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荻野巴巳

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


分からず屋の視点

  荻野巴巳

獣がいる
黒い四角形のなかで今日も綺麗
柔らかく丸い毛髪がとても綺麗
臆病な眼差しでお互いを優しく噛み合う3匹
悪いやつは殺された
塩でできた城の下に埋葬され
雨が来る日を待っている、砂漠の城
下を見ると人骨の白さがぼわっと浮かび首を吊ったキリンがバカだ、バカだと唱和する
「バカだ、バナナの皮だ」
しょうがないやつらだ
説明に拘泥し切実さの遠心をくるくる回るだけ
願うだけなら郷愁は闇だ、こじつけの友情を捕捉え私は白羽の矢を懐柔の先へ放とう

光陰、紅い陰部で金を稼ぎ豪遊か
瞬間のパーマで虹は西に出る予報
すまないとヘッドホンからくり返され周囲にいる人々が地平線と平行に転倒連鎖するうち宵が明けるのに
暗がりは郷愁だ
今日も曇り、3月27日
いつもと変わらない

魚に似た顔つきのホチキスが摂餌する、パクパクと白い屋根、口からでまかせの海岸線に少女がパラソルで遮光する
直角の影がむしろ新しいねえともったいぶった批評家連に受けのいい投稿写真から眼を背け
そうだ、苦しみをぬぐい手に苔を生やすまで動かないと決めた朝は雨でいきなり欠如、
そうでもないとやりきれないよ、そうかい、そうすると
胡散臭い奴だと思われそうだ

ぽちゃぽちゃの少年が微私的な黒い矩形から逃避する
立体を渇望し人目につかぬ滑り台の中央で雲を眺めると断面、
想像の世界は平面的だ
ましてや色彩も寄り付かない、犬も食わないごにょごにょを私はウサギに食べさせる妄想で貪食だ
強制的に裏の裏を返し底にあるダイヤモンドを写したリトグラフに現在過去未来のタイトルをつけよ

育ちの悪い秋、努力が逆流し噴出する恐れあり
血の点々が廊下を続いていき保健室にたどり着いた放課後に私は見た
血煙をふきつつ机の合間に沈みゆくイルカの頭を
そして誰もいなくなる朝、内側から膨れた暴力がたちまち野原をかけめぐり驟雨
まくりたて閉ざしなさい
切り返し破りなさい
指紋を擦り合わせ
皮の内側を絆す

文学極道

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