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マキヤマ

選出作品 (投稿日時順 / 全5作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


無題

  マキヤマ

 
都に
ハトがいて
うなじには虹色のすじが
走る

円をえがき
むこうへ
延びていくのか、

ハトが飛ぶ
一羽から、二羽へと
彩られ、
やわらかな
ものたち

燃えて
顔のないものたちの
傷口が

都に色濃く
のこる

花や
町並みの色たち
 


(無題)

  マキヤマ

鳴っているもの
肩のそばで青く
きみのがわへ、
晴れて
編みこまれてゆくものが
まだ
震えてる

いつか交わされた
言葉たち
名づけられ
見はなされたものたちが
そこここに彩られ
まばたけば
まばゆく
手にとればまた
新しい

人と人とが結ぶ
口約束のさなかに
きみのがわへ、
晴れて
編みこまれてゆくもの
いつか
そうあったもの
肩のそばで青いもの


(無題)

  マキヤマ

i

鳥の尾に、しなだれて
まばらだった、
星々、

数え、
またたいては、数えていた、
星々に、
朝つゆは冷たい

冷たさに
白く、
杭うたれた、
鳥の尾に、はかない
ものたち

首すじに
はじまり、屋根裏に
続く、
道たずね、
もの奪う、
目に
はかない、

しなだれては
燃え、
飛びたっては
嘘つく、

口々にすさみ
くべられてゆく、
声は
尾を引く、


(無題)

  マキヤマ

今日は春 春の日のあさ
私たちのとおる
とおり道に
道ゆくものは


脅し すかし
言いはずかしめて
興じた
いとけないものたち

春の背に
道ゆくゆるやかに
よぎるもの

よぎったのは
私たち
肩という肩だった

金を手に赤く
手のひらを葉に 花つみ
掘る穴に怯え また興じた
お前たち

お前たちの春
歌う口もまた のばす舌もなく
道ゆく道に色めき
奪い
よぎった

残されたものに
耳すます
私たちの耳は
長い


(無題)

  マキヤマ

まだ青いまま
棚引いているとしても
摘みとられたのなら
夜が明けたのだろう

五月の砂浜より
六月の遠浅がなお白いのは
太陽にうち砕かれた
おまえの白骨が
どの砂漠よりも速く
流れてゆくから

鴎たちの乳房に
偽りはつのり
甘みを帯びたころに
秋口の刈入れは始まる

海へ向かう
足あとの数だけ
星々は謎めき
謎めくほど
おまえの所在は
明白になる

首のない太陽も
おまえの首も
やがて草花に香り
むせかえる喜びは
夜明けまで続く

文学極道

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