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アルフ・O - 2019年分

選出作品 (投稿日時順 / 全16作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Underground Broadcast

  アルフ・O

 
 
 
過渡期だって言い訳すれば逃げ切れると思ってた
勿論それは単なる延命措置
舌足らずは罪を重ねて涙腺回路を誘爆することすら許さない

(知ってる?
 あたしの婚姻色は貴女にしか視えないの、
(不死身になってよ、

残留物不純物をバスタブに掻き集めてその中で耳を塞ぐ
何周目のループなのか
思念は大理石で乱反射して浴室は愈々ジャンクの海となる

「嘘つき。泡になんて変わってないじゃない、
 救われたがりのくせに。
「んー、だからこれは……
 ハマるとヤバい自傷行為、みたいな?

回収される 回収される
賭けてなお挑む暁は此処からが本番 見逃さないで
後には粘性を持て余した情報の欠片が無秩序な統合を始める

(つまりは上位互換。
「ねぇ、もしかして関係ないなんて思ってる?
 すり潰すよ。ナメた真似するなら、
「解ってんでしょ、計画なんて計画通り進みっこないんだって、

それでも闘う、と、抑制する鈍らな牙に
これからやることは全て裏目などという呪い
掌を開けないまま這いつくばって
どうでもいいからさ、貴女の金の翼を頂戴よ。

「首だけで夢でも見てればいい、
(怒り、苛立ち、自尊心。)
「大口叩いた割に消える時は一瞬だったね。カッコ悪。
「軽さ?価値の軽さで言えば
 その隠したメモに勝てるものなんてないわ。異論ある?

立ち向かいなさい、と、背に幾度も鞭を打たれ
“伝令”の名を持つ彼女の分身に全ての願いを預ける
愛の 愛の 愛のため、
意味がほどかれなくても、それはそれで、

機械の少年の声、加工して展延してなおも摂取し続けて、
(どちら様、庭の骸を踏み荒らすのは、

「彼等の瞼を下ろすのだって数えるのを諦めるくらい。
(破れたワークブーツ、何十年も形見として、
(この身体が調和するはずだった時計の針から
 縫いこぼれた色を拾って息を継ぐ。そんな自罰。
「揺られるのは惑星、真夜中の。中心に捧ぐ、
(Hello

 
 


Needles

  アルフ・O

(吐きそう。)

 「次の離陸まで人工衛星とともに回るつもり。糸の切れた風船のように。獣じみた砂糖菓子の包みをひとつ、ふたつ、発射台に丁寧に重ねて導火線を擦ったら最後、竪琴の弦を切る為だけにのばした爪が爆散して甘く苦く日付変更線一帯の大気を支配するだろう。そしたら貴女を連れてありあまる魂を盾に概念の棲む虚空へ跳ぶ、跳ぶ、滞りなく。邪魔しないでって抵抗されるのは当然解っているけれど、灰になるのが確定している以上、せめて最も有意義な方法で迷路に風穴を開けたいの。理解して。

(あやめる、)

 『これは生きることそのものへの叛逆なんだと認めて、だけどプロトコルなんて存在しない。「君たちは全員閉鎖回路の末端分子なんだ」などとマスターの遺言じみた演説をうっかり聴いてしまってから、瞳の色は一定しないし遠近感は日に日におかしくなってくるし、で、いっそのことこの全身の火傷の痕から古い童話みたいに猛毒を帯びた体液が死ぬまで垂れ流され続ければ幸せなのに、って妄想してる。今やあたしには、殺めるべき相手もいないけれど。彼女に逢いたい。誰よりも速く、叛逆を完遂した彼女に。

(Piece of art,)

 例えばデニムパンツにTシャツ1枚で日本刀を担いで立ち向かっていくような所業。……ってまぁ、実際正装はそれに近いんだけど。臍の下で収縮と発光を繰り返し絶えず存在を主張する蜘蛛の刺青は、もうその色が紅紫を呈し始めてから幾年を経たのか誰も覚えていない。烙印を施した当の雇い主ですら。このビルを不良サンプルもろとも解体している間にも彼は私と共振させるための電子ドラッグを飽きるほど煮詰めていることだろう。方々から強奪したり取引したりあるいは探り当てたりした素材を、常人には理解の及ばぬ調合レシピで惜しみなく融かした結果、寿命は毛ほど延びた程度に過ぎないがQOLはもう誰が見ても嫉妬心で気を失うくらいなのは認めざるを得ない。……帰還してからの新しい皮肉を用意しておかないと。つと眼を伏せ、無駄に潤いを増した長髪を振り払い、耳の奥のホムンクルスに限界までオーバードライブを踏ませる。慣れた金切り声、

(───Injection.)


