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明日花ちゃん - 2014年分

選出作品 (投稿日時順 / 全7作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Littledancer

  明日花ちゃん

夢みる君 おかれた朝 にポン と捨てられたパンは いくところなくて 本当は 食べて ほしい乾燥肌に 同じしるしを感じた やがて 気まま わたしたち 背中から 骨が生えてた もう辛いから お互い 風通して ぬけていこう。するんとした ひろうはし つぅんとした びーだま おはじき しーる ふわふわたまご 上手な 手で 返す き み。の横 縁取られたゆびさきにみどりの 画用紙 はりつけて はやく ひとり になりたい と書かかれたメモの小ささに 自信とか やってはいけないこと ばかり申し訳なく 見えたり 隠れたり するフライパンの 汚れ なんて どんどん 無くなってしまえば。いい  みると そう 君だって ずっと ずっと こうしてたかった こうして正しく すべきなの に ちゃんと 説明 できない。好き。ちゃんとした気持ちが 怒られた。 こんとこ くらい 汚れてもいいの。 巻きスカート たたもう きめた きゅうくつな やくそくは 宙返りして ウエディングドレスになる うん 同じしるし ばっちい。 あとから いつも しずむ ふね みえる あれには のらない。のらない。 だって わたしたち 恋してたじゃない ずっと はちみつ甘かったじゃない ずっと あそこに 腰を おろして パン 落ちても。 きょう み、た 君は綺麗だった。 つるつる みがかれた はたちに見える。 ぬけてくこきゅう ひろうはし あつあつの こいしを ぜんぶ 拾うことが できた顔は 教えるゆびより ひんやりしていた。 それなら きっと しんぱいは しなくていいよな花だよね


君の問いに答えようと思った(この題名は君の書いた「星屑に願いを」から引用)

  明日花ちゃん

ケーキの横顔を崩そうとがしゃがしゃ音を立てながらすみずみに羽ばたいてどこでもさよならできるように。どんなときでもどんな時間でもどんな場所でもさよなら出来るように願った。もうすぐ七夕。去年の今頃はもっと何もしていない。君の問いに答えようと思った。

僕らはきっと、果たして、果たしてゆく事は出来るだろうか。僕らの後にずっと有能な人間が沢山出てくるのは、すでに当たり前だと思っている。信じる事は二つしかない小さないのちをどう使うかという話かもしれないな。君は何度でも蘇るから、何度でも殺せる様な気がして、殴り続けていたら「殺す気か」と腕を掴んでそこから今まで離そうとしない。スプーンに飯を乗っけて、零しながら貪った君が僅かに泣いても気に留める暇がないって、んならつるむなってしたたかな横顔を崩そうとした。フォークで床をプツプツ刺し、闇を広げていく。それでも感情を歪めない君の前をトラックが叫んだ。雑踏に佇んだ声が時空を動かし始めた。いつしか星が見えた。星の中にとてつもなくおっきい菱形の星があった。僕の所にも存在していた。どこから来たのかという問いに君も答えようとパクパクと口を動かしている、僕は「金星だ」と言った。金星でキノコを栽培してるンだアって。この滑舌の悪さはお国柄ですからご容赦願えましゅか。そいたら君も木星から出稼ぎに地球にやって来たらしく、同じように少し訛りがあった。(これは後に気がついた事だが、実は僕の「金星」は地球のベクトルで考えると「火星」にあたるらしく地球人の常識を連れ回し、勉強を続けていた僕にとって小さな衝撃をもたらし、また更に大きな衝撃として、君の木星と僕の金星は同い年の同じ星だったが、どういう訳か僕は表面で暮らし、君は地底でひたすら測定をしていたそうだ。)

