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草野大悟 (草野) - 2007年分

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


風を釣る

  草野大悟

ずっと
風をさがして生きてきた

たとえば
こんなよく晴れた朝には
釣り竿をかついで
山に行くのがいい

頂につくと
草原に寝ころんで
釣り糸を垂らすのがいい

錘はつけない
もちろん
はりも餌も
つけない

ただ
青空に
釣り糸を垂らすだけがいい

そよふく風を釣るために
はるかな風を釣るために


犯す月

  草野

娘といる。
犯している。
後ろからふかぶかと。

娘の尻は
お前の尻に
そっくりで
ぎょうてんしながら
腰を動かし続け
病院でvに固まった左手を
突きつけられ
思い出し
なおも
娘の尻を犯している。


笑う満月がある。


着色される風景

  草野

まっしろいシーツが
かぜのように気まぐれに
ふっと、ためいきをついたとき
けずられたきみの脳は
あたりの風景に色をつける


くりかえされる
ひかりのみえない毎日を
記憶から消去し
消し去り
消し去りして
きみは
まどのそとにひろがる
きみを
ながめている


ちいさな雲のむこうで
はじけるように笑っているのは
たしかに
きみの
あのころ


丘のうえにうかんでいる双眸は
たしかに
きみの
こころ

そして、ほら
純粋が体操している



手術から2年
雲のうえに
きみが
すわった日
青空いっぱいに笑う
ひまわりを見た

文学極道

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