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泥棒 - 2018年分

選出作品 (投稿日時順 / 全11作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ

  泥棒

ピザって
10回言おうとしたら
8回言ったあたりで
血を吐いた
病院行った方がいいかしら。
肘と膝を間違えて
点と線がつながる
あ、雨だ、
点みたいな雨が線みたいに
ざあざあ
点滴は
ぽつぽつ
退院したら
まるい面になる
今夜こそはピザ食べたい
かっこよく言えば
ピッツァ!
年末年始
鳥は飛ぶよ
どこまでも
渋滞知らずの青い空
Siri
炊飯器が壊れました
Siri
ポエジーって何?
Siri
ピザって10回言って
その後
1回深呼吸して
ピザって永遠に言い続けて
この前
激しいカーチェイスの映画を見たよ
主人公の男が
ラスト
車から降りてきた相手に
信じられないくらい
フルボッコにされてたよ
年末年始
地元の神社で甘酒もらって瞬間移動
大陸で、
枯葉をペンキで塗ったような芸術が
砂浜で、
新しい季節を注文するらしいよ
噂では
鈍い犯罪は鮮やかな生姜の味
siri
意味わかるでしょ?
ひな菊を食べながら
逃亡する無意味が
情緒を語り自分を語り
やがて死ぬ。
すべての意味よ、
てめえが最初に死ねばいいのに
てめえはいつも必ず
最後まで生き残る、残りやがる、
食物連鎖が胃の中で破裂するから
順番も法則も無駄に難解で
誰も解けないまま溶けて消える
他人のさびしさを握り潰して
意味が無意味に犯される頃
言葉のない中庭に咲く空白の花、
咲いてはいけない花、
現代の真ん中に咲きやがる花、
とげとげした見えない花、
siri
意味わからないでしょ?
比喩が比喩に包まれると
語彙が語彙に囲まれて
死んで死んで死にまくる。
斬れないものを
斬って斬って斬りまくる。
こんにちはこんにちはこんにちは、
私は今日から学びます
哲学以外を学びます
入口のない学校へ通います
顔のない先生に
名前のない生徒が私です
ハイ!みなさん
ここでひとつ自慢します
私の得意な楽器はバイオリンです
一度も弾いた事がありませんから
きっと得意です
スカートをめくると
そこにはもう性欲がありません
あるのは殺意です
もしくは新しい季節です
つまり軽蔑された感性です
てめえの言葉が
処女膜を貫通するだなんて思うなよ
こんな午後は情報を遮断して
もう変身できない昆虫に手紙を書く
殺してください
自意識の楽譜を舐めると
演奏が止まります
その前に殺してください
夕焼けが戦車を照らし
環境が死ぬ。色彩が死ぬ。
想像していた街が死ぬ。
冷蔵庫の中にバイオリンを入れて
私は生き返ります
それしか方法を知らないし
魚も肉も腐るだけ
本当の意味で
世界中の詩に包まれたいし
だけど現実にはいつも
世界はだいたい渋滞している
空白という名の渋滞
ハイ!みなさん注目
CG一切なしの現代詩が今ここにあります。
シャラップ!
あるわけねえだろ
あるのは
そう!
立体感のある自意識
カーチェイスのような雑談ですわね
VFX
哲学が肉や魚や野菜と革命を起こし
薬品が売れる仕組み
siri
意味わかるでしょ?
文字が炸裂して点と線が面になる
弦が切れて素晴らしい音色が
大陸に響きわたる
錠剤は透明な味
ピザって10回言った夜に
1回だけ
全員死ねって
つぶやいた人がいるらしい
siri
大陸で、
ピザ食べながら
君の詩をずっと読んでいたい
空白で道に迷いたい
siri
意味がなくなったでしょ?
さようならさようならさようなら、
浮かび上がる情景
テーブルの上にはピザ
地球の未来は球体のピザのようになるとかならないとか
噂が渋滞している
フリーズ!
さあラスト二行だよっ!
現代人のみなさん
退院おめでとうございます


ビール瓶と比喩とゾンビ

  泥棒

「今からビール瓶で殴りに行きます。」



好きだから
君のことが好きだから
今からビール瓶で殴りに行きます。
愛の雨が
どしゃ降りの午後に
傘もささずに
思いきり殴りに行きます。
ゴッ!
君は気絶するだろう
頭から鮮やかな血を吹き出すだろう
それでいい
何も間違えてはいない
君は横になって
読みはじめたら止まらない
私の詩を
血が流れるように読んでくれたら
それでいい
ひとつの恋が終わる
ガッシャーン!
ビール瓶の破片は
恋模様のように散らばるかしら
嘘が反射して真実になる時間
ひとりよがりの夕方五時
愛してます


