#目次

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泥棒 - 2016年分

選出作品 (投稿日時順 / 全21作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


未、未成年の詩

  泥棒




あなたが
手のひらに海をつくる
わたしは
迷わず魚になる
夕方からは
豪雨になるから
花々は
その前に閉じてゆく
わ、わたしは
それを
ゆっくり
こじ開けてゆく
その時のわたしは
魚ではない
きっと
夜の街で
死にかけている
17才



部活帰りの少女たち
コンビニ前は
春の極景
夕方5時から6時までの
巨大な比喩に
誰も気がつかないまま
次々と
ペットボトルは潰されて
誰も主役ではないまま
信号機だけが
規則正しい
ギブスをしたひとりの少女が
ひっそりと
主役になる夕方の終わり
自転車の電気が
揺れながら
消えてゆく先に
それぞれの
物語があるから
そこで
みんな主役になる
ギブスの少女だけが
ここで
このコンビニ前で
朝をむかえる
今日は
ギ、ギブスの少女だけが
17才



死ね、
その言葉だけでつくられた
高層ビルがある
この街は
見上げた場所に
赤い光が
たくさんある
星は
自分でつくらなければならない
それを
集合住宅のように
夜空の
あらゆるところに
できるだけ集め
星座をつくれ
き、きみだけの星座をつくれ
大人になったら
もう
二度とはつくれないよ
まして
詩なんか
いつか書けなくなるかもよ
17才



街が斜めに見えるなら
君は
できるだけはやく
飛べるようになった方がいい
それ以外は
何もできなくていいし
何も知らなくていいし
世界とか
関係ないし
鳥は
青空に
青空そのものになりたくて
でもなれなくて
花になったと
仕方なく花になったと
風のうわさで聞きました
海が
どこにもない
陸も
ひとつもない地図を見て
何か書かなければならない
き、きれいな何かを
書かなければならない
そんな日が
いつかくるよ
17才


君が、挫折してから、死ぬまで、

  泥棒

ビルが、高いのは、
飛びおりたときに
確実に死ねるためではなくて
夕暮れを前に
君が何もできないクズであること
それを
ちゃんと思い知るためだよ

君が、挫折してから死ぬまで、
そのスピードは
日が暮れるよりはやく
ビルが崩壊するよりおそく
ユーチューブで
何回も再生されている

さあ、逃げなよ、
どんどん加速しなよ
ここには
何もないんだ
平凡を海水に浮かべるために
君は
東京を離れた
ありあまる才能を砂浜に埋めて
いつもひとりで
暗い考えが
その暗い考えだけが
悩んだら
悩んだ分だけ
それが
芸術になると
ずっと信じて
どこまでも逃げなよ

海が、広いのは、
圧倒的な実力の差で
君が負けた時
世界をみせつけるため
そのために広い

いつか、君の咲かせた花が、
いっせいに
すべて枯れる日がくる
叩きつけた言葉が
はね返り
君の首に突き刺さるだろう
勘違いしてはいけない
それは痛みではない
きれいな首飾りにして
君は
何度でも挫折して
何万回でも死んでいい


君、


君は正しい

その正しさで

君には死んでほしい

君が間違っていてくれたら

そう願った夜が

何回もある

僕は

君が好きです

君は芸術です

それだけは譲れない

君が挫折してから死ぬまで

君は芸術だから

その正しさで

そのまま必ず死んでください

海が

うたっている

そんな気がした夜も

数えきれない

君が挫折してから死ぬまで

僕が

君の死を何万回でも描く

あきる事など

ありはしない

東京で

君が死ぬ

それは

今夜かもしれない

ほら

ビルが

いつもより高い


大きな大きな悪い悪い花

  泥棒



祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が小学生の頃、本当に本当に、その花が怖くて怖くて仕方なくて、本当は本当は祖母の家には行きたくなかったのだけれども母に連れられて週に三回くらいは行っていました。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が中学生になって、サッカー部に入って毎日毎日部活で部活で土日はほとんど試合で試合で、祖母の家に行くことは年に三回くらいになりましたが、悪い花は年々、見れば見るほど大きく大きくなっていったのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕は高校生になった春に、ひとりで、電車で、祖母の家に遊びに行って、その花の、やや青い花びらを数えてみたら、数え切れなくて、しかも突風が吹いて、大きな大きな悪い悪い花は、その優しい優しい香りを街へばらまいたのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
それは祖母が死んでからも咲き続けている。それに比べ僕は、今でもたったひとつの花さえ咲かせることができないのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
いつか僕にも詩を書く日がきたら、僕には僕のやり方で、毎日毎日水をやって、それを最初の一行にして、僕の花を咲かせてやるのです。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、


10

祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
僕が死んだら、祖母の家の、この庭に、僕を埋めてほしい。そう願うのです。あなたなら、きっと、花びらを数えられる。いつか、花束にして、あなたの好きな人に届けてください。




祖母の家には大きな大きな悪い悪い花が咲いてあって、
100年以上前から毎日毎日その上を透明な電車が走っている。花は潰れることも枯れることもなく咲き続けている。その窓から見える景色が僕にはわからない。けれども、その窓に射し込む光が、最後の最後の一行になればいいと思うのです。もちろん、あなたの。


毒を編む

  泥棒


先生、
私の胸を見てください
毒があります
くるしいのです
先生、
よく見てください
毎日くるしいのです

先生、
先生はいつも
あなたの胸には何もないですよと
優しく言うけれど
私の胸には
毒があります

先生、
みんなが
私の言葉を
きたないと言います
私の胸に
毒があるからです

毒を、ぬいてください。

きれいな花を
しずかに切り取った
きれいな詩さえ
私には
きたなく見えてしまうのです

毒を、ぬいてください

先生、
私には限界があります
それを
数字に表すこともできます
だから急いで

毒を、ぬいてください

先生、
骨が砕ける音がします
あばら骨が
私のあばら骨が砕ける音がします
先生、
きこえますか

毒を、ぬいてください

先生、
ぬいた毒で
それを縫いつけて
空洞になった私は
新しい詩を書きたいのです
それは決して
悲しいものではありません

先生、
私の言葉は
今日もまだ
きたないですか
暗いですか
私の胸を見てください
砕けた骨が
暗い未来に突き刺さる前に
お願いします

毒を、ぬいてください


傑作と盗作と迷作と優作

  泥棒




「林檎病」

休みの日
電車に乗って
小川へ行く
小鳥が
花や
枝の先や
緑の茂みから
顔を出す
雲を眺めるって
こういうことね、
ね。
君が死んだら
できるだけ
夜の街から遠く離れて
僕は泣くでしょう
君が死んだ日に
悲しい詩なんて
僕は絶対に書かないよ
星座を見つけるって
こういうことね、
ね。
いつも
ポケットに
林檎ひとつ持っていた君
いつも
(憂鬱だ憂鬱だ
って言っていた君
軽々と
空を飛んでみせた君
静かに笑う君
頭のいい君
不眠症だった君
傑作を書いた気になっていた君
魔法が使えた君
知らぬ間に自爆していた君
いろんな君を
僕は知っています
今夜こそは
君に
僕の詩をよんでもらいたい
本当に
本当は
君のことが
好きなんです



