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野の花ほかけ

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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おばあちゃんの畑

  野の花ほかけ





   甘い匂いが漂うのです
   懐かしい記憶の鈴が鳴るんです


     +


   おばあちゃんちのテーブルに
   はち切れそうなとうもろこしが
   はみだす程に大きくなった
   白く輝くつぶらな瞳
   そいつをガブリとやるのです

   ゆっさゆっさと七月の風にも負けずにすっくと立って
   わたしはつっかけ履きの少女に戻る
   背よりも高いもろこし畑
   少し縮れた髪の色

   手足がちぎれて 縫い直して貰いたい
   小豆の入ったお人形
   まだ母さんのお針箱の上に置いたまま
   仕事に出掛けて行くのです

   その代わりにとうもろこしの人形を
   こっそりもいで抱っこして
   頭を撫ででみたのです

   ねんねこ ねんねこ
   畑に隠れて
   あそぶいもうと いないのに
   ごはんも食べずに
   畑に隠れて
   だあれも呼びに来ないのに

   しろいひげ ながいお髭がちょろんと覗く
   三毛猫が、
   足音立てずにやってきて
   少女のほっぺを ぺろん、と舐めた

   、ざらざらの舌
   、猫にちゅぅ


                      夕焼けが 西のお空を焦がしても だあれも呼びに来ないから
                      みけと一緒ににまどろんで まあるくなって そらに昇って


                 ○  月夜の畑を          みけと一緒に
                       ●  散歩した           散歩した

文学極道

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