「わけのわからない比喩」



雨が降ったって槍が降ったって
カレンダーはいつも同じだろうね
火曜日みたいな月曜日があったって
やることは同じなら
なんだか変な感じ
右にいる人も左にいる人も
同じような顔している
そか、
そもそも君に届けたいものが
僕にはないのかもしれないね
それでも
暗い空に浮かべたいものが
わけのわからない比喩では
君に悪いなって思うんだ
言葉なんて信じないように信じてほしい
形あるものは必ず何かに似ているって
それなら言葉だって思想だって
同じだろうね
どこかの街で
すれ違うように出会いたい
君と僕しかいない世界
悲しい予感しかしない世界
そこで
偶然みたいに
右でも左でも真ん中でもいい
春に咲く花を見つけなきゃ


「あなたがゾンビになっても」



死んでしまいたいなんて
あなたは
たまにつぶやくけれど
雨の日に
予定が変わって
おいしいコーヒーを淹れてくれる
/
春に咲く花になりたいと
ガード下の草が
みんなにうたっているようね
意味なんてないのに
誰にも届かないうたなんて
存在しないらしいわ
//
私は超高層ビルの向こう
焼けおちる夕陽に噛み殺されて
ゾンビにでもなりたい気分
///
好きな人も
知らない人も
みんな
驚かせながら
噛み殺したい気分だよ
////
楽しかった思い出が
川のように流れていく
悲しみは
流れないまま
ずっと胸の中にあるから
私には
共感というものが
ひどく汚れてみえるのです
/////
私のためだけに書かれた詩など
存在しないから
他人を他人のまま
好きになれるんだよ
あなたがゾンビになっても
たぶん大丈夫
//////
血を吐きながら笑っている
あなたの笑顔が
今日よりも
圧倒的に
明日の空を青くする


人格攻撃の詩。

  泥棒




あなたの胸の中を歩いたら
そこは春の木漏れ日
悲しい人影もなく
血管を泳ぐ比喩たち
夜の海のよう
誰もいない心臓
にぎやかな廃墟でうたう小鳥たち
を連れ去る
意味ありげな
改行
本当の意味は
胸の奥へ流れる川
その川は深く、
傷は浅い、

低空飛行する詩句はありふれた散文となり
やがて雨が降る
攻撃的な風は枯れ葉と遊び
灰の庭をつくり出すのでしょう
嫌われて輝く
あなたの心臓を止めるために
そのためだけに
誰よりも
あなたを軽蔑しなければならない
そんな夜もあるとして
歩く、
歩けば、
丘の上には
鎖骨のような枝
折る、
折れば、
あたり前のように花が咲き
明日の予報では
雪が降る
優しいあなたが
胸を痛める夜
そばにいたいのです。

わたしは
悲しいと叫ぶ人など見たことがない
死にたいとつぶやく人なら
毎日いるよ
灰の中で
みんなもっと汚れたらいいのにね

お元気ですか
今も
あなたより好きな人なんて
私にはいません


鉄拳制裁の詩。

  泥棒


雨が、釘になったら、痛い。
釘が、雨になったら、怖い。

詩が、張り付けられた、未来で、
君は、何も読まないで、表現を、
空に、浮かべもしない、夕方に、

悲しい、こだまかな、いいえ、遮断機の音。
楽しい、あおいかな、とばり、飛躍の途中。

まるで、夜景のような、文章で、
あえて、早朝のような、比喩を、

無駄に長文で、

その散弾銃は、おもちゃだから、平気です。
この散弾銃は、おもちゃだけど、死にます。


言葉より、遅い、映像が、流れる、川で、
溺れなよ、丸い、太陽を、眺めて、心が、
丸くなり、風は、歴史と、数学で、果て、
気持ちは、悪く、思想も、最悪で、頭も、
共感なら、外で、演奏し、鼓膜を、破れ、