「プレミアム殺人鬼」

お疲れ様です、殺人鬼です。
調子はどうですか?殺人鬼です。
ドラマ初出演の、殺人鬼です。
パティシエ役の、殺人鬼です。
セリフなら頭に入っています、殺人鬼です。
クリーミーな、殺人鬼です。
こんにちは、殺人鬼です。
ご無沙汰しております、殺人鬼です。
サラサラヘアーの、殺人鬼です。
生ビールいただきます、殺人鬼です。
いいお天気ですね、殺人鬼です。
お世話になりました、殺人鬼です。
お食事中にすいません、殺人鬼です。
チーズが入った、殺人鬼です。
たこ焼き大好き、浪速の殺人鬼です。
家族全員、殺人鬼です。
女子力高い、殺人鬼です。
パクりパクられ、殺人鬼です。
崖の上の、殺人鬼です。
ウクレレ弾けます、殺人鬼です。
肩でもモミましょうか?殺人鬼です。
殺人鬼専門学校殺人科の、殺人鬼です。
次期大統領候補の、殺人鬼です。
どこでも明るい、殺人鬼です。
誠心誠意がんばります、殺人鬼です。
トンネルを抜けると、殺人鬼です。
ダイエット中の、殺人鬼です。
のび太とゆかいな、殺人鬼です。
縦5メートル横3メートルの、殺人鬼です。
シャレの通じない、殺人鬼です。
美容室で働いていました、殺人鬼です。
趣味でイラストやってます、殺人鬼です。
だいたいいつも、殺人鬼です。
なんとなく、殺人鬼です。
地球に優しい、殺人鬼です。
限りなく透明に近い、殺人鬼です。
耳をすませば、殺人鬼です。
酷評お待ちしております、殺人鬼です。
いらっしゃいませ、殺人鬼です。
この度は申し訳ありませんでした、殺人鬼です。
他の殺人鬼と一緒にしないでください、プレミアム殺人鬼です。



「全世界の終わり」

君の世界も
僕の世界も
そして、
いわゆる世界も
そう
いよいよ
全世界の終わりです
芸術が
世界を救うって
誰か言ってたよね
あれ
嘘だったのかしら、
詩なんて書いたら大変だ
誰かに読まれたりしたら大変だ
とてもとても大変だ
ほら、
どっかのアホが
新しい世界で
僕の痛みを
嬉々として読み上げている、



「ブラックレイン」

スズメがチュンチュン
素晴らしい朝
目が覚めて
鏡を見ると
僕は松田優作になっていた
ビビったけど
ビビっている暇はない
今日は
朝からバイトの日なのだ
遅刻したら
店長に怒られるのだ
てか、
(次、遅刻したらクビだからな。
って、
言われてるし
スズメがチュンチュン
やかましいわ!
てか、
玄関開けてら
あら、
どゆこと?
みんな松田優作じゃん
学生も
会社員も
散歩中の犬も
あら、
スズメも
いつの間にか
松田優作じゃん
てか、
自転車がバイクになってるじゃん
ラッキー!
これなら間に合うよ
道行く人々
みんな松田優作
あら、
もしかしたら
これ夢かな
てか、
雨降ってきたよ
てか、
夢の中でも
雨って降るのね
しかも黒い雨じゃん
いいね、
黒い雨
なんか暗喩っぽくて
いいね、
傑作を書いた気になるよ
うん。
でもさ、
そんなのは
いつだって気のせいで
あっ!
という間に
黒い雨が止み
あっ!
という間に
バイト先に到着
で、
晴れわたるコンビニ上空
店長は
店長だけは
大きな鳥になって
青空を
ゆっくり飛んでいる
ああ、
やっぱこれ夢だわ
遅刻だわ
完全にクビだわ


最悪の詩

  泥棒



a

夕方
伝えたい言葉が
次々と
君を
君たちを
奏でるように傷つけてしまう
不協和音は
夕方の空と同じ速度で
自分に似ていると
君は
君たちは言うのか
ほら
見上げたら
見上げた分だけ空がある
それは
ありがたいことなのか
本当なのか
消えそうな月よ
もしくは
消えそうな月のような少女よ
君を
君たちを傷つけるために
私は存在する


a

星より輝く錠剤で
何を深めるのか
それは闇か
少女よ
私は
誰かを励ますような詩だけは
死んでも書けない
自分の言葉なんていらない
絶対に
この世界にひとつしかない
お前の詩が
最悪
そう言ってくれ
新しい場所へ
道連れにしてあげるから
1秒で過去になる言葉
未来とは1秒後の
君の
君たちの言葉だ
私の知っている暴力では
もはや
君たちを傷つけることが
できない
本当に
それは申し訳ないと思う


a

少女よ
君たちの詩集は花のように美しい
美しいから
いつか枯れるのだ
その日がきたら
私は
君たちを傷つけるために
花束を贈ろう
枯れる日が
君たちの本当の誕生日だ
それを
最悪と言って
星のように
ばら撒いてほしい
見上げたら
見上げた分だけ作り物がある
あるのに
標識も痛みもない
暗い道で
君たちは共感に殺されるのだろう


a

詩なんて書いている奴
みんな死ねって
どうして
そんなこと思っていたのか
罰がほしい
ギザギザした花の首飾りは
私を絞め殺すのにちょうどいいのです
少女よ
君たちの詩が
ギザギザした花であるなら
何回でも
私は読むだろう
夕方
何にも似ていない月が
消える
無傷のまま
逃げるように消えるなら
私は
それをつかまえて
1秒後
必ず君たちに伝えよう
少女よ
君たちの傷は
どんな花より美しい


