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蛾兆ボルカ - 2009年分

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


夜景/テイク2

  蛾兆ボルカ

やけいに綺麗だなって
夜景を見ていて
思った

あの灯りのなかに、
平均すればきっと一個ぐらいづつ
おまんこがある
って
最近僕はやっと
夜景を見てもそんなふうには
思わなくなった

ただ
やけに綺麗だなって
思うだけだ

こんなふうに丘の上の公園の柵に
ひじをついて
窓の灯がきらきら光る街を見下ろしていると
風が少し吹いて
僕を撫でていく

この先、僕にどんなことがあっても
僕はきっと、放火魔にだけはならないと思う


おまんこが
僕は好きだ

たとえ(最近は長いことそんなふうに思わないけど)
あの灯りの一つ一つのもとに
おまんこがあるんだって
ひしひしと考え込む夜が
もういちど僕に
あるとしても
それはつらいことじゃないって
きっとそんな風に
僕は思うんじゃないかな

そう思えるようになって
よかったなって
僕は思う


充分風にも吹かれたし

星を見上げて
おまんこ座を
作りながら

家に帰ろうと思う


はだかバスに乗って

  蛾兆ボルカ

がたごととほこりを立てて、砂利道を
はだかバスが入ってくる。

はだかバスに乗るときは服を脱がなきゃならないが、
この辺りにははだかバスしか走ってはいない。

女子高生も、隣の奥さんも、はだかバスに乗ったら
みんな裸にならなきゃいけない。
脱いだ服は網棚に上げるし、靴は椅子の下に入れる。
急停車する場合があるので、たってる人は皮につかまる。
男性の勃起は、マナーとして、禁止。
法律じゃないけど。

一週間働いてだいぶ疲れたから、
僕は今夜、はだかバスに乗るのさ。
ときどき見かける少女も乗ってて、
いつもどおり、乳首がピンクなのがちょっと嬉しい。

はだかバスはがたごとと進む。
霧が深くて、月が見えない。
はだかバスに乗って、僕は君に、会いに行くよ。
セックスをしようよ。


昨日、僕は、オナニ−をするかしら

  蛾兆ボルカ

昨日、僕は、オナニ−を
するのかしら。
もしするのなら
きっと今日もするのね。
と、
ズボンを穿いていない美少年が
女言葉でつぶやくような夕刻、

震えるほど疲れた
中年の僕は、
下を向いている。

文学極道

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