あった 僕は何故か嬉しかった
いつも何もかも4と思っている そうして3が9だ



これさえ無ければ僕は幸せだった
「世界の中心で9を叫ぶ」
世界の中心で3が9を叫ぶ 4と思う
349 349 349 349
足跡は無い どこにもない
僕が9に蝕まれた足跡がどこにもない
対価もなく いつまでも9だけが側にいる
僕の背番号は349だ


PCが銀髪を拒否した

  陽向

PCが銀髪を拒否した
僕らのHTML+CSSは言語で出来ている
一昨日君のHTMLが僕のHTMLに感染し
一部一部が自分でも分からない単語で
埋め尽くされている

太字にしても届かない声
サイズより内容
HTMLが抑々君のHTMLに必要とされていない
僕のcategoryは君で一杯なのに
君のcategoryに僕はいない
CSS―言語 足りないわけじゃない
ただ思いが伝わらないんだ―HTMLを HTMLを

PCが銀髪を拒否した
いつの間にか僕は最初の行と最後の行の
bodyから生まれ変わり
ただ漠然とサイズを意識してばかりいた


超つまんね

  陽向

水を飲む
がぶがぶ飲む
お腹が苦しいよ
水にも飽きてきたところで
一回死ねと叫んでから
コンソメスープを飲む
コップで五杯飲んだ

そんでうなだれる
俺の人生なんとも言えない
幸せなのか辛いのか
同じ日々の繰り返し
友達いない友達いない

死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね

なんか知らんけど幸せで
なんか知らんけど辛くて
僕は真夜中に寝ている
当たり前だ

ビールがさ
憂い顔で
もっと冷やして、って
言っている


光の道

  陽向

子供の頃は静かな子供でした。

ボール遊びなどでは、いつも端の方でぽかんとした顔で、周りの子がなぜこんなにも動きまわっておるのか分かりませんでした。

その子供は大人へ成長、今、安い飯を親御さんのお金で食べさせて頂いてます

アジフライ1枚に白飯。300円。

夜には1000円で買ったウイスキーを薄めてハイボールで飲ませて頂いてます。20日くらいは持ちます。

楽しい日々を送らせて頂いております。

青年は安い飯を食べさせて頂きながら、夜空がちらと視界に入り

ありがたや、あぁ、ありがたや。と、

神様、仏様は、人々を見守ってくださってる。なんて素晴らしいことか。

まさに光の道を人々は歩ませて頂いてると、

申し訳なさそうに白飯をもう一杯食べさせて頂く青年。


窓辺の少女

  陽向

道端を見ながら歩いてると
色んなものが落ちていて
一つ一つのものが
無価値な雰囲気を漂わせている
丸い形の何かの部品を手に取り
少女はポケットに入れた

私は物かもしれない
机の上の本や引き出しの中の文房具は
何も語らない
これらに私は愛情を感じた
物である私と物の一体化

人や自然や動物が
息を吹き込んだ霊的な動く物体に見える
それに比べて物は静かだ
この静けさしか私を理解してくれるものはいない

私は生き物を感じる物はなるべくさける
顔のない身体のない物がいい
私は物なのである
来世は物に生まれたいなどと思う

外の建物の静けさを味わう為に
少女は窓をいとおしいという人間的な感情を抑えながら
いとおしそうに撫でながら窓辺に立つ


黒目の窓枠

  陽向

薄茶色の光が窓に反射している
それがまるで絵具みたいに窓にこびりついている
よく窓を見つめると水が水色にはりついていて
夜なのか周りは暗い色で暗いような雰囲気の窓である

文学極道

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