あの街この街その街

  泥棒



「強い風の歌を聴け」


去年の春頃かな
絶望www
君が
そうツイートしてから
僕は
もう一年近く
絶望をストーキングしている
液晶画面に映る文字だけでは
本当の君を知ることができないけれど
僕は本当の君より
やっぱり
本当の絶望を知りたい
絶望www
そこに芸術があるだなんて
そんな考えは持っていないけれど
絶望www
僕は
もしかしたら
絶望より
www
こっちの方が気になっているのかもしれないね
絶望www
ほら、
東京郊外
その上空
wwwに見えなくもない雲が
いや
鳥が、一羽、いる、いた。
戦闘機もミサイルも見えない
鳥が撃ち落とされて
ワイファイが飛んでいる
僕は
誰のフォロワーでもない
絶望www
手軽なショートムービー
僕の詩では
伝わらない情景
いかにもな夕暮れを激写
絶望www
青い黒歴史
もしくは
黒い青歴史
(な、なんて、かわいい街なんだ、
殺伐とした郊外
それでも
だって
君がいるんだぜっ!
行けば
風に吹かれて
強い風に吹かれて
めっさ強い風に吹かれて
あっけなく
僕は泣いてしまうだろう
あの街はかわいい
君がいる
そう思うだけで
あの街はかわいいのです
君が好きすぎて
行くと死にたくなる
それが、あの街なんです。


「ミスター不謹慎」


にぎやかな街
ここで
俺はみんなから
あ、
みんなっつっても
ま、
3人か4人くらいだけど
みんなから
ミスター不謹慎って
そう呼ばれてるんだよね
そ、
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
無駄に吠えて
そ、
月には吠えない
で、
海が汚れた春も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
ビルが崩れた夏も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
入院した秋も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
もちろん何かあった気がする冬も
詩なんか書いてる場合じゃないっつって
いつも
お前は逆に不謹慎だと
そう言われながら
生きてきたんだよね
そ、
不謹慎か
不謹慎じゃないかで言ったら
そりゃもう不謹慎
めっさ不謹慎
そ、
だから俺の出番
ね、
芸術は
そもそも不謹慎なものだって
フランスかどっかの哲学者が言ってたじゃないの
え、
知らない?
日本にもいたよね
小説家だっけ
そ、
芸術は弱い者の味方だとかなんとか
そ、
祈るばかり
そ、
役に立つ詩なんか
それ、
もはや詩じゃないよっつって
そんな
ミスター不謹慎な俺が
生まれ育ったのが、
にぎやかな街
そ、
つまり
この街である。


「水槽より浅く海より深く」


比喩禁止令が電線に止まっていた鳥やロータリーにいた人々に発令されたのは夜だった。鳥は消え去り人々は言葉を失い最終電車の窓に映る生きている者は皆、電車から降りられなくなった。そして、その街に限らず、どの街もいずれ編集されるだろう。朝がくる前に様々な出来事が形となり伝えられるだろう。水槽よりも、はるかに深い闇。その表面で静かに折れる光。風はいつものように孤独を奏でながら吹き抜ける。誰のためかは、わからない。街よ、どこが痛む。海は泣いているのか。祈ることしかできない。あの街この街その街。むきだしの街。それが海にかこまれている一夜明けた、その街の姿である。


早漏とか爆弾とか距離とか友達とか時間とか

  泥棒

(早漏のお客さんはありがたいね
って、
マリちゃん
ニコニコしながら喋る
待合室
カーテン閉めたまま
お菓子
食べかけのまま
誰も最後まで食べない
しける
心閉じたまま
何も変わらない
そのまま
待合室
次々に変わる顔
名前なんて
おぼえる前に忘れる
私たち


(しつこい客だったなあ
って、
マリちゃん
うんざりしながら喋る
遠いとこ行きたいね
そうだね
どこがいいかな
いつも
わかんない
行きたいとこがわかんない
私たち


(イクっ
って、
マリちゃん
イってないのに言う
完全にイったみたいに言う
演技派
さすがだなあ
マリちゃん
指名ケタ違いだもん
毎回イクのに
どこにも行けないね
私たち




あ、
爆弾に会ったよ
え、
この前
そ、
駅の反対側
ん、
交差点
あ、
全身入れ墨
怖、
慌てて逃げたよ
そ、
悪いことなんてしてないのに
ね、
そもそもどこに逃げればいいんだろ
ね、
熊みたいな顔してた
笑、
凶暴な熊みたいな顔してた
汗、
生きてる気がしない
ね、
生きてるのに
ね、
死んでるのかな
や、
生きてるよ
そ、
生きてるよ
ね、
痛いし
そ、
ちゃんと痛いし
ね、
こころ
と、
まんこ
そ、
全部痛いし
ね、
お菓子食べる?
や、
食べない
え、
何も食べたくない
そ、
カーテン開けていい?
や、
頭も痛いし
あ、
髪ぺったんこだよ
え、
洗ってる?
ん、
きれいになりたい
ね、
コーヒーのむ?
む、
今日はもう終わりでしょ
ん、
おしゃれな店見つけたよ
お、
一緒に行こ
ん、
すぐ近くだし
え、
最近できたんだって
さ、
カプチーノ
お、
クーポンあるし
さ、
帽子かぶろ
そ、
こっから5分くらい
ね、
5分で行ける場所
そ、
どこへでも行けるよ
ね、
私たち
そ、







(カプチーノ、お待たせ致しました。







マリちゃん

カップの中

かわいいクマさん

5秒見て

スプーンで混ぜた


暗い桜は錯乱し咲く裂く昨夜未明っ明るい桜が散る春の歌

  泥棒




「こじらせて、春。」

あの人は
常日頃から
異世界で生きていたような人だから
風に耳をすませては
あらゆる種類の
出会いや
色彩や香りとか
今も感じながら
どこかで生きているのかもね
いや、
生きている。
そう、
世界にあふれる
誰かの言葉を引用して
それが栄養になって
また来年も
桜が咲いてしまうから
もう今年で
終わりにしよう
本当は誰も見ていないんだ
10月頃の桜の樹
それと同じだよ
僕の理想が崩れる時
その時
その音は
桜が散るより
繊細な音であってほしい
誰が耳をすませても
聞こえないくらい
僕は
何の栄養にもなりたくないよ
目を閉じても
一切
何も浮かばない情景。
そう、
優しい言葉が
いつも僕を傷つけてきた
確実に
僕の中心を傷つけてきたんだよ
ほら、
優しい言葉から順番に
死んで栄養になっていくなら
僕は
いつまでも死なないよ
来年も桜を見て
他人事のように崩れる様を
僕自身に重ねて
きっと
いつかは死ぬのだろうけれど
春。
こじらせて、
僕は中心から死んでいく



