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空丸

選出作品 (投稿日時順 / 全2作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


耳をピンと立てた君は大きくなった

  空丸

いつも遺影を気にする私にはもう飽きた。壁に飾る絵画は見つかりましたか。もうすぐ終電です。地平性の向こうはどうでもいい。あの頃に、栞を挟む。なぜ、訳を訊きたがるのですか。遠くの雪解け水を流し込む。海に走る。

地球は回っている。あの人の日記にぼくの名前があった。ぼくは夕暮れにいる。君がなぜ夜中は朝来ると言ったのか。今はもう問いすらぼんやりしている。ただ、生きることは闘うことと言い返した気がする。日が沈むまでには道を開けてくれ。

死ぬのは面倒くさい。遠く戸を叩く。みんないつもの通りだが、爪切りとSEX、どちらが多いのだろうか。訊く気もしない軍事的重ね着。舞台にはピアノが一台。終わった後なのか、始まる前なのか。いいpositionだ。

耳をピンと立てた君は大きくなった。人生は語るものではない月見酒。電子タバコはKissに転化するか。引きずってはいない。朝が早すぎるのだ。ぼくの日記にもあの人の名前がある。あっけなく闘おう。


背後で葉が揺れていた

  空丸

現実はこの朝ではなくこの朝を迎えた私自身で

記憶が 付近を彷徨っている
あっけなく

死が街並みを徐々に埋めるとき
ぼくは 路上で石を蹴りたい
舗装された道では そんな願いも叶わない

  初恋

すぐ隣にいるのに
水平線のように届かない
その届かないものが
今にも飛び出しそうに跳ね回っている

呪いだ 

  遠く此処にありて

見上げても答えはない
だから空があるのだろう
庭先では
雨があがったようだ

  月曜日は何色ですか?

そこには民主主義と国家主義
そして家畜が朝を迎える
病棟には生と死が入れ替わり立ち代わり
生きることは闘うこと
受け入れるべきは血の匂い
陽が沈むまでには道をあけてくれ

  誤差

あの人の日記にぼくの名前があった


  雲の影

振り返りざま見たものは
帰り支度をしているサーカス団だったか
土手を歩いている少年の私と犬だったか
空地に残された小さな日向さえ


  るの視線

回る 回る 回る廻る 廻る廻る廻る転る転る転る転る
転る 回る 回る 登る 登る のぼ る 降る 降る
 降る降る降る降る降る 回る 廻る 転る転る 転る
回るまわるまわるまわる回る回る まわ る 止ま る

                    潮の香りがした


空が青くてすいません

文学極道

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