殺伐とした、中にも、ユーモアが、ひとつ。
ありふれた、テンポ、アイデアは、ななつ。

実は、たいしたこと、書いてないような、
無駄、ばかりの展開、それが逆に効いて、
いる、わけもなくて、黄昏てしまう犬と、
棒に、ぶつかりつつ、歩く東京郊外の道、
遠く、超高層ビルに、激突した飛行機の、
破片、言葉にすれば、あざとい芸術の闇、
今も、形式に合わせ、答えを探す批評家、
雨は、叙情的になり、深い霧で猫が消え、
女は、パンケーキの、甘い香りにやられ、
男は、本棚から一冊、詩集を取り出して、
皆に、珈琲と菓子と、リズムを届けつつ、
戦慄、のような旋律、のような雨降らす、

少年は、大志を抱き、少女を見る。

少女は、現実と夢を、同時に見る。

言葉が、言葉に遊ばれ、れ、

言、葉、派閥を、派、罰を争う。

フォルムが、崩れ、はじめ、射精の、
タイミングは、ずれ、、れ、れ、はずれ、
レタスを、頭に、乗せ、その場を、しのぎ、
笑わせるつもり、が、笑われ、て、
彼女は、さよなら、を、言い残し
言い逃れの、きかない、状況で、凍りつく、
生ぬるい、夏、の、花は、椿、ではなく、
ガラスのような、もしくは、は、
海月のような、花。


と、ところで、あなた、
読書で、射精、したこと、ありますか、

違う意味で、

おお、おるがずむ、

真夏、目、漱石が、お坊っちゃん、お、お嬢、
ちゃん、親戚、戚の、おっちゃんに、
猫の名前を、勝手に決められ、た、
バッファロー!
と、名付けられ、た、か、かわいい猫よ、
手品を、見せてあげよう、
春の、はじまりに。
ほら、、ら、コインが消え、た。

中也が、中原で、髪金の、ギャルと、
あんなこと、や、こんなこと、した、らしい、
汚れちまったり、うっかり、
くだらない、韻、
み、みんな、ごめん。ん。んん。


床屋で、(モヒカンに、して、ください、と、
言った、のに、
なぜか、逆モヒカンにされ、て、
落武者みたい、に、なって、しまった、た。
これじゃ、女の子にモテない、と、
思ったのだ、けれど、
普通の、モヒカンに、して、いたら、
モテていた、のか、と、そう問われれば
答え、は、ノー、
、、。涙
帽子、が、ないから、ヘルメット、を、かぶり
ヘッドスピンで、世界一周、。

無駄に長文で、、、。

み、みなさん、この、詩は、長いです。

猫が、裸になるまで、野球拳をする、
みたいな、感じで、

無駄に長文ですから、ここで、
まだ、半分くらい、です。

しか、も、読みにくい、

にくい、まま、まだ続きます、よ。

道端の芸術
速攻で回収
右脳に栄養
暗闇の文学
孤独な毒書
草原へ移動
逆光と逆説
心臓を創作
反感の売買
脈打つ数字
金属の性質
耳潰す静寂
派手な礼服
前菜と若鮎
言葉を実食
男子は紺色
女子は水色
恋人は灰色
週一で透明
月末は温泉
理屈の敗北
海辺へ一歩
傷口が熟成
無料の珍味
名物の饅頭
六個か七個
欲張り詩人
満腹で嘔吐
店先で失笑
罰金で黄昏
孤高の布石
理解は墜落
昭和の感性
平成で炎上
陽気な壁画
懺悔と拘束
胡蝶の波乱
精密な老化
腰鼓で招魂
百年と十年
突拍な引用
左脳で誤解
批評を削除
戦争の歴史
広島の夕方
八月の機械
上空の鉛色
舌上の青空
口笛で射殺