「ちんぽ大爆発」

綾子ちゃん離婚したんだって。先週の火曜日。そ、夜遅くに電話あっ
て。綾子ちゃん、泣きながら(旦那とはもう終わりって、めっさ泣きな
がら電話あって。でね、とりあえずファミレスへ行ったの。綾子ちゃ
んに呼ばれてさ、朝までずっと話し聞いてたの。別れた理由。ま、そ
りゃね、夫婦の間にはさ、ま、そりゃね、いろいろあるでしょ。原因
はさ、ひとつじゃないみたいだし。そ、綾子ちゃんもさ、自分にも悪
いところはあったって、そう言ってたけどさ。ま、とにかくさ、私は
聞き役。朝までずっと話し聞いていたの。でね、どうやら、旦那。仕
事辞めてさ、またバンドやるんだって。バンド。しかも激しい系?私
さ、音楽とかよくわかんないけど、パンクとか、そういうのやるみた
いよ。でもさ、旦那、38でしょ?38だったよね?確か。バンドや
るのは別にいいんだけどさ、仕事辞めてまでするか?しかも38でパ
ンクはないだろパンクは。もっと、こうさ、静かなのやれよって。ア
ンビエントなさ。ちゃんと仕事やりながらさ。え?いやいや、もちろ
ん、そんな余計なこと、綾子ちゃんには言ってないよ。私はとにかく
黙って聞き役。うんうんって。朝まで頷いていただけ。基本、私は喋
ってなくてさ。でさ、綾子ちゃんもさ、いっぱい喋っていっぱい泣い
て、だんだんおちついてきてさ、(今度またみんなでのもうよって、ち
ょっとだけ笑顔になったからさ、朝7時頃にファミレス出て、ほら、
駅の向こう側の土手、桜満開じゃん?今。でね、綾子ちゃんと二人で
コンビニで缶ビール買ってさ、花見したの。平日の昼間っから。アラ
サー二人。もうさ、バカな女子大生ですよ。気分だけは女子大生です
よ。でね、ところで旦那のバンド、どんなバンド名なの?って聞いた
らさ、綾子ちゃん、めっさ小さい声で、

(ち、ちんぽ大爆発、

って。そう言ったの。私さ、(おいおい、お前の旦那マジかよ!って、
全力でツッコんだのね。めっさ大声で。満開の桜の木の下で。ほら、
夜から朝まで、私さ、ずっと黙ってたから、自分でもびっくりする
くらいの大声がでてさ。そしたらさ、桜、すこし散ったよね。私の
声で。いや、本当だって、この話し、盛ってないからね、


鳥は鳥、君は君、だから君は絶対に飛べない。

  泥棒




鳥は鳥、


ビルの屋上から飛んで
すぐっ
鳥は改行をはじめる。
交差点には
急ぐ人が
必ずひとりはいるから
この散文的な交差点の信号は
いつも
うすいうすい赤、
すぐっ
家には着かないようにと
立ち止まれと
夕焼けは命令する。
そのために
夕焼けは赤いのだと知る。
街にある比喩なんて
気にしなければいいのに
ひとつひとつ丁寧に拾い集めた後
公園で
すぐっ
鳥にばら撒く時
ぜんぶわかる。
飛べないという事実が
いつも
勇気みたいなものをくれた
想像したら
すぐっ
世界は半分になる。
そして
折りたたまれ
羽根のように折りたたまれ
世界がひとつになる時
ぜんぶわかる。
物語は
いつも僕の目の前で改行されてきた
たとえば花を
よりきれいに見せるために
でも本当は
花なんて咲いてはいなかった
世界に
今まで一度も
花は
咲いたことなんてなかった
誰もわからない物語の中
その中だけで
花は咲いていた
その事実っ
その事実だけが素晴らしい、
右に咲く花
左に咲く花
どこが似ているのか
すぐっ
ぜんぶわかる。
わかったら
すぐっ
ぜんぶ枯れる。
そういう世界に雨が降る時
ぜんぶわかる。
花が咲く理由
絶対って
本当に絶対なのか
絶対ならば
もっとたくさんの花が咲いていいはずなのに
今日も
どこかで
すぐっ
悲しい出来事が流される。
悲しいかどうか
自分では決められない速度
たくさんの誰かが
悲しいと言えば
それは悲しいのか
そうなのか
この世界はそうなのか
そうならば
世界は優しくない
君の物語が終わる時
その時でさえ
なにもわからないまま
すぐっ
改行される。
鳥が飛ぶ時
遠く
それを見上げながら
アスファルトの上を歩き
すぐっ
君は君になる。
世界の折り目を歩く時
ぜんぶ青になる。
わからない
飛べない
青い空に確かにある。
あの空行は
滑走路ではない
だから鳥は
すぐっ
改行をくりかえす
君はまっすぐ歩いて
いつか家に着く
着いたら
すぐっ
詩を書くだろう
誰にも改行させない
まっすぐな詩
君が
君だけが決めることができる。
その一行が
鳥より高く飛ぶ時
ぜんぶわかる。
それは
本当に飛ぶことより素晴らしい
もう
すぐっ
君の家は近い





君は君、


僕は、詩とか書いている人が嫌いです。
春の終わりに吹く風はあまりに強すぎ
て、すべて吹き飛ばすから、夜空がい
つもより暗くなると、みんなそう言う
けれど、僕は詩とか書いている人のせ
いだと思っています。朝がきて、孤独
にもそれぞれ個性が必要だと、太陽は
みんなを照らすけれど僕は詩とか書い
ている人が、憂鬱という漢字を都合の
いいように使っていると思っています。
僕は、詩とか書いている人が嫌いです。
書いてない人はもっと嫌いです。命の
大切さとか詩で教わりたくはない。僕
はもう知っています。いつか死ぬこと。
憂鬱という漢字を知らなかった頃から
憂鬱はどんなに強い風が吹いても誰の
中にもあったから、いつか僕のせいで
詩を書いていない人が詩を嫌いになる
くらい読んでくれたら僕はもうみんな
好きになれます。孤独を語って共感な
んてされたら終わりだ。僕の孤独はい
つだって新しい。最新。僕の孤独と君
の孤独は違うから離れていれば同じに
みえます。僕は詩が好きです。詩とか
書いて好きな人や空を飛んでいる鳥に
ずっと嫌われていたい。




だから君は絶対に飛べない。


ひとつの惑星を潰せるくらいに汚れたい。お前は何に影響を受けたのかと、そう聞かれたら、迷わずに君だと答える。草や花は文字にされたいわけではない。写真もいらない。風よ、黙れ。君以外の誰かなんてビニール袋みたいに飛んで消えろ。個性よ、死ね。羽根よ、ちぎれろ。言葉よ、集まるな、散れ。誰も愛をうたうな。すべての正解を否定したい。感謝されるよりお前の詩なんか役にならないと言われたいよ。そういう詩を書きたい。読みたい。静かな朝に君に会いたい。生きている間に君に会いたい。君に読まれたい。世界の半分は嘘がいいね。残りの半分を肯定できる。君の孤独が誰よりも深くありますようにと僕は願う。今日も君は孤独だ。鳥が上空から君の家を探しているよ。見つかるわけがない。君も僕も絶対に飛べない。世界の半分も飛べやしないんだ。