Smells Like Betrayer.

  アルフ・O

 
 
 
それなら無限にガラスを割りながら
時間を精製していくことにしようと誘った
(何も亡くしていないと暗示
幕を引くことだけに躍起になって
ぶち撒けた吐瀉物を見ないフリの元老院
体良く無視するのもお約束だから
ここで気がついてあげる
精製した時間を肺の奥に押し込めて
「効果のほどは?
「多分そこそこ。もしくは上等、

安売りするほど血は残ってないのよ
汚れた旋律が少しだけ見えれば満足?
それとも同じだけ
意味をなさない文字列で逃げるのかしらね。
変態。
(inside, outside,
 (my baby crown,
  (it's a kind of cure for you,

振り切って此が答えだと思う様後ろを向く
潔癖に過ぎるのはお互い様だろうと
壁を重ね
踏み抜く
だって
そうでもしないと理解すら出来ないまま
彼等は天使の皮を被り続ける
その妄想が消えないから
レンズを壊す
それくらい簡単な印象で
『願クバ、ソノ呪イガ貴方ニ跳ネ返リ、
 一切記憶スラ残サズ雲散霧消センコトヲ。
 
 
 


手放しでしあわせになれないヒトたちへ

  アルフ・O




挑発
挑発
また挑発
喩えるならギザ十の山から
いたく了見の狭い
当人にとっては深淵を覗くかの如く
その怯えた眼が
此処からは面白いほど良く視える
(Yes, I'm Flicker,
相討ちで済めばいいのにね。

寸鉄だと思って拵えたそれは
ジークフリードが指で弾いて消し炭になった
崩壊する言語中枢、と、
(馴染まない解読者の睾丸
空間を攀じ登り制圧した蔦が
前から後ろから一斉に開花を迎え
真ん中で拘束されたそれを無限に搾取する
で、反応を再開する言語中枢
(Big crunchからの、Big bang
……あーもう、あなたがたはもはや
エサにすら足りないってさ。
(The things will never be seen anymore,
そしてこの物語が全く求められていないことだって
百も承知と
画面を叩き破り
種の保存を試みるのだ、と

(ボクのミサンドリーを差し引いても
 云えることは唯ひとつ、
 貴様らは吐精する以外に能がない。

 せいぜい、何処やらへの着床を夢見て
 毒を浴び続けるがいい、
             )

空は人間であった頃の記憶
永遠を真っ向から否定しては咲き乱れる信天翁
幾つもの長い長い軌道の果てに掴んだ旗はそのまま
衛生砲の理解を超えて女神の視界に届くほど
その全身を震わせている
時空を超えた恋人の如く。

(どうせお互い無機物であるならば。

砂になれ
マグマになれ、と
統率を失った細胞が次々に喚く
黙って代謝を続けているがおそらく次の雷が限界だろう、
然らば問う
火傷もしない手をいつまで隠し続けるのか
救わないのは果たして誰の咎なのか
(って、マジで聞いてないよねどう見たって。
これが最後、と全員が全員
嘘をつき続けて
幾年経てばきっと
望まれた調和の世界が此処にも、
 

 
 


Dryad

  アルフ・O

 
 
 
自ら朽ちようとする意志に
用意していた毒舌の多くはその毒性を
ありふれたものに変えて沈む
赤紫の闇へ
疲弊したモチーフにスラップバックを
産まれたばかりの絵画に祝福を
「やーいやーい、にんちてきふきょうわー。
『やーいやーい、にんちてきふきょうわー。
「やーいやーい、にんちてきふきょうわー。

……そっかー。
ポンコツは俺/ボク/あたしのほうだったかー。
あっはっはーだ。
「で、ともかく最後まで付き合うけど、
 危うく死にかねないプレイは別料金だからね?