ごらんよ、
崩れ落ちた屋根の上に極彩色の日常を
言葉より速く飛ぶ鉄の冷たさを
世界を次々に引き算してゆく過程を
優しい茜色が出番を見失う姿を

も、もはや、最後まで、読む人は、いない。

いない、のに、まだ続く、鉄拳制裁、
の、ような、苦痛、の、ような、読書、
みなさんの、おかげで、

語彙が全滅や、
共感の砂嵐や、

全文を表示。

若葉が砂になるまで待つ季語
矢印と地雷ばかりの地図
365日うねり続ける言葉と髪
ケーブルに絡まり千切れた運命の糸
私のレントゲンに写る現代詩の影
精神が崩壊して的中させる針の先
カテーテルで注入する言葉の渦
ベッドの上から天井に撒き散らす星
夜空しか飛ばない鳥の羽根
目の前の過去を飲み干し美化
題名のない散文に対する批評と見栄
歩いても飛行機でも縮まらない距離
印象のない爪先につける流行の色
携帯から発信する約400の嘘
魔法が使えた5才の夏
使えなくなった7才の冬
未来の屋根が剥がれ落ちる町
鎖骨が折れて極彩色に輝く未詩
別々に動く身体と心と指
景色をひっくり返す水死体
君の詩を左脳以外で理解したい
コンビニ前で不意に出くわす闇
すべり台の上から見える鬼
匂いつき消しゴムをくれた君
机の上に白紙の辞書
遠くから聞こえてくる野球部のかけ声
黒板に三角定規を擦り付け奏でる音楽
舌の上では完成と未完成は同じ味
(
嘆きの風に耳を切られ独白
こだまする盗作された口笛
心を五七五と切り分ける音律
一日中検索しても見つからない本音
窓の向こうで名前を浮き彫りにする黒煙
地下に埋まっている言葉の裏の歴史
感情移入できないオモチャの刃物
美しい草原に散らばる鉄の破片
それが錆びて紅茶になる夕方
懐中電灯で照らす3月の後半
罪と罰が逆になる瞬間


暴言を吐いて炎上させる奴の髪型について、

  泥棒


うん、
思うんだよね、
暴言を吐いてさ、
やたら炎上させる奴の髪型って、
だいたい変な気がするって。

いや、
根拠なんてないよ、
もちろん証拠もね、
ま、
しいて言うなら
頭ん中が爆発しちゃってるわけだから
髪型も
ま、
それなりに変だろうなって。

暴言を吐いて、
やたら炎上させる奴は
江戸時代にも
きっといただろうね、
頭ん中がアフロで、
斬って斬られて
江戸の町を走っていたんだろうね、
ま、
ネットがなくても
同じだよ、
てか、
紙のほうがよく燃える
なんてね、
おっと、
落語みたいなこと言っちゃった。
ソーリー

あれ、
あれれ、
地球って本当にまわっているのかな
フランス人の友達に
ドラゴンボールの孫悟空の髪型は
爆発してるのか
って、
そう聞かれたことがあるんだけど
その時、
なんて答えたか
もう思いだせないな
つい先週の話しなのに
ね、
なんだか眠くなってきたな。


















あ、









あれ、











君に言いたいことなんて
絶対に
ひとつもないはずなのに









、あ






あれれ、












なんだか
あったような気がするのは
なんでかな、












君、
ひどく寂しい夜に
君の孤独が
誰かに笑われていないように
僕は願うよ
君の頬を撫でるのが
春の風ではなく
誰かが投げて爆破した
あのレモンのように
文学と共に
砕け散ればいいのにね
君の孤独は
今夜も君だけのものだ
誰にもわかりはしないよ
それって、
最高に
すてきなことだと思うんだよね。














あ、







久しぶりに髪でもきろうかな








春だし、ね。














)あ、朝だ、







(おやすみ


一条二条三条四条五条六条七条八条九条十条

  泥棒




一条



ワンワン吠えている
ツーツーとは吠えない
やたらかわいい犬が
猫を背に乗せ
歩いている。
あ、
なるほどね、
休め、メロス
走れ、キリギリス
読書を終え
君は走り出すだろう
本に囲まれた
その部屋から走り出すだろう
犬は休憩中だろう
にゃあ。



二条



薬を2錠のんだよ
意味と無意味の薬だよ
黄色と青
で、
赤はない
立ち止まれない街で
君は
音楽のように
日記をつけている
誰もいない料理屋で
運ばれるのは
運命



三条



三丁目の八百屋の前で
殴る蹴る
ドカッ。
バキッ。
ゲホッ。
詩人を大根で殴り倒し
キャベツをバリバリ食べ
陽が沈む、
むむ、
嫌われたっていいじゃない
天才だもの
野菜が嫌いだっていいじゃない
ライオンだもの
何も知らなくたっていいじゃない
賢者だもの
くだもの好きなんだもの
くだらない
あまりにくだらないこと
魔が差して
つい書いてしまった
反省!
痛す痛す(いたすいたす
もう寝よう
眠す眠す(ねむすねむす
星の夜
寒す寒す(さむすさむす