黒い柳に徹の子が、いる。

  泥棒






黒柳徹子が存在するならば黒柳徹男だって存在する
かもしれないよね。つまり可能性だ。それについて
書く。今回のテーマだよ。うん。君が(おはようって
言った時に、おはようって返事をする人が隣りにい
なくても、おはようは存在する朝。今日も一日、君
のこと嫌いな人が、君のこと好きな人と同じくらい
存在したらいいのにねってことだよ。昼から雨が降
ってきてさ、傘がない人は濡れる。濡れながら歩く
。もしくは雨が止むまで外へ一歩も出ない。窓も開
けない。雨をまっすぐひねれば虹になるよね。この
素晴らしい世界。もちろん、ならないって意見も大
事。ならない可能性だって、かなり高いからね。





黒柳徹美っているのかな。例えばモノマネタレント
とかで。調べてないからわからないけど。つまり斬
新の意味。それの本当の意味。僕が知らないだけで
本当はたくさんある斬新なもの。例えば窓のデザイ
ン。僕が今までに見たことがある窓より、たくさん
の窓がある。さらに開けたり閉めたりしたことがな
い窓は数えきれない。この素晴らしい世界。何百種
類もある柳の向こう。黒柳徹美が新しいタマネギを
きざんで何か料理を作ったとしよう。キッチンの窓
からは虹が見えるはずだ。





黒柳徹子がいるってことは、もしかしたら白柳徹子
もいる可能性だってでてくるよね。うん。この話し
外人さんにはわからないかもね。まず黒柳徹子を知
らないと意味がわからないよね。この素晴らしい世
界。もしかしたら僕が知らないだけでスイスやアフ
リカやベトナムにも黒柳徹子はいるのかもしれない
ね。可能性は低いけど、否定はできない。それは似
ているとか似ていないとか関係なくて、例えば僕が
(おはようって言った時、日本語を知らない外人さん
にも、これは朝のあいさつだなって、わかる可能性
が高いって話しだよ。もちろん、低いって意見も大
事だよ。どんな意見も同じくらい存在したらいいの
にね。





ハロー。この素晴らしい世界。僕は、それをまっす
ぐひねる。朝、隣りに誰もいない日は、おはようっ
て、世界に言ってみる。今日はいい天気だね。誰も
いないし、みんないる、誰でもない君がいる、赤柳
に青柳、徹也に徹郎。みんなみんな、黒い柳で生ま
れた子。この素晴らしい世界。見たこともない存在
すら知らない窓を開けよう。素晴らしい世界の反対
って、どんな世界なのかな。そう、素晴らしくない
世界。そこにも黒柳徹子がいる可能性はあるよね。


かっこいい扇風機

  泥棒






うねる
いや、
音楽のことではなく
いわゆる
グルーヴのことではなく
そんな
かっこいいことではなくって
髪の毛
ほら、
湿気でね
うねる
(それ新しいドレッドヘア?
って、
友達に言われる季節
そう、
毎年恒例のやりとり
友達がボケで
私がツッコミ
誰に見せるわけでもない
しょうもない漫才
これ、
毎年やってるから
無駄に
完成度が高くなってきた漫才
明日
一緒に
かっこいい扇風機を買いに行くから
きっと
友達は言うのだろう
(それ新しいドレッドヘア?
って、
今年も
飽きもせず言うのだろう
私はそれを
絶妙の間で返す
いや、
待てよ
もしかしたら
友達は
ボケではなく
ツッコんでいるのだろうか
(それ新しいドレッドヘア?
このセリフは
そもそも
ボケではなく
ツッコミなのかもしれない
どっちなのだろうか
梅雨空の下
そんな
どっちでもいいことを考えると
決まって
弱い風が吹く
うん、
漫才って
かなり難しいね。





友達は
私服がダサい
けっこう
いや、
そこそこ
かっこいい文章書く子なんだけど
私服がダサいから
がっかり
でも、
コラムとか書かせたら
めっさおもろい
で、
プラマイゼロ
そんな友達が好きだ
私が
(どんだけ私服ダセェんだよ!
って、
ツッコむと
いつも笑う友達
(笑ってる場合かよ!
って、
もう一回ツッコむと
大爆笑する
そんな友達が大好きだよ

飽きない
中くらいの丘の上で
叫ぶ
扇風機に向かって
口を
大きくあけて
あああああああああああああ
って、
やる時よりも大声で
叫ぶ
で、
今日
私服がダサい
その友達と
かっこいい扇風機を買いに行く。






昨日
家電量販店で買った
かっこいい扇風機
一番安いのに
一番かっこいい扇風機
シンプルで
飽きのこないデザイン
風量
強にして
昨日が今日になる
で、
今日が強になる
いや、
ダジャレじゃなくて
これ、
現代詩だよ
しょうもない現代詩だよ
これは
今年はじめての
難しくない現代詩なんだよ
って、
私が本気でボケたら
友達は
ツッコんでくれるのか
くれるなら
それは
いったいどんな言葉なのだろう
うねる
音楽のように
グルーヴが生まれ
飽きのこない
そんな
そんなかっこいい言葉だったらいいな。


酷評の嵐

  泥棒



僕の生まれた街は
梅雨が明けると
酷評の嵐がやってくる
簡単に超高層ビルも崩れるし
電車は止まり
車は爆破され
街は死体の山となる。


僕の生まれた街は
梅雨が明けると
酷評の嵐がやってくる
純粋すぎて
歪んでしまった感性に
耐えられない者は去り
染まらない物は潰され
共感の花は散り
山はけずられ
鉄が飛び交い
壊れたロボットのようなビルが
過去を美化しはじめる。



酷評の嵐が過ぎ
誰もが最初に見る景色は
それぞれの故郷に似ているなら
みんな
この街を呪えばいい
それを栄養に
ビルは高層ビルとなり
やがて超高層ビルとなる。




酷評の嵐が過ぎ
君と僕の関係が
今より複雑になれば
この街で
いつか出会えるよ
超高層ビルの屋上から
2人で
この街のすべてを酷評しよう
君と僕は
2人ではない
永遠にひとりだから
きっと誰からも
共感なんてされない。


(仮)現代詩(汗)現代詩(笑)現代詩(涙)

  泥棒


覚せい剤が入っているのかな( ^ω^ )