僕は君に確か、地球レヴェルで考えた百年程前の月と火星との恋について聞き出したかったのだろうと思う。大きくて僅かな恋が失敗をする時、何かとてつもない事件が起こるらしかった。僕はもしかすると幼い頃からバカでかい恋に自分を重ねたがる気質があったのかもしれない。地球人で言うと、「夢見る夢子ちゃん」だとかそんな風にされて、長い間閉じ込められた。事件とは地球にとっても僕らの金星にとっても重要な戒めのように見えた。歴史を辿ると地球人が宇宙人を恐れた時、人間界カンペキな空想、現実味のない信仰は、足元にスッ転がり、泥靴に批難を浴び、抹消されたのだとある金星人は話していた。地球人は地球において、「地球らしくない事をした」と言っても過言ではなかった。僕は地球人が嫌いな訳ではない。いや。むしろ地球人に対して尊敬の念もあった。地球には美味いものが沢山ある事も、様々な文化が存在している事も、金星雑誌第一号「「放送禁止!無様な金星!最も有能な星とは。」」にデカデカと紹介されていたし、地球は僕の夢でもあった。地球に行って地球人と恋に落ちること。地球年齢22歳、まだ叶えきれていない外国出身の僕だけれども、そろそろ地球人から国籍を変えたとのお許しが欲しいと思っている。君も出稼ぎではるばる金星から地球に来て、まず困ったのは融通がまるで利かない寂れた土地が故に、職が決まるまで二週間程の路上生活を余儀なくされ、ホーム(家が)レス(〜ない)と呼ばれる人々に酒やパンを頂いていたらしい。申し訳ないと話しながら、服さえ着ていない日々から復活するのだから目覚ましいことだよ。と僕らは酒屋で讃え合った。僕はこの裸さえも一つの洋服だと感じているけれど、君もそうだろうか。裸の王様は知っているかな。そう。透明の服を着込んでいる土星人の話だよ。この服をいずれ脱ぐ事が出来れば屈伏せずとも良いのではないかと感じてしまうよね。僕と君の地球に来る意味合いは違っていたかもしれない。君は生きるために来ていた。僕も、もちろんそうだ。けれども本質的な目的は失っていなかった。僕はいつだって恋をしたい。月と火星が本当に恋をしていたらいいと思い続けていた。君に出会う前、僕にとって星達が目指す恋はきっと華やかに輝き、美しいものだと感じていた。地球人なんて特にロマンチックに出来ている事だろう。美しい言葉で文字を繋いだり、手を絡めるヴァリエーションも豊富に見えた。地球にやってきた15年後の夏、ぼうっと暗がりで遠い国を見て、あらゆる考えをさかのぼった。離ればなれに浮いた星達を、僕の隣で父親だと言い張る人間が寝そべって何かしていた。指先で星の線を描きながら折り曲げて、たった一つの輪っかになる。「ほら。よく見なさい。」「ここと、ここ。」「ここと、ここだ。」ってずっと。僕は君の問いに答えようとしていた。いつも。君と出会う前から。もしかすると一番星も二番星も変わらないんじゃないかっていっこの命としては。繋がった時に意味が出てくるんじゃない。答えを準備して待っていた身体から分厚い衣をもぎ取ったら、君よりも大きな凹凸が僕に存在して、また君のように、脚にある太いコード線が表面上からひとすべも見えない僕の入れ物を大声で笑いながら、「とても変だ」と言っていた。つられて僕も可笑しかったので、そうした。向いてないね。ちゃんとした服に着替えてコーヒーを淹れたら喜んで飲んでくれた。君が地球人の中で特に気になっていた「黒人」と呼ばれる幾つかの人々の名前を僕も知っていたからその事について話した。僕の好きなテニスプレイヤーにモンフィスっていう人がいるんだ。僕にとって彼はファンタジスタでね…黒人のアイデンティティは今どの段階に存在しているだろう。彼らの主張はまさに金星人の嘆きだよ。明るくて希望もあり、楽しそうに振る舞い、自分たちが素晴らしいことを本能的に知っていそうだ。未来にかけて話してみたいな、君はどう思うの。…不思議なことを言うね。さすが天才の星から来ているだけのことはあるよ。僕もその考えに全面的に賛成すると思う。秘密調査だ。まるで…うん。コーヒー、すごく美味しいね。