「そう、延々と降ってくるのは貴方がたの不始末。
 そしてあたしたちは、無遠慮に蔓延る
 それらを、
 消化しきれないまま延々と生を全うするのだと、
無言で拡散し続ける。
センセイたちの真顔が少しだけ崩れて
ものすごい勢いで顎を掴まれる
あたしたちは平然と分裂を繰り返し、
都合のいい真実で一斉に敵の呼吸を止める

鐘を13回打った彼女が
外套を翻してこちらにゆっくりと跳び降りてくる
「綺麗な、ブーツ、
「せめて声帯だけでもシャッフルできたらいいのにね。
 技術ならあるのに、
「時空だけじゃ不足?手厳しいなぁ、

「早くしないと、
 こいつも裸なのがバレちゃうって、
「それって致命傷かな?
朦朧とした意識で
枯木に繋がれたまま犯されたあたしは、
最後の抵抗で犬笛を吹く
時がこのまま凍りついてしまえばいい、と

「どうすれば上等の太鼓持ちになれるか、
 せいぜい俺を見て学ぶんだな。
「心配すんな、
 今に貴女の偽られた墓標だって
 お仲間達の記憶から葬り去ってやる、

あぁ、おめでとう。
───そして遺された僕たち/あたしたちは、
次々に望まれざる鬼子を孕みました。
産んでは棄て 産んでは棄て
いつしかそれらは勝手に親の体積を
追い越していきました───。

 
 
 


眠りの季節

  アルフ・O

 
 
 
君たちは知らないだろうけれど
眠りの季節というものは確かに存在する

絶え間なく毒矢を浴びてきたその在り様
そこに内側から矛盾が生じる頃
そんな時に顔を出す
ぐうの音も出ないほどに鋒(きっさき)を叩きのめすべく
意識の裏側に張り付いている

そして
これから先 逃げ道は余計に複雑になる

君たちは知らないだろうけれど
眠りの季節は存在する
必ずくるよ だから
探しておいで 時の止め方を
 
 
 


Satellites

  アルフ・O



 
デブリを撒き散らしては
枯れて芽吹いてを繰り返す
そんな生物なんだろう
(いっつも思う事だけどさ、
 「食う」って表現、
 あれ食われてるのはこっち側だよね、)

明滅するんだ
脳の奥底の星が
何をもたらす訳でもなく
理性の壁を引っ掻いて
中も外も汚していくんだ
思考は沼に沈んで
嘘ばかり吐かれ続けるから
気持ちよくなんてない
醒めた時はいつだって飢えてるよ
だからって許してなんて言えないけど

デブリを撒き散らしては
死んで産まれてを繰り返す
僕らは
そんな生物なんだろう
(見つけないでね
 二度と死ねなくなるから




*As the answer to the wandering dark star.
 


肋骨

  アルフ・O

 
 
 
ねぇ 多分
この肋骨に埋まったファスナーは
君に開いてもらわないと意味ないんだ。
いくらお揃いの宝石を欲しがったって
最後には誰かが能動的に
使わなければ意味はないのさ。
びっくりした?

「不安にさせてどうするの」って
君は問うけど、
離れていく人にかける情けは無いよね。
花火を燃え尽きるまで掲げるだけさ。
ほら、信号の点滅が止むよ。
 
 
 


Tag, You're It

  アルフ・O

 
 
 

(つーかまえた、つかまえた♪)

泡の外側を反時計回りに回る
皮肉交じりに吐いた愛の言葉の断片
集めたポストカードがひとりでにボクを取り囲む
その感覚に、また疼く裂け目へと手を延ばす
あとから買った、カンバスに描かれた半裸の少年が
すべてを見張ってる気がして

(つーかまえた、つかまえた♪)

趣味の悪い自浄(自傷ともいう)行為だ、
って自分で断罪しちゃってどうするんだろう
心臓を刺すこともできないくせに
鏡が多ければ良いって問題じゃないさ
破れたTシャツに、貴女は自分をなぞらえて
キッチンで崩れ落ちそのまま3日眠り続ける

(にがさないよ?)

「もはや会話ですらない、って言ったよね
 だからウイルスソフトで綺麗にしたよ
 ナイトプールに行こうよ
 お揃いの黒の水着でさ
 間接照明がボクたちふたり以外の眼に
 スクリーンを掛けていくのを夜通し眺めていたいな
 お互い以外を拒絶する隙間を分け合ってそのまま
 このワンルームに帰ってこようよ

(こわい、かお。)

触ってるうちに空白でいっぱいになっちゃってさ、
保証期限の過ぎた身体というのは嘘じゃなかったんだな、って。
ck oneでもBVLGARIでもMARC JACOBSでもChloeでも
纏ってしまえば一緒だって無茶苦茶なことをいう
その必要もないくせに
眠くなるまで喋り続けたなら
もう捕まっちゃっても良いかな、って結論にしよう
外注したリビドーは、脳血液関門だって簡単に黙らせちゃうから、

