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ゆあさ - 2017年分

選出作品 (投稿日時順 / 全3作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


夜に狭い部屋の中で

  ゆあさ

夜に狭い部屋の中で座ってじっとしていると何も聞こえない 何も聞こえない遠くから やがて水の湧く音がしてくる みずのわく みずの ゆるゆるゆる とぽとぽとぽ ぽきゅん? ぽきゅん? 湧く音がしてくる 聞こえる 聞こえない
目を覚ます。
静かに湧き出でる。水が部屋で満たされる。部屋が水で満たされる
指先からかえるになれ かえるになれ さかなになれ 膨張した 青い粘膜 むらさきの ちがうみどりの うすい緑の柔らかい膣 違う 毛細血管 毛細血管? 毛細血管 先細る糸 血の伝う 先 指 指先 指先から爪はがせ、骨は薄茶色、ぴろりと細く 抜き出せ血管
細い、細いね、揺れる
目の前で、ふりこ、おもりは ない
とおくとおく 見えない目で見上げるとしてんがある、ふりこはゆれる、血管でできた振り子!
喜ぶ ちゅるちゅる水は流れてきて 満たし 満たせ 渦を巻くこの部屋
シンバルが煽って昇りつめ くだれ!
頭からざぶんと水を浴びる
水が今満たされる(なかで)(どこのなかで?)(わたしの中で)(部屋の中で)(なかで)(なかで)(どこで?)(なかで)(とにかくなかで)(なかで)(なかで)(なか)(なか)(な)(な)( )( )
……
新月がようやく上がった 途端にどこか遠くから さっき水が来たほうから りゅりりゅり りゅりりゅり 光が 光が つきのひかりが ふねが ちいさなふねが
静かに静かに顔を上げると そこは再び小さな部屋で もはや水など何処にもなく 手のひらを開けたり閉じたり して 私は正常な身体を取り戻した
ぬっぺりと青い 青いなにか なにか冷たさが
冷たさが 伝わってくる 皮膚から ひふから
目が醒めて 水は青く新月は昇り 正常な
これが正常な夜だ これが正常なわたしだ これが正常な 正常な窓の外 黒々と明るく 青い化け物が 夜が夜がこちらを覗いている

* メールアドレスは非公開


ひにらや?やゆ る

  ゆあさ

君の腕を伝って
流れてくるしろいはな
花 君の腕を伝って 流れてくるはな はな 花 はなびら
はなびら/君の腕を伝って 流れてくる流されてくる 流れてくる君のはな 花 .,

はな 君の腕を伝って みず 伝うつたう
はなびら .

つたう伝う歌ううたうつたう
. 君の腕を伝って流れてくるししろい白いはな 流れてくる 流れてくる 流されてくる ながされてくる., ! 流される!る!る!る!階乗!

生きていないのでもうここにいなくていいです。夜は流体なのに動かないで凝り上の方には馬鹿/みたいに北極星が象/徴されている 記号でしかなかった君が紫の飴/細/工に加工された理由、閉じ込めておきたかったから ら ら 好き,
いなくなる前に教えてって言ったじゃん ., もう届かない知ってることをは/がれる 通り過ぎた会えないねもう もう会えないねきらいきらいきれいだよきみはきれい一人でいるときの の
の びりや びりやりやらり り

日に透かして見るのはお勧めできませんよ失明
します。花びらは毒です可溶だから水に
おめめちゃんが増えてしまい ます!
ええてる!いいかん じ!

流れる君の手を伝って 滴る匂い近い はな びら でした まだどこにも存在しなくて 暗い部屋を射してた てたよ しないから存在 もういなくならないでね固定されて、根

からみずを吸い上げてねからみずのね ,
鏡に吸い込まれてく 耳 が
花びらがかわいそうです
仮象のし シ


浮遊

  ゆあさ

もう500年ぐらい電車に乗っている気がする
気がする 線路の音がする

右耳の奥で明滅する
群生する/ぞわぞわした/子供の手
もう500年ぐらい前から電車に乗っている
人.,がたくさ ん過ぎ.て/ いった。
ひとびと ., 近づいてくる目の群れと白熊の/白熊の/しろくまの/あしあと

・・・

明滅する目の奥で音がしている. .,
している .している., してい/る .
いるいるるるるる. るる.,る
手放した空の方でまた幻覚がしている瞼は重く 瞼は重くつらなり・る・(りる)・開いたり閉じたりしている・()・開いている綴じている目のつらなりまだ子供だから言えなかったの , なに/も
(りるりる りるりるりる)

いつですかいつでしたか?手首から根が生えて!吸った水が苦かったのは・空に落ちるのが怖くて・首を貼り付けていたのは .

また
耳の奥に声帯が生じて声を出したり閉じたりしてる うるさい ことをたぶん声帯は知らない その代わりに喉が閉ざされて 窒息する/した .

また
次の駅が過ぎる ドアが閉まる それを眺めている
閉じていく 閉ざされる 閉ざされていく


・・・

らないから らないからい 閉じてください 閉めてください 車掌さんそのドアを閉めてください見えないから聞こえないからもういいから閉めてください

制帽の下に顔はなく瞼のように今は眠って、

りる?

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文学極道

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