#目次

最新情報


夢うつつ - 2019年分

選出作品 (投稿日時順 / 全2作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


足の裏に凍りつく春の痛み

  夢うつつ

(自分を嫌うことは最も簡単な自己へのしがみつきだろうか)
 足先の、あなたと世界の境目に私は張り付く。
あなたを私の物にしてしまおうと爪の間に忍び込み、靴下を脱いだ時、そこに夜を作り出す。
不確かなつながりを信じ、絡め合った足をほどいた時、そこに夜を作り出す。

(

(かがみのようなものだ
生きるということは足の裏に凍りつく春の痛み
)何かを踏みつけて形作られた自己の痛み

)

      *ふと、ゆびとゆびのあいだから、
       暖かな花畑が顔をみせた
       それは、じっと耐えながら、
       今も脱出の機会を伺っている。
                   
)
 私は足の裏に凍りつく春の痛み
あなたの柔らかく艶やかな肌を刺して、靴下を履いた時、あなたはあなたでなくなる。
冷まじい秋の体温に惑わされ涙を流し、足を絡め合った時、
 豊かな花畑が溢れ落ちる。

(忘れないで) 私は
      *足の裏に凍りつく春の痛み


背後 には/雪

  夢うつつ

背後 には
愛する誰かを失った人たちの 雪

ひっそり
世界が薄ら寒くなった気がして
私たちが 体温と呼ぶものは
みんな 背後の 雪です

ひっそり
わたしは
誰かを 抱きしめたい
けして 気づかれることなく
誰かに 体温をあたえたい

ひっそり

いつも きみをみていた

わたしが きみから
ひっそり

ぬけだし

うすら さむさを
まっしろな こどくを
とかして

 冬が

 ひっそり

 ちかづいてくる

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.