(ぎゅっ。
 
 
 


Fanfare stomps and landslides will occur

  アルフ・O

 
 
 
I hate the parade
I hate the parade
The sound of trumpets brings me desolation
and the line of drums seems to refuse me

I fear the mountain
I fear the mountain
The color of the forest makes me insane
and the river at the valley is so horrible

Today
The fanfare stomps
and landslides will occur
I know
It is unavoidable
and I have to overcome all of them


パレードは嫌いだよ
パレードは嫌い。
トランペットの音色でボクはみじめになるし、
太鼓たちはボクを壁の外にはじき出そうとするから。

樹海は嫌いだよ
樹海は嫌い。
だって強すぎる緑がボクをおかしくするし
そしたら沢の流れにも怯えなきゃいけないから。

今日は記念日。
傲慢な楽器たちが
のさばる自然への叛逆を完遂する。
笑うしかないよね、
戦場にボクも放り出されちゃうんだ。
死んだら感謝してよね?でも、
生き残っても、恨まないでね?
 
 
 


Here Comes the Morningstar

  アルフ・O

 
 
 
憑依するにも根本で食い違ってる
仕方ないからせめて目元と唇に
藍と紫と碧色を塗って
「立入禁止。
「立入禁止だって。
千切って捨てる程の肉体ならこれでもくらえ、と
2人分の呪いを、ボクをチャネルにして昇華
多分
手の甲に蜘蛛を宿すよりは健康的だと思うよ。

(うでをたたんで
 まあるくなって
 おやすみなさい
 またあうひまで

(──二徹後の悪夢に
 臓器を上も下も限界まで振り回されて
 でも半分現実が紛れ込んでることに気づき
 ただうなだれている
 「ヒーリング錠どこー。
  ブームで品薄なんだから買い貯めといてくださいよぉ。
 ……これはとりあえず伝わっただろうか、

(なんて無防備な逡巡を繰り返しているのだろう。
 100パーセント嘘だなんてあり得ないのに、

「他所を向かないで抱きしめて、よ、
背中一面が猜疑の目に覆い尽くされたような
どうして弱点を増やしちゃうんだろうねボクは。
鈍くなれたらよかったのに。
今心がけたって遅いよ
背骨にワイヤーが埋まってるんだから。
そして
腹の底で鳴り止まない
何十年も前のほろびのうた。
情念のうた。
裏返しの慈愛のうた。
実体がない故に、焼却炉にも投げ捨てられなかったうた。
意味も知らずに震いつくしかなかったうた。
毒消しのように
レインコートを纏い叫ぶロックスターをダブらせたり、
形而上で誰かの四肢を切り刻んだり切り刻まれたり。

……あー、
信じてもらえないだろうけど絶望しちゃないのよ。
だって、完全な拒絶にまではリーチしてないからさ。
変身願望も、捨てたもんじゃなかったな
こうしてまだ羽を休められるのなら。
ジャズピアノが味方してくれてる、
おかえりなさいって、
だから、

ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
キャハッ!
キャハハッ!
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!
 
 
 


Show Me Your Fact.exe

  アルフ・O

 
 
 
「黙りなさい。

ボクがよく知る魔女の顔で君は叫ぶ
ミスリードを気にも留めずに
それを右眼のコンタクトに記録している
所詮年老いた情弱どもの慰み

「もっとまともに演技してよ、

矛先の拡散した苛立ちが
ディレクションに滲む
解ってる
ボクだってこんな売り方したくないから
契約にない部分はせめて目一杯
事実を増幅させて塗り固めてやるんだ、

「で、自分から怒りを摂取しに行って
 結局何がしたいわけ?
「そんなのわからないの、

(Please don't kill me softly,
(そう、貴様らが掲げる闇など
 束になったところでたかが知れている
 それを認めなさい さもなくば
 自らの死の舞踏で徒らに
 衰え朽ち果てることになる 私たちに
 この塵芥ほどの影響すら与えずに

     )

