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木戸 - 2008年分

選出作品 (投稿日時順 / 全2作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


18歳

  木戸

僕が自分を知ったのは
たしか去年の秋でした

一人でニヤリと笑ったり
むやみやたらと騒いだり
校舎の窓から顔を出し
空を仰いでおったのは
すべてまえぶれだったのです


出会って最初のあいさつはたしか
こんちは
さようなら
なんだか気恥ずかしかったのです

オカアチャンの
機嫌をうかがう
子供のように
僕はしばらく外で遊んで
深呼吸してから
ドアをノックしたのです

僕ははじめての感覚に
戸惑い
喜び小躍りし
人を見下し
悲しんで
恐れおののき
身震いし
布団にくるまり頭を抱え
カタツムリみたく顔を出しぴょこんと
覚悟を決めたのです
ぴょこんと
覚悟を決めたのです


僕が自分を知ったのは
たしかに去年の秋でした

一人でニヤリと笑ったり
むやみやたらと騒いだり
校舎の窓から顔を出し
空を仰いでおったのは
すべてまえぶれだったのです


宇宙を感じて

  木戸

1
空を見上げて
光る星の名前を
僕は知らない

そんなくせに
じっと見つめて
なかよくしようぜ
って
話しかけるんだ





2
誰だろう
あんなところに
いこうだなんて
おもったのは

誰だろう
そんなこと
じつげんさせよう

したのは

ガガーリン

アームストロングがとんでいった
むかいさんも
もうりさんも
とんでいったね
ついでにぼくのこころも
とんでいったんだ





3
空気のない
冷たい世界に
僕たちは憧れて
ロケット飛ばして
シャトル飛ばして
がんばってるね

大きな望遠レンズで
星をみて
うへえ
と言って
星がいっぱい流れるのをみて
うひゃあ
と言って願いごとするんだ




4
宇宙を感じてみると
僕の思う世界なんて
ほんとにちっこいものだね

だからといって
自分の悩みが小さいとも
思わないし
僕の命がちっこいだなんて思いたくない

でもそんなこと忘れちゃうくらい
宇宙は宇宙なんだよなあ

文学極道

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