四条



夕方四時
ホームセンターへ行って
電動ドリルを買って
頭に穴を開けて
街の流れを見ていたよ
痛くて
とても痛くて
頭蓋骨が砕ける音は
激しい音楽のようではなく
逆に静かでした
血が止まらないから
帰りに薬局へ行って
包帯と痛み止めの薬を買って
コンビニへも寄って
ビールとお菓子を買って
今夜
たまには詩でも書いて
寝ます
おやすみなさい



五条



これで
五回目だが
もう一度言う
君はクズである
それは紛れもない事実である
さらにはクソでもある
そんなクズでありクソでもある君が
花を咲かせるなら
その瞬間に
私はそばにいたい
その花の名前を知りたい
君のこと
もっと知りたいんだ



六条



ガラス箱の中みたいな街で
彼と出会った。
地下鉄で
恋人たちは見つめ合う
かのように
出口を探している
正しいね、
終わりのない恋愛なんて
あるのかしら。
私が少女だった頃
親戚のお兄ちゃんが
スカートの中に顔を入れて
こちょこちょして
ふざけながら笑っていたけど
殺してやろうかと思ったな。
お祭りで
親戚みんなが集まって
お酒をのんで
わいわいしていたから
誰も気にしていなかったけれど
あれ、
今にして思うと大問題じゃん。
地下鉄でひとり
うたた寝していたら
思い出したんだ。
あ、
あれ、
違うな、
親戚のお兄ちゃんじゃなくて
自分だったな、
自分で自分のスカートの中に入ったのね。
どゆこと?
夢って脈略ないのね、
お兄ちゃん
ごめん。
池袋駅西口交番から
彼の家までダッシュで六分
うりゃっ、
ガラスを割るみたいに
ページをめくる
詩集は
そうやって読む
それが鉄則。
彼は
ベランダで
指の骨を
ポキポキッと鳴らしていた。



七条



戦場で、
朝食をすませ
創造は、
他人にまかせ
肝臓は、
春をむかえる。

酒豪、あるいは、貧弱の胸、
やや深めのノスタルジーが貴様を襲い
クリスマスが七月にやってくる
それは病という意味で
創造は、やはり、他人にはまかせられない。
そう、貴様は大声で、つぶやく、だろう、

共感、もしくは、破壊活動、
同時進行で始まる
今季マストな誤字脱字を鮮やかにちりばめ
終わりのない物語を
強引に終わらせるのが私の仕事である。

(やあ、諸君、

ピエル·パオロ·パゾリーニ監督の作品を
ひとつでも見たことがあるか
大島が渚で
映画を批判している
貴様のさびしさ
あふれかえる、夕闇、
静かな森で、もしくは、アスファルトの上で、
胸に、個室をつくり、上映する
監督のいない映画のような
物語、
夏の陽射しが
冬の街に
間違えて、降り注ぐ、物語。
できるだけ、はやく、終わらせてやる。

余韻の、ない、世界に、
咲いた、花の、名前は、
強すぎて、誰もが、目を閉じる、
赤い花を
まるで、青い花を見るような目で、眺め、
終わらせなければ、ならない、
私の仕事は、今日も、
誰もいない風景に、
気配だけを
きれいに、もしくは、雑に、並べ
鳥や、猫や、虫に、
主役をまかせ
人間は、皆、エキストラ
助監督は、ラブラドールレトリバー



八条



昼下がり
タバコを買いに行く
マンションの前
大通り
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
遊歩道
工事中で
ぐるっと
遠回りしないとコンビニへ行けない
タバコを買うのに
8分かかる
スニーカーはナイキ



九条



憲法九条を守ろうぜ!
そう叫ぶ隣人が
現代詩における隠喩を全否定した夜に
超高層ビルの向こうから
ゆっくり叙情が浮かぶ
共感する者は
みんな渋滞にまきこまれる、
朝が近い



十条



批判の雨が降っている
ビニール傘の下で
君は朗読をはじめる
僕は犬の散歩へ行かねばならない
犬とおそろいのレインコートを着て
さらば芸術
海まで10km
近いような遠いような、