自己矛盾の筏を組み上げて
異国にしか居座ったことがないと嘯く
嘯く 否 嘘じゃない でも
それを言い出せば石ころすら踏めなくなる

事実なんてまともに使えなければ
ボクらにとってはただの燃料と同義。
少し膨れた太陽に、
胸の針を引き抜いてかざし、人でなくなった証を

(実行ボタン。

終わらせたい
あぁ終わらせたいさ
この悪夢を終わらせたいんだ
鍵付きのチェストを投げつけ
逃げ切り奪い尽くした輩に
呪いを千倍にして返す
それが
それこそが事実だっておそらくは
誰もが知っている終わらない
このアザミ達と同様
(今更他人の魂擁護して
 あわよくばその身勝手な美学のために
 鏡像破壊でもするつもりか?自分の触手でも食ってろよ。
バリアの中に押し込まれたボクらはただ
息を潜めて
息を殺して
同じ卵から這い出たさだめに、従う、
聞かないふりの外の情弱どもに
声だけで纏いつき暴れるよう、従う。

「黙りなさい。

つくりものの顔が笑う
 
 
 


Paralyzed

  アルフ・O

 
 
 
(とっても個人的な話をするよ、

彼等の理解が即ち無理解ということを悟ってから幾年経ったか。肉体だけじゃなくて精神にまでバリアを張られるどころか根性焼きまで初めて食らってから幾年経ったか。兎角この吹き溜まりにはあらゆる意味で資源が流れてこない。誰かの自業自得を強制的に引き受ける形で。当然秩序からも程遠いからたまに通り過ぎる人が鉄骨の美しさだけを評価して足早に去ってゆく。知らなかったけれど地獄行きの切符が毎朝そこのダストシュートから溢れかえっているのが、運が良ければ(悪ければ?)お目にかかれるらしい。勿論未使用の、ね。
区画の隅にねじ込まれたように建っている詰所の戸を蹴り開く。よく育った海月がいる。身体を預け無理やりに意識のスイッチを落とす。

(何の話だと思ってた?
(今や劣化が進んでいいだけはつられた記憶の自動翻訳だよ、

 
 


The Variance

  アルフ・O

 
 
 

見かけ倒しの幸福論を
羽の生え損なった構成員たちに据えて
女神は叫ぶ
がらがら声でわたつみへ叫ぶ
肉体を仮託したあたしたちは示し合わせたように
未完成な全ての門を閉じる
 
 
 


磁場を形成する羽根

  アルフ・O

 
 
 
ボクにとっての素敵なモノ
それは立っていられないほどの熱
手に入れた魔法を渦にして
無秩序に分配してゆく
半端にモラルを伴った人たちの足元を
かいくぐって
這うように魔法を滑らせ分配してゆく

“Don't worry, you isolated girl,”
磁場を形成する羽根の導く先まで
細部に言及する兆しを振り払う

“Don't worry, you isolated girl,”
もはや追いつけなくなる寸前の循環から手を離して

ボクにとっての素敵なモノ
鋏で短く詰められた時間
どの次元の軸にも属することのないまま
核を失った無い物ねだりは続く
 
 
 


ありあまる時の聲

  アルフ・O

 
 
 
黙っているのが正解なのかと
仲間などと称する輩へ問いを投げつけ
致命傷を負わせないよう互いに神経を削って
終わりの見えない唄を絶つ
「ごめんね、
「やっぱり彼等から学ぶコトなんてないや。
「次第に速くなるリムショット、
「そして痙攣、
ありあまる時の聲が反響する

眠気覚ましを摂取し過ぎた水曜日に
鷭は前史の夢を見るから
致命傷を負わせないよう互いに神経を削って
終わりの見えない唄を絶つ
「ごめんね、
「やっぱり彼等から学ぶコトなんてないや。
「次第に速くなるリムショット、
「そして痙攣、
ありあまる時の聲が反響する

虫喰い、虫喰い
回折して惑わす真理を突然変異が嘲笑う
(そっちの水は苦いぞ、
(こっちの水は甘いぞ、
白黒蜂蜜の三点セットで
彼等が二度と到達しない真実をチラつかせて
僕達は次に向かうんだと
「もう、近寄らないでって喚かなくても、
「続けて、
「思い通りに腐っちゃった。脱いじゃお、
「蜘蛛の巣。
「だって残り時間は3倍以上あるんだし。
 無視していいよねこのアドバイス?
「抱かれて漏らしてしまった花粉を、
 あたしはそのまま、
 咀嚼しなければならない。
「生命って感じがするのこの匂い。
「まだ動くの?
 お古は視界の外に繋いでてよ、
「漂白。
「漂白。
「必要悪としてのノイズ、

ありあまる時の聲が反響する
 
 
 

文学極道

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