何かの脈絡に苦さを染み込ませながら、君がポトリと地球で過ごした月日を一通り話し終えた時、空気が金星にいる様な懐かしさを覚えた。僕らは本当に同じ星で地球人の知らない金星人で。僕はその時地球人の事なんてこれっぽっちも知りたくないと思った。悲しかった日に、涙が出ることしか。嬉しかった日にも、同じように水が溢れて落っこちるのだけれど、とてつもなくしょっぱくなることを知っていればそれで良かった。君が「星屑に願いを」を書いた夏、地球の人生にしょっぱさを感じていたことくらい。僕は何もしていない体たらくさ。っていつも言いたかったよ。金星人にとっての優しさをちゃんと理解しながら誰かと誰かは見えない恋をしていただろうか。僕も金星人として地球に住む事が出来たらいいのに。こんな風に笑えるなんて考えたこともなかった。金星にいた記憶は旅をしている時、殆ど他人にあげてしまったという君の眼を見ながら、月と火星の恋について話した。そうしたら君は「失敗したと思う」と答えた。その後君が放った言葉は「恋は成功が失敗だろう」だった。

僕らが願うのは故郷に帰ることなのか。それか、僕らの知っている場所にとてつもなく近くてとてつもなく遠い場所に行く事だろうか。時空でもいい。探し続けてもいい。いつだって僕らは瞬間を破壊したかった。時計をいくら壊しても終わりが来るかもしれない、僕の行く所は決められて、操作されながら流れていく。妥協を繰り返しながら、死んでいく。さよならしても、あれは僕が僕自身にしていたさよならに似ている。君の後ろに僕を残して。進んで、この前の事さえ忘れていく。僕らの知っている遠い昔の話を君は断片的に思い出して、冷たい肌に落っこちているのかも知れなかった。あの月と火星は、確かに恋をしていたはずで、抱き合おうとしたに違いない。抱き合おうとして近づいた。けれども、生きる方を選んだんだ。お互いが想い続ける、そっちの方がいいだろうと、我がままにしなかった。本当は誰よりも抱き合いたかったらしい。誰かが言っていたよ。あの人は私を愛していなかったのか、って。衝突する日は失敗する日。月が火星に、もしくは火星が月に、願った事は何だったの。きっと帰りたかったに違いないよ見えない何処かに。誰も知らない場所。夜や昼でもない、ふたつぼっちの。もうすぐ七夕だね。僕が死んだ時、または君がいなくなった日を、食い止めることって出来ないのかな。織り姫と彦星も、月と火星の恋を夢見ていた。僕らと同じように。かぐや姫が月に帰った時からずっと見届けた僕らが続いている。僕らは繋がっている。どこかで繋がっている。繋がっていたい僕らだって君と。昔から未来に向けて繋がろうとしたい。誰かが崩して切り分けても。僕の金星人、さいならだよ。愛しているよ。夢はとても小さかった。君と離ればなれになりたくない。せめて気持ちだけはこのままずっと一緒にいれますように。このまま愛する事が出来ますように。笑い合えて、僕らが小さくなってもずっと心抱きしめていれますように。僕らじゃなくてもいい。誰かがそうなれますように。何処かで愛と愛が繋がれていますように。愛で幸せになれますように。願い続けて折れた腕の中で僕は寝ていた。寝ながら呟いていた。僕が知っている何かと、君が知られている何かの話を誰も知らない所ですればいいよ。ねえ君。もしくは君に似た恋人。僕らは愛し合っているのだろうか。さようならをしないで欲しかった。嘘じゃないかって、君を見た。金星で会えるだろうか。地球人の君は何処かに連れて行かれそうで、腕にしがみつきながら行き先を聞いたよ。まだこの詩は生きているでしょう。よく見なさい。ここと、ここ。ここと、ここだ。お願いだから捨てないで。僕たちはどこに行くの。病院に行くのは可笑しいでしょう。聞いてよ、地球人。目を覚ませ。ばか、連れてくな。もしもし。もしもし。金星より。音声はそこで途切れた。