ら、
未来が
空に浮かんでいる郊外
その夕方。
僕は電車の窓から
過去を見つけてしまうのら、
鳥、
着地して、
うたっている。
線路は
どこまでも続いていない。
いないのら、
キャベツや白菜を育てている畑に
びくともしない鉄塔に
建売住宅に
ひとつの世界が
ぐわっ
ぐわわっと
生まれるのら、
線路は
世界に続いていない。
鳥になりたいと
鳥が、
うたうわけがないのら、
僕は
着地して、
明日も
どこかに
着地して、
たぶん様々なことに感動して、
その直後。
君を軽蔑しなければならない
尊敬とは
そういうことなのら、
電車は未来を過ぎてしまう。
ら、
覚せい剤が入っているのかな(汗)
景色にも。
ら、
すり潰した葉は
風に飛ばされ
今夜あたり
僕、
飛べそう
飛ぶ気もないのに
乙、
僕の世界は
こんなにも狭い
君が入るすきまもない
すきまもないのに
未来が
未来だけが
今、
ここにあるのら、





女の子を泣かせるために\(^o^)/

西にかわいい女の子がいれば(かわいいね。と声をかけ
東にかっこいい現代詩があれば(かっこいいっすね乙!と言い
僕は僕で一日に一編の詩を書き上げ誰からも褒めらることなく
そもそも読まれることもなく
森へ向かい悪魔を退治し海で魚を捕まえる。
すこしのユーモアと現金を持ち平日の昼間から本屋へ行き
何時間も立ち読みしては店員から(変な奴がまた来てる。
と噂され
雨の日は部屋から一歩も出ないで風の日には勢いよく空を飛ぶ。
そういう発想は僕にはない。
女の子を泣かせるために
僕はロマンチックな詩を書きたいけれど(笑)
もはや女の子は
女の子たちは詩では泣かない。
泣かないらしい(ネット調べ)
だから僕は南へ向かい北にたどり着く。
国境のない魚たち。
こうなったら
雨にも負けず風にも負けず
歩いて歩いて歩きまくって
僕の歩いた距離で女の子を笑わせたい。





地球滅亡(=゚ω゚)ノ

誰かが笑った日に誰かが死ぬ乙!地球は
君のために回っていないのに君を中心に
回っている乙!行こう過去へ乙!日本語
が死ねば未来を引用する猫たちは爆発し
ないバスに乗り確かめ合う乙!行こう過
去へ乙!未来は正論でできているから誰
も行かない乙!君を連れて行こう過去へ
乙!中心からズレて地球が爆発したら君
と僕のこと猫のこときっと未来の誰かが
詩にしてくれるよ乙!それをさらに未来
の誰かが現代詩と呼び過去の引力で新し
い日本語が生まれるのさ乙!おはよう誰
もいない地球(涙)さよなら出会えなかった
人類(涙)書こう未来へ乙!僕は今日もみん
なの敵だよ(涙)望んでこうなったのさ乙!
すべてが僕の想像を越えていくのかな乙!


加筆修正と読者と海より広い本屋のために

  泥棒




狭い海

職員室みたいな街で
君と僕は出会ったのさ
廊下に流れている川
そこで
君は魚になって
僕は岩になって
みんなは鳥になって
もう誰もいない
教室は
博物館と同じだね
案の定
君と僕には終わりがない



毒にも薬にもならない。

情緒を殺害、して
血まみれになる、夕方、
俺には
何の達成感も、ない。
太陽が
まるで正論のように、沈み、
雲は
やけに散文的な雨、を、
釘のように降らす
打ちつけられ、て、
毒にも薬にもならない。
終わった発想、で、
お前ら全員
何を奏でる、のか、
俺は静かな草になる。
遠慮はいらない
踏み、潰してくれないか、
新しい花
そうさ
お前らのため、に、



メンヘラバスターズ!

りゃお!
頭ポンポンからの誹謗中傷
この落差、
この落差で
メンヘラどもをやっつけちょる
わし、
メンヘラバスターズのリーダーやっちょるんよ
趣味は山登りっちゃ
りゃお!
今日も明日も明後日も
メンヘラども
情け容赦なく叩き潰すっちゃね。
じゃのに
最後は仲良おなっちまう
にゃぜか
必ず最後は仲良おなっちまうんよ
じゃから
わし、
リーダー失格
そんじぇ
今、
メンヘラとつき合っとるっちゃね
彼女の手首
その傷を褒め殺す
りゃお!
頭ポンポンして
しゃらに
頭ポンポンポンして
しゃらにしゃらに
頭ポンポンポンポンポンポンポンして
ほっこり
いや、
もっこりしているっちゃね
わし、
このまま
じぇっとバカでいたいっちゃ
彼女のために
誰よりもバカでいたいっちゃね
そんじぇ
休日
山の頂上で
孤独をうたうんよ



論外

真実などない
明日
草の上で
戦争がはじまる頃
君の思想が
通用しなくなる
他人の思想と入れかわる
そのくり返し
いつか
戦場に花が咲く
誰も死なない戦争をしよう



リコピン

こんにちは、
お元気ですか?
僕は
光速で
情報に轢かれながら
死んでいます。
朝のひかりで
リコピンを摂取しながら
ひとり死んでいます。
線路沿いの花が睨んでいる午後
その殺伐とした美しさで
巨大な妄想を
ちぎれるまで咲かせている
美しいのは認めるから
はやく散れ、
君も
なるべくはやく散って
死んだ方がいいよ
こんにちは、
お元気ですか?
トマトジュースを
半分ください、



何を見ても何も見た気がしない

優しさで汚された街が人をのみ込む午後。次から
次へとみんな高い場所へ消えていく。君が今まで
集めてきた言葉や数字が砕け散る日も近い。きれ
いな名前をつけられて少しづつ汚されていく夜。
個性的な景観が無機質になる瞬間を見た。この街
のどこかで野蛮な題名の音楽会が開かれている。
正しい手錠の使い方を知らないから。もう朝が近
いのさ。僕の知らないところで光が生まれている
らしい。何を見ても何も見た気がしない。闇を闇
で語る君が光を信じるようになるまで僕はきれい
だ。昨夜の出来事が加筆修正されて朝がくる。海
へ行こうか。ひろい海。そこで何を見ようか。最
初に見た印象とは違う世界。今日だけは加筆修正
を誰にもさせない。終わりのはじまりを見るよ。
拾った海で新しい街をつくるのさ。それが世界。



全員詩人

登場人物が全員詩人の映画があったなら
それは間違いなくコメディ映画である。
内容はどうでもコメディとして見なければならない。
どんな事件が起きようがサスペンスにはならない。
なってはいけない。
そしてハートフルなヒューマン映画にだけはならないように
監督には注意してもらいたい。
いや
監督も詩人だったなら観客も全員詩人でなければならない。
これは問題だ。
やはり詩人は少ない方がいい。



毒針

咲いている花の中でも
一番咲いている
死んでいる人の中でも
一番死んでいる
夏の終わりに
ボードレールの本が
逆さまに
本棚にあるのを見た
僕は
この本屋には
このひろい本屋には
もう二度と来れないだろう
夢の中で
夢の中の本屋で
理想的な背表紙の並びを見て
毒針が
時計みたいに規則正しく
胸を刺してゆく
真夜中


