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失意夏雪

選出作品 (投稿日時順 / 全2作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


正当化の交点

  失意夏雪

過昇制限の調整機より安定性を意識した仕組みが必要なほど少しだけ下の世代の熱は放たれるエモーショナル係数が微量でありフォロアップが難しいという諜報者からの報告に基づき開発された正当化装置を物語として埋め込められたあなたが真夜中に苦しむことは予測通りであり特異点となる変数が発見されるまでの知の有無を問う<y/n>N
空気感が安定多数の数値を押し上げれば僕らより少しだけ上の世代の悪意が高まることは予測され戦争を任意の設定値による仮想実験の結果を基に可能と判断がなされた場合においてのみN増しとする客観視こそが自己正当化へ誘う洗脳暴力装置でありあなたの覚醒抵抗とは古の時代から沈黙するエネルギー即ち愛なのだろうかと問う<y/n>Y


まがいもの

  失意夏雪


あたしの11歳がニコニコする写真を破かれたのは、門前に立つ教団幹部が意地悪に準備していた通過儀礼だ。
立派に笑うあたしの写真が教団の広告になる頃には、酷く信者を苛め、新しく救いを求める無能な人々を束ねていた。
特別な存在ながらも、昼の間は凡人になりすまし仮宿で暮らす。
夜になると獣に戻り夜叉が跋扈する修行に救世を想った。
聡明な女たちに慈悲を説き、男性信者の前では決して笑いを纏わない女を選ぶ。
あたしに充てがわれた部屋へ閉じ込める。
天狗の面を挿入器具としてコンドームを被せ、ちんぽのように擦り付けてやるのだから濡れるに決まっている。
けれども、それは嘘だ、それは嘘だと、あたしの初潮を父親が瞬きを失くした顔で否定したように、女たちは信じない。
上等なまがいものだと見破りながらも、正義に溺れるというのに。

文学極道

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