日曜日のメモ

  明日花ちゃん

とある近隣住民の火星人は
金星人が“ゆうぐれ”という
とっても素敵な名前のするプレゼントがやって来ることを
今か今かと楽しみにしています。

あ、ちなみに、この詩を紹介しているぼくは金星から火星に繋がるポストです。ぼくというポストは手紙や金星の土や、クレーターに落ちた靴、あるいは人間、どんなものでも、どんな場所でも大丈夫に。安心安全、とっておきの優しさで皆さんのもとにお贈りします。

ある時ご相談にやってきた金星人が言いました。

「ゆうぐれ、を火星人に届けたいの。」

「ゆうぐれかい?」

「そうなの。」

「きみ、ゆうぐれをみたことはある?」

「ないわ。」

「なぜゆうぐれ、なんだい?」

「ゆうぐれを知らないから。」

「知らないのに届けるのかい?」

「知らないから、先に知って欲しいの。」

実はぼくというポストはなかなかの経験豊富でポスト勤務はかれこれ8年になります。それ以前には配達員として地球に、ある程度の魚や、ちょっと厄介な水たまりを宅配して地球人から「地球に過ごすためのオカネ」を貰っていました。ですが途中ぼくはオカネというおっかねえ生き物にほとほと嫌気がさしていたのです。オカネがせんえんからきゅうひゃくにじゅうえんになりいつのまにかにじゅうえんになり、分厚い雲が五月盛りの河原に深々と一礼している様子を伺い、「なにくそ」と手持ちの身体をダボつかせて歩いていた時、キラキラとした優美な雰囲気を放つじゅうえんだまに道端で出会ってしまうと、こいつが妙に意地らしくぼくの額の上で回転し、ぼくは彼女の平等院鳳凰堂を舐め回すように見てしまうのです。ゆえにぼくはそんな自分がとても恥ずかしくて地球人との仕事を辞めにしました。地球人に一通りそれらを話し終えると「君は病院に行ったほうがいい。」と半ば哀れみの眼を振り翳します。ぼくにはちっともいらない涙でしたが、ちょっとだけちりちりとした空気になりました。地球に足元を引っ張られる感覚よりも空が接近しているように見えます。ぼくは地球が全く見えなくなりました。空が近づいているのか、地球が誰かの手によって押し上がり引っ付こうとしているのか、全く検討もつかないまま、地球権を放棄し、現在に至ります。
 
ぼくは金星から火星に繋がるポストです。このポストは手紙や色々な仕掛けで出来た欲望や、あるいは人間、どんなものでも迅速かつ丁寧に対応します。必ず切手はデコピンで貼ってくださいね。切手のほうは「君のこと好きだよ」の言い方で種類の変更が可能です。金星人運営のコンビニ、または銀河管理会社にて販売しております。

そんな訳でぼくは金星に“ゆうぐれ”がなく、地球に“ゆうぐれ”があることに気がついていました。ですがこの自尊心の高そうな、金粉を振り撒く金星人に対して教える心持ちにどうしてもなれませんでした。今が“ゆうぐれ”時ならば、海に沈み佇んだままの青空を見殺しにして、ぼくは“ゆうぐれ”を明け渡してしまうだろう。地球に不法侵入して取ってきてしまおうかな。地球人が“ゆうぐれ”を失って困ることはまずあり得ない。ぼくは暫くの間、金星人の瞳をじっくりと舐め回し、8年ぶりに地球のパスポートを取得しました。

ぼくは8年ぶりのスーツに袖を通し、ポケットの中にしまってあったBB弾を二つ、心がちょうど端に差し掛かったところをセロハンテープでしっかり留め、鏡台にて、地球人の姿形を観察しました。ぼくから向かって右側の棚に飾ってある紫色の棒は、水もやらず、萎びてしまい眼も当てられない有様でしたが、ゆうぐれを盗むためには必要ではないか。と考えました。(ぼくの相棒だか、肉棒だかは知らないが、この生き物に助けてもらったことは幾度となくある。)あとは金星ドリンク一本とあの金星人の連絡先。金星人には地球人でいう姿形がありませんから、とりあえず連絡先を交換したのです。
金星と火星のポストであるぼくには金星人以上の存在さえありませんから、連絡先を交換することは都合良く、存在感覚を鈍らせないように、という文句で度々電話を掛けました。ぼくは自分の肌が地球色に染まらないように気を付けながら、あるときは丁寧に、またあるときは多少怒りっぽく、金星人に事情を伝えました。