深い意味はないけれど、、、、、、、、、、。

  泥棒




ビルが崩れ落ち
山肌に
ルビが咲いたよ

僕ら
揺れながら
ゆっくり深呼吸をして
眺める

個性なんて
一瞬で流されて
みんな同じように
いつか死ぬ

この街に
深い意味なんて
きっと
ないのだろうけれども
何か残さなきゃ

強迫観念の雨
が降る夜
人を好きになるって
地獄だね

浅い川のほとりに咲くのは
優しい花ばかりではない
君が教えてくれた
あの花で
いつか見送る

真夏なのに
かじかんだ指で

説明より飛躍を選んだ女の子がいる
正しさより美しさを優先した男の子がいる
花を踏み潰したあいつらも
みんな消えたよ

見知らぬ街で
他人と他人として
すれ違い
すべて忘れたふりをして

たまに
僕のこと思い出して
笑ってくれたら
それでいい


友達の友達の友達の友達の友達の友達の友達

  泥棒


手首を切っている
陽のあたる坂道で
暗い場所を探しながら

街路樹には今日も鳥がいない
枝葉の方角
暗くなったら幽霊がいる

友達がキオスクで
不意に
死にたいって言った午後

レモンがあればいいのに
レモンがないから
リンゴジュースを買う

電車が運ぶのは液晶
もしくは比喩
思い出は交差してみんなを連れ去る

好きな色は青なのに
街に思想が激突して出血
全身の骨が砕けた誰かがいる気がする

優しさで友達を傷つける夕陽が冷たい
超高層ビルの上
やけに大きな鳥を見ました

枝を切っている
来年咲く花の新しい名前を考えたよ
友達の友達を探しながら


DVDVDVDVDVDVDVDVDVDVDVDVD

  泥棒


V
午後
ビルの窓に死体が映って
みんな立ったまま死んでいるの
V
映画みたいに
空を飛んでいる奴らも
もうじき死ぬのかな
V
夕暮れに出勤して
鏡の前に立つ
そして座る
V
泡を見て
きれいだねって
誰かが言っていた気がするな
V
この部屋に
きれいなものなんてひとつもないのに
だってほら窓もないよ
V
シェイクスピアも
ドストエフスキーも
チェーホフも最後まで読んだことはありません
V
読破して独白
みんな知っているのかな
読書の秋なんてないんだよ
V
帰宅
深夜のコンビニでプリンを買う
誰も死んでいない
V
ベランダに立つ
夜景よりきれいな伏線
最後まで見たい気もするな
V
暴力は
映画の中で美化され一時停止
やがて芸術になるなんて本当か
V
もう一度ベランダに立つ
取り出したディスクで
小さな朝焼けが超高層ビルに反射
V
時間と共感を殴り倒し
すべての気配を消したら
最後にはきっと優しくなれるよ
V
涼しい夜は誰も死なない
秘密の戦争へ行く
そこで誉め殺しの雨が降ればいい
V
おはようございます
おやすみなさい
死体のように眠るのさ


ローディング........


黒い百合

  泥棒












さみだれに、みんな殺してしまった















六月















七月















八月















ひ、















ひこうき雲、















ゆっくり
鎖骨に刺さるのは
秋晴れ
刺さらないのは
叙情
ちいさな公園で
長袖、着て、ぽつん。

姉妹のように咲いている
百合を見ていたら
他人の孤独が
直射日光で
すべて嘘に感じる
そんな、午後に、おおきな犬と、あそぶ。

この街を
いただいては
夕方の地面に対しての
答えを知る
それは
上空で
風に乗るピアノ
ぬるい竜巻で
揺れる
百合
リズム狂って
気分は、もう、透明、人間で、そっと、うかぶ。

この街で
雲にしか見えない雲を見つける
それが生きがい
ならば
電線に音符を見つけたら
そこで死ぬ
それが正解なのか
あらゆる比喩を潰し
後は、なるべく、冷たい、水を、のむ。

胸元のあいたセーター
夜になったら
白い百合に
黒い名前をあげる
それから
誰の孤独を倍にしようか
鎖骨よ
砕け散れ
優しい時間に
ほら、退屈が、ひかって、ひろがる。


.

  泥棒




電車の中で本を読んでいた
次から次へと人が死んでゆく物語

恋人は僕の隣で眠っている
本の中ではもうほとんど誰も生きていない

海へ行くつもりはないけれど
この電車はきっと海へ行くのだろう

夕暮れが優しく恋人を照らす
髪が茶色くきれいにひかる

最後のページを読む前に本を閉じた
僕も目を閉じてすこし眠る












































.



















































そろそろ海へ着くだろうか
もしかしたら
恋人はもう死んでいるのかもしれない


僕はどうだろう
このままずっと
海に着かなければいいと思う

文学極道

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