メンタルヘルスディストーション

  泥棒


風景が
やわらかくならない。
いつも
鉄のようなゼリー感覚
ガードレールは楽器だと思うんだよね。
叩くと
鳥が消えるから
ね。
何もしないで日が暮れる頃
病みツイートより深く
もっと深く
太陽がプラスティック爆
うあ。
人気のない漫画のように急に終わる
うあ。うああ。
連載しろ
速攻で
辞める辞める詐欺
鳥が戻ってくる
病める病める夕方
世界を一望する
うあ。
ちっちゃ!
お前の世界、その小ささ
東京ドームの半分の半分の半分の半分の半分くらい
その100億分の1
うあ。
攻める攻める日常
君は個性的だね
うあ。
君より個性的な人がいるよ
もう
君のとなりに
いるかもしれないね
右にも左にも
100メートル先にも
たぶん
いるんだろうね
100年先にもいる
ね。
君の100メートル先にいる小鳥が
よく見えるけれど
本当は
小鳥の100メートル手前に君がいるだけなのかもね
ね、
理屈の森で
みんな競う
燃やしてはいけないものを
燃やす
となりを刺し
うえを落としたら
やっと個性がなくなる
ね。
100メートル先くらいまでなら
すべて潰せるよ
世界だって
ね。
代々木から歩いて五分
実家はレゴブロック(実話
地下鉄でポエムが歪む
うあ。
手首に貯金してまあす
うあ。うああ。
誰も注目してくれない夜
貯金くずしまあす。
うあ。
コンビニで闇を買う
買った闇を
ネットで売りつける
一年後
それが戻ってくる
闇。
鳥は戻ってこない
うあ。
自分大好き
みんな大好き
アボカド大好き
コレステロール死ね
自撮り棒に刺さって死ね
うあ。
真夜中
白馬に乗った二次元が
落馬して三次元になる
言わんこっちゃねー
スマホで
世界征服だ!
戦争だあ
ポエスとポエムで戦争だあ
錠剤と地雷ばかりの街
戦車で行くコミケ
うああ。
東京っメンタルヘルスディストーション!
うあ。
戦争だあ
水色だあ
炎上だあ
味のない泥のんで
生きるでやんす(^-^)
全滅!
うあ。うああ。
処女を守れ
兵隊ども
比喩に負けるな
ひるむな
つぶやくな
てやんでいっセンチメンタル!
ナースの格好で
注射針の先で
未来を刺すでやんす(^ ^)
しゃらくせいっリストカット!
塩まいとけ!塩。
デリカシーのない奴ら
この指とまって折れ
折ってみろ
あることないこと
書いて書いて
伝書鳩で一斉送信
名誉毀損で訴えてやる
調教っメンタルヘルスディストーション!
傷なんかねえから
包帯いらない
ガードレールに座りながら
楽器の練習
エアで。
うあ。
やっと
やっとだ
やわらかくなる
風景。


クズどもの残暑

  泥棒





密室で石鹸の香り
窓の外
嘆きの街路樹
通りの向こう側
鍵盤に囲まれた家があるだろ
誰かが死んだのさ
こんな夜は
星なんか見ないで
落ち葉を見るといいよ
クズども
映画のようにはいかないさ
君は
死にたくなる度に
その度に
きれいになってしまうから
みんなに呪われている
かも、しれない
街をぬらすためだけに降る雨


いつも雨、

その雨、
音楽のようにはいかないさ
渇いた花よ
さよなら
一度も死にたくなったことのない
僕と同じようなクズども
違うクズども
普通のクズども
死にたいクズども
死ぬ直前のクズども
最後に
やり残した事があるだろ
落ち葉を見たか
誰に笑われてもいいさ
褒められて
ただよろこぶ方法を
教えてほしかった


それにしても雨、


この雨、
夏の終わりの
この雨、が止んだら
君が好きな暗いだけの詩を
僕が明るく
誰よりも明るくよんであげる


死にたがりボーイズ 脱ぎたがりガールズ

  泥棒

「死にたがりボーイズ」


今年の夏、俺はついに、ついに、
死にたがりボーイズを結成した。
したのだが、だが、
その日の夜に
早速メンバーのひとりが死んだ。
次の日も、そのまた次の日も
メンバーは死んでいった。
結成した日には15人いたメンバーだが、だが、
なんてこったい。
結成してからわずか2週間で今は俺ひとりである。
みんな死んだ。
オーマイガッ!
これでは何もできない。
本当ならメンバー全員でバーベキューしたりボーリングしたり、
秋になったら
栗拾いとか紅葉を見に行ったりしたかったのだが、だが、
全ての計画は中止である。
オーマイガッ!
また最初からメンバー募集するのもめんどくさい。
いや、募集して、また集まったとして、
ちゃんと生きてくれる死にたがりはいるのだろうか?
みんなでバーベキューしながら
(死にたいね?(だよねぇ!
とか言ったり
ボーリングしてハイスコアだしつつも
(もう死にたいなあ(ま、そのうちね!
とか言いながら盛り上がってくれる奴はいないのだろうか?
ちゃんと仕事して、ご飯をしっかり食べて、よく寝て、
ちょいちょい死にたがるおもしろい奴はいないのだろうか?
もちろん死にたがるだけで本当に死んでしまったら困る。
あくまで死にたがりの奴。出てこいや!
俺は叫ぶ。
オーマイガッ!
月に吠える。
オーマイガッ!
よし、こうなったらカラオケだ。ひとりカラオケだ。
今夜はうたうぞ。朝までうたうぞ。暗い歌をうたいまくるぞ。
またいつかメンバーが集まったら
誰よりも上手く暗い歌をうたえるように練習だ。
(さすがリーダー!暗い歌、超うまいっすね!
とか言われたりしてな。な。
そんで、あれだ、今度は女性も募集しよう。そうしよう。
グループ名は死にたがりボーイズだが女性大歓迎。
冬はスノボやったり鍋やったり。楽しいぞ。ぞ。
これからはアクティブに死にたがらないとね。ね。
もちろんメンバーのみんなには長生きしてほしい。
みんな、死んだらだめだよ!絶対にだめだ。生きていこう。
いこうぜ!いこうぜよ!
俺は死なない。絶対に死なない。
みんなも死なないでくれ。約束だ。絶対に死なないでくれ。れ。
下に書いてあるのは
メンバーに必ず読んでもらいたい注意事項だ。だ。

死にたがりボーイズ注意事項

1 絶対に死なないこと

2 ポエムとか書かないこと

3 メンバー間で恋愛禁止

4 最低でも年に一度は死にたがること

5 みんな仲良くすること

6 ユーモアを忘れないこと

7 詩とかばっかり読まないこと

8 むやみに人様を傷つけないこと

9 合言葉はオーマイガッ!