「また、地球人になってしまいそうだ。」

「抵抗しているの?」

「違うよ。」

「あなたが誰なのか、わからないの?」

「そうかもしれない。」

「私も、同じよ。
 同じだけれど、あなた以上に分からなくなったの。
 たぶんね。」

金星人でも火星人でもポストでもないそこの君、そう。君だよ。
存在がないことについて不思議に思うのはおかしいだって?
少し離れて見てくれないか。ぼくはいらだっているんだ。


「ぼーっとしていて、それから"なんでもない"と言ったことはありますか?」


ぼくらの存在はそれとよく似ています。地球人にとって"なんでもない"ことは悪い意味かもしれないが、僕らにとって"なんでもない"ことはとても良いこと。だって"なんでも、ない"んだから。ぼくらは、なんでもない世界で生きている。なんでもないことをしている。だからなんだってないってことをよく知っている。ぼくの中にいるうじゃうじゃとしたほころびも小さくまとめて売りつけて、誰かが燃やせばいいと思っている。ぼくはこの詩を読んでいる一人のなんでもないポストだけれども、この詩はほんらい、金星人がゆうぐれを贈るために書いた手紙を綺麗に開いてじっくりと読み、数時間後に書いたメモ書きだ。実際ぼくは、失敗したんだ。ゆうぐれを盗って来れなかった。なぜかって、ゆうぐれをみりゃ分かる。なんでもないからだよ。

ぼくが「無理だった。」と金星人に報告した時、金星にもう戻ることはないだろうと思った。

ぼくが「無理だった」と、どこからも出ない声で叫んだとき

ゆうひが出ていた。久しぶりに戻った地球で、8月31日のゆうぐれどき
しゃがんでずっとゆうぐれを眺める地球人がとつぜん、
となりの瞳を正面にして。

それからずっと、まっすぐが、ぼくをつきさした。








もしもし。そちら金星人ですか?

塞いだ声に連絡する。誰にも見えないように。


「とうきょ組曲」

  明日花ちゃん

公衆便所はいつものとおり
主観を置いても臭わない
自慰感土地勘島の草
とうきょはいつでも叩かれる

小さくなっては今の国
国には島から影になり
影の伝にはあなたのみ
砕けてサヨナラ島流し

私せつなく僅かなしぐさ
水打ちかけずにしりぬぐい
眠り続けるきょとうのと
「せかいで一番乗りになれ」

糊付けされたあなたのしぐさ
しどろもどろで動かないわ

さんねんにくみの教室は
28度の設定で
何かいい痛そうな金魚たち
壊されたいと思ってる

セーラー服が着たくても
束ねるための頭がなくて
漫画ばかりの本棚で
スカート捲りを
待ってます少女はしだいに就職し
大人の少女になったのかしら
少女はいつからしまぐにを
自分のものにしなくなる
またまのとうきょが
大事な掃き溜めになって
叩かれ自慰感アンドの血
広げ続けたスカートに
皇居の空気は降りしきる

さようならとうきょげんだいに
ガンダムの様なロボットを
作って壊して粉々の
とうきょを捨てろ
とうきょを捨てろ
ステロイドを塗りたくり
私を捨てろ

さよならとうきょげんだい
のろえ

さんねんにくみの教室で


「プロポーズ」

  明日花ちゃん

始めに言葉がありました
言葉は神とともにありました

私が女学生になり、初めて教わる、聖書の一部は
いつの間にか離れない、神なんてどんなものでも構わないのに
言葉は辛抱強く、またある種ストーカーの様につきまとう。

なんか…あなたみたいだね、
私達は結婚する。

今日はモンシロチョウが二匹、戯れている様子が見えた
モンシロチョウって雄が雌を追っかけるらしいんだけれど
雄が雄を追いかけちゃう場合もあるんだって。
黄色い声と白い声が交互に波打つから
あれは雄と雄だったかもしれない
とっても素直だったし、新鮮な景色を
追い詰める姑息さがまぶしかった

