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葉月二兎

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


papilibiotempusolare-loremipsumanniversarium

  葉月二兎


  鯨の背筋に氷が逞しく早贄に馬の響き合い
可愛らしくほほ笑みか(蹴られ)ない
唇が触れる 焔を人質に取られる だっ
たの 激痛すら 言葉の神経節

花々(であるはず
  は影に ぎ(  」
 彼らのものの )

 た僕の右 口から雪解けが崩れ落ちる白昼の中ヒナゲシ
猛禽類の域(息)が、ない 真冬の太陽
黒い子どもの手 黒い子どもの手 それが花々で
  は、影に唇が触れる
 白蝶/蝶

その縫い目の境界を 二つ
川が 穏やかに君の目元を掘り返している
 あなたのもの (は) ない
さんらん が僕にお眠り下さいました

僕と僕を見ることのできない息(閾)に仙人掌
抉れた石を窓越しに見つめながら

蜜蜂に部屋から夕潮に踊り彷徨いだした象牙はアルカロイド
 でした ほほ笑みかけ 差し出す手 (そして)盲いた主旋律
を絡みつけられた沈黙に
を絡みつけられた沈黙に 円形状の静脈

      黒(く) 

 湖面に震えている  /  の。/ ?
蜂の巣に挟まれた鯨の瀬
 あれが、子供たちの手をあやして(く)円錐状に君の内部が 閾(域)して、いく
沈黙を、
花が吸い込んで表されている
   つかの間に、
 花は、時間を離れてゆきます

身体の繋がれたつがいの白蝶 首をしめる
 指が しめる
  羽蟻のしがみついた音声の巣

深夜に見たあの花の名前を誰も知らないあなた

角の欠けた枝の
たたずむ二頭の牡鹿
         であった、時間
夕立
 であった、時間
 が夜とは営みに外された

コップの水に生まれた睡蓮の首
くくれ、指を湿らせて
    腐ってしまえ

私の中に行き届かない黒くの余白 眼差しにまで敷き詰められた北の太陽
喉を裂かれた東京
 にまで敷き詰められた北の太陽

ちぎれたアロエの刺に新宿、反転した十字路には
      黒(く) 
 指が しめる

夏至の静寂に君は
暗転する指先を現さなければ
赤くはぜる

牡鹿の角に植えつけられた白蝶の繭
きみの脚から糸までは追ってまで行きたいな
 立方体まで崩れた鴎が糸をくわえこんで
花が折れた
     瞬間からあな
 たが衛星に揺らめきしておられますのは
黒い子供をした顔
  黒い子供した顔 の/群れ

僕らの暦から特定の日付を削りとられました君/    
時間以上に逃走する人に集まりましたが
 は、夕方にピンクの純粋さを 黒斑の重みで

表された川面(角の突き立てられて氾濫する)に流れた

互いの
  あなたは無言 でも 君はそこに引かれ
さけたからだ と
 たたずむ二頭の牡鹿

蜘蛛の巣の糸に蜜蝋が剥けて閉めだされていきました
ですのに、
 花は、時間を離れてゆきます

花が折れた 花の
首が折れた

特定の日付の静寂の空には

君の水が燃やす
あなたの水が燃やす
         白蝶に襲われた太陽

天皇よ、
走れ




(初出「反射熱」第7号 2011年)

文学極道

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