「脱ぎたがりガールズ」


脱いでも脱いでも裸になれない
そうつぶやきながら
君が脱ぎたがりガールズを脱退した日
その日の夜は雨で
街を叩きのめす雨で
要塞みたいな雲が浮かぶ雨で
このまま世界が終わるような雨で
でもやっぱり
世界は終わらなくて
君は泣きながら洋服を何枚も何枚も重ねて
小さな小さな自分の世界に入って
こころがこわれたと
小さな小さな声でつぶやきながら
いつか
世界を本当に終わらせるだろう
自分の世界なんて
かんたんにこわせる
君らしさなんて
君の手で終わらせればいい
花や草が
孤独を語りはじめたら
この世界は本当に終わってしまうよ
だからね
君の孤独がなるべく長く続けばいい
長生きしてね
君が君を終わらせる日
その日は晴れで
きっと街全体が晴れで
ビルの向こうまで晴れで
遠く遠く知らない街まで晴れで
雲ひとつない青空が見える
おはよう
裸になれた
春、
新しい君が
きっとはじまる


全国の女子高校生のみなさん

  泥棒


こんにちは

全国の女子高校生のみなさん

僕は変態です

みなさんは文学というものに興味はありますか

僕はありません

正直まったくありません

がっ、

どうやら文学というものは

日常にあるそうです

そう

例えばコンビニ前とか

線路の向こう側とか

普通にあるそうです

みなさんも学校帰りや部活帰り

遊びへ行く途中など

コンビニへ寄ることがありますよね

そこにあるんですって

文学がっ。

店内ではありません

店の前です

そこから見えるいつもの風景の中に

あるんですって

すでに

もうあるんですって

なので

全国の女子高校生のみなさん

もう図書館などへ行く必要はありません

勉強もしないでよろしい

街へ出ればいいのです

本当です

変態の僕が言うことに間違いはありません

そう

僕はたくさんの本を読んできました

いわゆる文学作品です

そこには胸に刺さるたくさんの文学がありました

読めば読むほど

僕は変態になりました

ある日

いつものように本を読み

ますます変態になった僕は泣きながら家を出て

コンビニへ行きました

春でした

さっきまで読んでいた本の中は冬でした

街は春でした

本の中では

コートを着た主人公が自殺しておりました

つらかったろうに

寒かったろうに

雪の上でした

僕はコンビニ前から見えるその風景の中に

花をみつけました

手にとって

そのまま家へ帰って

死んでしまった主人公のページに

その胸に

花を刺しました

冬でした

本を閉じました

閉じても本の中は冬でした

僕は変態です

全国の女子高校生のみなさん

みなさんは生きてください

生きて

たくさんの本を読んで

勉強して

いつかたくさんの花にかこまれて

死んでください

文学はみなさんのそばにあります

全国の女子高校生のみなさん

みなさんの孤独は

ひとつとして同じものはありません

孤独とは秋の空です

きれいです

共感とは夜の細道です

きけんです

全国の女子高校生のみなさん

僕は変態です

線路の向こう側で

いつかお会いしましょう

全国の女子高校生のみなさん

安心してください

みなさんにお会いする頃には

僕はもう変態ではありません

文学です

文学そのものです

ほら

線路の向こう側は夏です

もう夏なのです

まぶしい

きっとたくさんの花が咲いているでしょう


銀行へ行こう!

  泥棒


[福]

雨が降る日は
福沢諭吉に会いに銀行へ行こう
きっと
みんな死んでいるから
傘で
中心を刺しながら銀行へ行こう

[沢]

世界が
平日の昼間に終わるなら
あの太陽は
お金で買えるのかもしれない
行こう
沢のほとりから銀行へ行こう
雨の日に見る太陽は
抽象画のように
銀行の壁に飾ってある

[諭]

君よ
まるで洗練された文章のように
雨が降っているではないか
しかも無料
このまま
もっと濡れてみたい
そんな気分だよ
優れた批評はできないけれど
こんな日は
芸術を買うために銀行へ行こう
月よ
口座番号を照らせ
お金で買えない芸術は
傘の下で
そっと守られているから
比喩の中で
今夜
新たな芸術が生まれるのだろう
ごらん
諭吉の諭が
比喩の喩になり
やがて大金の雨が降るのさ

[吉]

共感という名の闇よ
みんな
それを狂気と呼ぶのか
素晴らしいね
ならば君よ
これから
その狂気の値段について
君と僕と福沢諭吉の3人で
食事でもしながら
ゆっくり話そうではないか
共感だけでは
僕の財布は開かないけれど
今夜は僕がおごるよ
凶とでるか
吉とでるのか
さらば芸術
手数料込みで陽がのぼるまでに
必ず
君の闇を買い取ろう


NO PANTY , NO POEM , CAR SEX !

  泥棒


車で、
どこへ行っても
同じような街ばかりで、
とりあえず
海岸沿いで、
君は
情景をスルーして
ノーパンで、
水平線を斜めに見ていた。
僕には
君が
君の存在そのものが
世界の比喩に見えはじめたから
とても
一緒にはいられない。
これ以上
ふたり
一緒にいれば
骨まで透けてしまうから
もう
君がノーパンでも関係ないのさ
ほら
そろそろ陽が落ちて
海が
悲しい歌をうたいはじめるだろう
あ!
流れ星
さあ
今ここで、
最後のセックスをしよう
世界に
とり残された気がする君と僕
もちろん
それは錯覚
この惑星は
セックスする場所が多い
なるほどね
どこで、
セックスしても
同じようなセックスになるんだね
不思議だね
不思議じゃないね
星が降る
海に捨てたブラジャーは
クラゲのように漂い
君のパンティは
いつの間にか
あの星よりも小さくなり
同じように
やがて消える

優しいだけのポエムなんていらない
この夜に
骨が砕けるまで
君と僕は抱き合って
それで終わり
新しいね
新しくないね
月の輝かない夜
あ!
差別とキャベツ
似てるね
似てないね
さあ
僕の喉仏を切ってごらん
最初から
自分の言葉なんてないのさ
鋭くない破片
散らばる
効いてないメタファー
いつか
君が一枚の絵になる
それは地図かもしれないね

そんな夜の海岸沿い
誰のために
海は
同じような悲しい歌ばかり
どうして
いつまでも
うたっているのか
選べるなら
僕は
こんな夜も
楽しい歌がいい
あ!
潮騒と詳細
くだらないね
くだらないね
あ!
同じような感覚
また錯覚かな
海岸沿いで、
悲しいね
悲しくないね
あ!
メリークリスマス
メリークリスマス

文学極道

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