あなたの次にあなたを
その次にあなた、その次に人参のかけら、その次は玉葱。
玉葱は昔から好きだよ。玉葱の絵も描いたよ。幼稚園で描いたの。
今では絵の具もボロボロに使いすぎてしまって
あの頃の方がスモックも汚さなかったし、油の処理も上手だった
ちゃんと教えてくれた絵の先生は、キャンバスの戦士。
おばあちゃんは筆洗い名人。ピカピカの毛並みを自慢げに見せた。
先生の口癖は「キャンバスの縁まで塗ること」。
額縁で見えなくなっちゃうのに、塗る理由って何なの?
先生のプロ意識が見えたしゅんかん。
世界で知っている宇宙人の一人だった。
今何人、キャンバスの縁を塗っている画家がいるだろう。
有名な画家の縁はどうなっているだろう。
縁画集ってないかしら。と、
本屋にダイビングする。
海、海!言葉の海!
波打ち際で、バタバタ!お魚がお尻を振っている。
そうかあ!私は魚釣りに来たんだ!
取っては戻す。取っては開き、戻す。
最初の、一口!
いい魚が旨いとは限らないということか。なるほど。
じっくり待つか、餌を良くするか…よし引け!
お、こ、これは…!
な、ながぐつ?
長靴かよ
なんで長靴なんだよ、えまじで?
ラッキーなうラッキーなう。
じゃあ、ポケモンパン一個と交換で。
条件?結婚??あーもー分かった!分かったから!
するから!すればいいんでしょう、って
なに満たされた顔してんのぶっ殺すぞ

頭からつま先まで、全部つり上げちゃいたくて
心とか身体を湿ったままにしたくなくて
ずっと本当は一緒にいるつもりで
できないから
誰かといるって、誰でもいいから
確認したい欲求とか
私が私であるように本当はずっと祈っててさ。
生きてんのに、歩き出す細胞は理不尽だよ、あれ、祈ってる。
ばっかじゃない
いつからこんなばかだったのかな
前からか、
秋ってムカつくね。

初めて手にした言葉を考えても
初めてを知らない
初めての恋も
初めての部活も
初めての砂場も
ずっと前から夢見ていた
だから大事にしなくてはならないのか
初めて過去を思い出す日常
眺めていた憧れが膨らむ、ふたたび

さりげなく想って、痛みを憶えても
辛くないからね
もう、行こう。

行かなくちゃ。


24時間ピル

  明日花ちゃん

ゴム付けるくらいなら
他の女で習ってね
あいにく今日は雨模様だから
いつもより身体が錆びつくに
渦に埋れた頭なんか胡桃みたいに割っちゃって
中からムシ出て来て欲しいの。
君、単純に迫って
たまに引き裂いて
その後すぐにイくって言うからはふぅ、
ありがとって思った
雨でジメった梅雨でも
爽やかな方法を生み出して
ダメならとことんダメ
貫く瞬間を染み込ませた臭いが
私の鼻を捻じってキャンディにしる
咲いていた文章はさよう
私は分娩台に乗る
ひぃひぃ。行ってらし
君になった気分で
無効にするための声を聞いていた
何がわかるかって
私は書けないんだろ。


アルバイトの女の子が言っていたよ

「キャンディは堪らなく甘い臭いで吐きそうになるから、
もっと世界がキャンディで溢れたらいいね。
いっぱい泣いて、疲れて、洪水が起きてさ、全部無くなるでしょう。
キャンディは誰かを黙らせる為に存在している訳だから、
死にたい人や吐きそうな人は特に必要かもしれない」ってデブが
風呂に沈んで溶けてしまえ。
死にたいならゴムとれよ

キスする前にガム噛んだガムどうする?
包み紙で丸めて形作ったこと、ある?
おにぎりの中身って怖くない?さわるな。
私の文章書く時間返せ。
返せ。返せ。返せ。、返してくれよ。
時間が無い、リアルに。
隣にいる寝相に触れたくない(慢性ストライキ)
シャワー行った方がいい(腫れているバスローブ)
環境破壊、反対。(男性的抗議)
めんどいから行かないで。(中がいいってトモダチ)



