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山崎みふゆ

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


帰り道と 亡霊

  山崎みふゆ


私の肩はいつまでも
ずっしり 重たいままなんです


ひとり
とことこ 帰り道
なんでが詰まった
赤い赤い身分証明の
亡霊のせいだと思います


降り注ぐ眩しさが 痛くて 痛くて
記憶はいつも曇り空
なのに
独り歩いた帰り道だけ
優しさに満ちて 生きています


よく 一緒に帰ったよね
あれ なんでだったっけ
偶々 方向一緒だったから
クラスも同じだったしね
なんとなく だよね


だよね?


なのに とことこ帰り道
どうしてだろう
覚えていない
一緒に帰った筈の あの子の事
どうしてだろう
思い出せない


後ろ向いてる なんで? が
ギュウギュウ パンパン
それでも壊れなかった6年保証の
赤い 赤い亡霊が
今でも私の肩にいます


独り 歩いた 帰り道


忘れ物常習犯のペルソナも
まだ 右腕に残っています


もう みえない
「明日の持ち物」


身体に合わないランドセル
両肩ずっしりめり込んだまま
こんな所へ来てました


笑い声の残響も
鼓膜に 忍び込んだまま
独り 眩しい帰り道


途中のお寺のお坊さんに
生きるってなんですか?
地獄ってなんですか?
私、死んだら どうなりますか?
柔らかな熱意は見当違いで


やっぱり とことこ帰り道


狂っていたんだと思います
普通だったと思っています
普通のままで狂ってました


赤い亡霊背負ったままで

これからも
独り


だって もう
どんなに眩しさが痛くても
私 微笑む事が出来るので


だから これから


帰ります

文学極道

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