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コーリャ - 2015年分

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


永遠の浅瀬

  コーリャ

男の子は
女の子と
このまま
永遠の浅瀬に
寝転がっていたいとおもった

ピンク色の夕焼けが
水平線のさきで
水槽にいれられた

ヒレのように足を水面にうつ
転がって泥を浴びる
そしてふりむけば女の子がいる

男の子は
女の子と
永遠の浅瀬に
寝転がっていたいとおもった


メイビーグレイ

  コーリャ

さいきん煙が紫にみえてきたんだ
だから俺は奴らに訊くのさ
What's the colour of smoke?
奴らは言う
White, White, White, White, Maybe Gray


今、撃つ

  コーリャ

俺がバリケードを直していると
「撃て!」
とサムが叫ぶ
ウェスティーも叫ぶ
「後ろだ!」
振り向こうとすると
閃光と銃声
ウェスティーの放った弾丸が
ゾンビの頭をぶち抜いて
どうやら俺は助かったようだ
「ついてくんだぜ」
とウェスティーが言う
「おい、シド、走れ」
とサムが言う
俺は走る
ためらいを殺さなければならない
ゾンビは暗がりから
背中を狙っている
だから走れ
そして撃つのだ
俺達はとにかく生きねばならないのだ

「壁が光ってるだろ?その下に武器があるぞ」
とウェスティーが言う
「どんなだ?」
と俺が言う
「とにかく開けてることだ」
とサムが言う
箱の蓋が天井開きになって
SFアニメじみた大砲が
発光しながら浮かびあがってきた
「ヒュー、それはゼウスの筒だぜ」
とウェスティーが言う
「賢く使うんだな、さ、次は外にでるぞ」
とサムが言う

BOOM!BOOM!
はははみろよ奴ら木の葉のように飛んでいく
「まずいシド、離れすぎている、再集結するぞ」
たしかに奴らは増えてきたが
BOOM!
これさえあれば
BOOM!
BOOM!BOOM!BOOM!
ははは
「シド、危ないぞ!」
ゾンビの腕が伸びて
俺を殴打する
青空が逆さまになって
俺は地に倒れた
「やられたのか!」
サムが叫ぶ
「だから離れすぎていると、救護が間に合うかどうか……」
ウェスティーが走る

気づいたときにはいつも手遅れなのだ
あのとき
ああすればよかったと思ったときから
すべて手遅れになりつつある
世界が
一色ずつ
剥落させていく
俺は
銃を握り
せめてひとりでも道連れにしようと
震える引き金をひく
ウェスティーが目の前で転がっている
ああ、灰色になっていく
いや、考えるな
すべてが手遅れになる前に
撃て、
撃て

「ファァック!12ラウンドしか行けなかったじゃねえか!」
ウェスティーがPS4のコントローラーをカウチに投げる
「ユーサック、シド」
サムがタバコを取り出す
俺は笑いながら頷いて席をたつ
「また明日な、友よ」
ウェスティーがウィンクする
サムの後について
玄関まで出て
タバコに火をつける
「そうか明日も働いてるのか」
とサムが言う
「9時から、17時まで、機械のようにね」
「そうだな、やることをやるだけだ」
サムは星をみていた
そしてタバコを茂みに捨てて
「じゃあまた明日、仕事場でな」
と笑った
「うん、また」
俺は家に帰った

文学極道

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