あ、でる。



死にたかったの、君


知らなかったよ


花は甚だしい

  明日花ちゃん

  



ざくざくはたけ。
育てられるごみくずはしょせんごみくずしかならないわたし
がになって飛び立ってキットカットされる。花なって
甚だしい、びらびらしない
モザイク、じんせい、は、粉になって、
豚のミンチに混ぜこむ。今日はハンバーグだよ、
と×××。ハンバーグをハジメテ作った人は、おとうとだよ、
と××××になれなかった×××××××××××××××××
が、ままごとをし、ママズラを付けて、とんずらしてた。

めがしらに朝露が溜まる理由は
布団に潜る空白のとき
塗りきれるのかが分からないだけ
一歩を踏み出せば
世界はいくらか変わんじゃないの、という常設された未来が
果てしなく遠い宇宙空間に孤立する
先には誰も帰んないと望んで
酔っぱらった雲が嘔吐している
貯金は霜降りの贅肉へ
冬の調べは濁った母のものへ
はるばると七夕から来た彦星が
クリスマスプレゼントをサンタの代わりに渡すと言って
私に新しいマフラーをくれた

家族全員が冬繕い
冷蔵庫には書きかけの詩が飛散する
仕方なく互いを批評し集合
花盆地にはネコの出汁で
顔を洗おうとする人間が
慰められた煮干しだの、マグロの刺身だのを
落といている
落とちている

今日何食べた、魚だよ、おっきいの、
魚は、花食べて膨らんで、弾けた、毒入りだから、あの人はね

さよならいわなかったの、っていわせなかったあなた
ハネダのクリスマスツリーを挟んで
私を剪定する、剥けて赤みを帯びた
サバの匂いのする眼前に、公然とキスする
殺そうと考えた自転車置き場で
私の肉を差し出せば
事態は変化したのか
どうして誰も教えてくれなかったの

馬鹿には誰にも教えないと、父は言った。




猥褻罪猥褻罪猥褻罪猥褻罪ざらざらとした
つきまとう=虫殺せ
織り姫は浮ついたサンタに恋
はるばると七夕から来た彦星が
クリスマスプレゼントを代わりに貰うと言って
私から殺虫剤奪う
あかぎれた指撫でて欲しいと
撫で下ろす頃に、死ぬのだと。

幸せな項目にスタンプを押し、ラリー続ける、頑張り過ぎて
事態がぶっ飛んでいるのかどうかさえ、分かんない
破壊して消えた場所に転がっている
あなたの
街と
現実に
何も触れられれない
私の現実が
冬を一層際立たせる
ずっと待ってあなたが望まなかった未来
とあなたが望んでいた未来。こびりつくこの
カラダはDAKARA
生まれる前、

キット,kあ

あなたのお母さんでした。

椎茸が食べれない火星人も、

切り刻んだ星しいたけを眺めている星野くんだって、

織り姫にフラれた彦星もいい匂いがする、

花がゴミから生まれたことを、ずっと前から

知っている詩人でした。だのに

星の元に生まれたあなた、見放され、

謙虚に花を咲かせていた。






きれいきれいで、卑屈で、あなた金星から来たんだって、
すぐに分かったよ。だから
品種改良されない
あなたの未来に
これから出掛けようと、思いました
あなたを判別出来ない私は
荷物を少なめにしようと、思いました
歩きやすい服装にしよ、
電話は持ってく、スローターハウス5も。
あと、風呂敷と、手紙。火星人が書いた地図と、
切符がいるよね。


たびさき、粉々になった言葉を
一つずつ焼いて
あなたに似た人に配ると思います。
配れなかったあなたが
叶えられなかった夢を
小さく掘って
火を灯そうと
燃えるマッチをみつめて
煙がかかる
頭に浮かべる
言葉がからくて
一粒でも充分な、ざくざくした、
誰が食べんだろう
誰が食べんだろう
捨てられた弁当がある、

文学極道

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