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ゆうみ

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


再見

  ゆうみ

昨日との境界線を引かず風邪と辞書ばかり引きながら
頭から腐る魚を尻目に尻を腐らせて生活している

たくさんの人に貼られた詭弁をペリペリと剥がしながら
エイリアンが穏やかな陽光の一粒ずつとすれ違っていく

今朝聞こえてたのは雨音じゃなかった
そんなことに今さら気づきながら
わきの下を湿らすトラウマをタオルで拭う

母国語のポップスで泣く才能はもう
とうに失くしてしまった
ガムを口移しして君のお尻を感じた記憶は
明後日の方向へ羽ばたいてしまった
本当は私は 明るく楽しく
テレビみながら何気なくアイス食べたりしたかった

残響だけを脳に残して
雨音と間違えられた拍手を向こうにして
静かに疲れたままで線路へと歩いている


リクリエーション

  ゆうみ

わりと巨大な黒い折り紙
始発の路面電車に切られてく
ジョキジョキ

醒めたまなこの猫が
酔いどれを疎んじて
処女信仰者を呪った副委員長が
母親になだめられて
暇をぶっ潰した中年女性が
ブラをなぜか腰に巻いて

J-POPのヒット曲を絶唱する権利が
やっと中年男性から園児に受け渡された
「いいじゃん、たかが陰毛くらい」
娘は修学旅行へ 母はトイレへ


プロテスト(Sober)

  ゆうみ

月に向かって論文を投げた
窓ガラスに当たって知見が床に落ちた
もうなんだか疲れたなあ

自分語りのために芸術と学問を使う人が
美しさに泥をかけていく
そして居るべきものが去り
居るべきでないものが居直る
綺麗な花が咲かなくなっていく

レベルミュージックが好きだから
ロックが好きになった
お前はギターで女性を殴りはじめた

もうなんだか疲れたなあ
けどもはや呆れ終わったなあ

幼児性ではなく民度を字にして
春を美しくする
それが冬にする仕事だのに

文学極道

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