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双葉月ありあ

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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ラストノート

  双葉月ありあ

あおぞら
とうめいな鍵盤に
ちいさな指 滑らせた
まじり気のない風に乗り
どこまでも飛んでゆく旋律
まるで あの夏の日差し、
みたいに

うすめたインク、
キングズブルーのかき氷
しゃんしゃんしゃらりと唄いつつ
町じゅうに降り積もる
思い出という、ものたち
まるで あの夏の水平線、
みたいに

ヒマワリの花びらを
古ぼけた辞書に挟んで
それで あの夏を
のこしておいたつもりでいた
カラカラのくちなし色の
いずこに夏が在るのやら、

押しつぶす
乾いた花は崩れ
そっとモノトーンに馴染んでゆく
はらはら 粉っぽさを感じた指先は
時雨の街より だいぶ つめたい

ああ、夏は
夏はもう
朽ち果てた過去のものがたり
鮮やかな響きのワルツすら
今や虚しいだけで
透きとおった空気は
全てを無に帰し自ら染まる

春の色彩は奪われた色、

文学極道

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