(自分を嫌うことは最も簡単な自己へのしがみつきだろうか)
足先の、あなたと世界の境目に私は張り付く。
あなたを私の物にしてしまおうと爪の間に忍び込み、靴下を脱いだ時、そこに夜を作り出す。
不確かなつながりを信じ、絡め合った足をほどいた時、そこに夜を作り出す。
(
(かがみのようなものだ
生きるということは足の裏に凍りつく春の痛み
)何かを踏みつけて形作られた自己の痛み
)
*ふと、ゆびとゆびのあいだから、
暖かな花畑が顔をみせた
それは、じっと耐えながら、
今も脱出の機会を伺っている。
)
私は足の裏に凍りつく春の痛み
あなたの柔らかく艶やかな肌を刺して、靴下を履いた時、あなたはあなたでなくなる。
冷まじい秋の体温に惑わされ涙を流し、足を絡め合った時、
豊かな花畑が溢れ落ちる。
(忘れないで) 私は
*足の裏に凍りつく春の痛み
最新情報
夢うつつ - 2019年分
選出作品 (投稿日時順 / 全2作)
- [佳] 足の裏に凍りつく春の痛み (2019-10)
- [優] 背後 には/雪 (2019-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
足の裏に凍りつく春の痛み
夢うつつ
背後 には/雪
夢うつつ
背後 には
愛する誰かを失った人たちの 雪
ひっそり
世界が薄ら寒くなった気がして
私たちが 体温と呼ぶものは
みんな 背後の 雪です
ひっそり
わたしは
誰かを 抱きしめたい
けして 気づかれることなく
誰かに 体温をあたえたい
ひっそり
と
いつも きみをみていた
/
わたしが きみから
ひっそり
と
ぬけだし
うすら さむさを
まっしろな こどくを
とかして
冬が
ひっそり
ちかづいてくる